8月15日-(1)-
極悪人を黒と呼ぶか迷ってたら
黒か真っ黒しかいなくなってた
深く寝れてることなんてないわけで、また真夜中に目が覚めた。
まだもう少し寝てた方がいいかと思ったけど
(法律とかメールで来てるかな?)
端末を出して、操作する。
「美結、どうした?」
私の顔の辺りが明るくなったのを見たんだろう、声をかけてくれたのはヒデくんのようだ。
「あ、うん。ちょっと目が覚めただけ」
「ああ」
「ありがと」
ヒデくんと健ちゃんは、一晩中半分ずつどっちかが起きてる。
美結だけのためじゃないとか言ってくれるけど、私がいるからそうしてるのは間違いないし、いくら私がのんきで細かいことを気にしないからといって、2人に申し訳ないと思ってる。
私も起きてることにすれば、もっと寝れる時間多くなるよねって言ってみたことあったけど、スゴく2人に怒られちゃったから、今は仕方なく毎日寝ることにしてた。
(あ、法律来てる)
8月15日 @国王の法
~今日の法は【午後7時40分から午前8時50分の間は自分から5分以上集会室に入らない】にします。 三田~
(・・・・・)
これは昼の間集会室に入れなくしてしまった綿谷くんの法律の続きみたいなもんだろうけど、これだと夜の間も集会室には入れなくなる。
(ん?)
たぶんこれも届いたときに着信音はしたんだろうけど、法律のメールと同じで私は寝てて気づかなかったみたいで、もう1通メールが来てた。
題名は、8月14日。
開いてみる。
「え!」
メールを開くと画面には・・・
@8月14日
~裁きに因る死亡者 なし~
~裁きに因らない死亡者 一ノ木梨加子~
~国家の人口 16人~
「は?」
メールでクラスメートの死を知ったのは初めてだ。
しかも、昨日まで誰の名前も載ったことがない、裁きに因らない死亡者に載ってるなんて・・・
「美結」
「!」
後ろから声を掛けられてビックリしたけど、さっきも起きてたんだからヒデくんのはずだ。
「・・・ヒデくん・・・」
ヒデくんはチラッと私が端末をのぞき込んでるのを見ると
「一ノ木だろ?」
と言う。
「うん・・・」
「俺も健蔵と交代して起きたときに見たんだ」
「そう・・・」
「いちいち考えたりしないで、まだ寝てろよ、美結」
「うん・・・」
ヒデくんに言われて、端末にスリープをかける。
また部屋の中は真っ暗になったから、朝までまだまだ時間がありそうだ。
目を閉じる。
メールの中身を私が気にしたって絶対答えは見つからないし、私には考えるなって言うくせに、ヒデくんは考えてるはずで、分かったら私にも教えてくれるだろう。
(朝になって・・・)
ヒデくんに答えが見つかってないときは、栞那ちゃんにも聞いてみよう。