表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
150/267

8月15日-(7)-

 栞那ちゃんと2人で、いつもの部屋の前に着いた。

「送ってくれて、ありがとう」

私は肩くらいまで上げた手を振ったけど、栞那ちゃんはクルッと後ろを向くと

「・・・」

そのまま廊下の奥へ行ってしまった。

(・・・・・)

 月明かりの部屋の中には、健ちゃんとヒデくんの他に長谷田くんもいた。

「ただいま。か、榮川さんとドアの外まで一緒だったよ」

ヒデくんに聞かれる前に、独りじゃなくて栞那ちゃんと一緒だったことを教えて、長谷田くんがいる前では栞那ちゃんという呼び方をしなかった。

 「そうか」

「うん。3人で話してたの?」

「まあな。でも大体終わった」

「そっか・・・あのね」

すぐ確かめたかったし、長谷田くんがいても聞いてしまうことにした。

「ヒデくん。榮川さんが、国王はフカシンって言ってたけど、何だろ?」

「また、榮川か・・・」

つまらなそうだ。

「最初からあった法で、そうなってたな」

「それって、つまり?」

とっくにさっき私だって気づいたのに、それでも右にいたヒデくんに向き直って聞いてしまう。

「国王に対して何もできない、何かしただけで法に違反するってことだ」

「・・・触ったりも?」

おそるおそる聞いてみると

「あり得ない話じゃない」

ヒデくんが即答。

「・・・」

天井を見上げて、ホーッとため息をついてしまう。

 「安齊、それだけじゃないんだ」

「え?」

今度は、長谷田くんの方を向く。

「法は臣民に適用されるというのもある」

「・・・ん」

「ということは、国王には法が適用されない」

「ん?」

すぐに理解できなくて首をかしげてしまったら、長谷田くんは私がそうなることくらい予想してたようで

「国王が何をしても法に触れないし、国王は絶対に裁かれない。そういうことだよ、安齊」

私に言ってるんだって分かるように、目を見て説明してくれた。

 「え・・・」

スーッと視線をヒデくんの方に移すと、ヒデくんがうなずいたように見えた。

(・・・・・)

 途端に歯がガチガチ音を立てる。

 当たり前だけど、寒くなんてないし、震えを止めれないだけ。

(怖い・・・)

 今まで誰を王様にすればいいかなんて考えなかったし、気軽に王様を決めちゃいけないなんて思いもしなかった。

 私達の決めた王様は、やりたい放題できるって知らなかったから・・・

 でも、最初からの法律なんだし、私達は、それが前提の生活を送らなきゃいけなかった。

(他のは何だっけ・・・)

 今は思い出せないし、たとえ読み返したって、頭の良くない私だ、ホントの恐ろしさが分かるはずもない。

 きっといろんな抜け道が、もっともっといっぱいある。

 そういうのに気がつく人が、私みたいに気がつかない人を狙ってる・・・ってことなの?

(誰が・・・)

(誰を?)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ