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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
143/267

8月14日-(10)-

 夜集会から直行しても、もちろん良かったんだが、あまりかっこ悪いとこ見せれない気がして少しだけ寄り道をした。

「ちょっと遅かったねぇ」

「寄るとこあったから」

「ふーん」

 目的があってここ来たのは初めてだ。

 オレが着いたとき、森は手前のイスに座ってて、奥の方に一ノ木がいるようだった。

 「一ノ木と2人だけなのか?」

「そうだよ」

「三田達は?」

「さあ?いつもの部屋じゃ?」

「そうか」

(・・・・・)

話が弾む必要なんてないと思うけど、ブツブツと切れてしまう言葉をうまくつなげないのは、森にビビってるせいかもしれない。

 怖いんじゃないけど、ビビってる。

 「ちょっとおさらいしよっか?」

森がイスから立った。

「え?」

「珠美佳にも言ったけど」

「・・・」

「やる気ってホント大事だよね」

「ああ・・・」

「珠美佳の頼みが、いつものと違うし、前払い、別に変じゃないよ」

「そう・・・か」

「あたしが約束とか言うの、ガラじゃない?」

オレのすぐ目の前に来て

「でも、あたし約束は大事にしたい」

詰め寄るようにする。

「・・・」

「大事でしょ?」

「だよねえー」

なぜか奥にいる一ノ木が笑いながら言うのを聞いた森が

「ふふっ」

口に手の甲を当てて笑った。

(・・・・・)

こいつのこういうのを初めて見たが

「・・・そうだな」

オレは森が笑ったせいで、どうしてここに一ノ木もいるのか思い知らされた。

「森が」

「もう」

森が指でオレの唇をふさぐ。

「愛麗沙、でいいって」

「あ・・・」

「ん?」

「愛麗沙・・・が、約束を大事にしたんだ」

1回つばを飲み込んでから

「オレも大事にするよ」

言うと

「ありがと」

愛麗沙は、また手の甲の裏で笑って、それからイスに戻った。

(こいつって・・・)

 演技じゃないんだろう。

 マジなのに、こういうことができるヤツってことだ。

 いろんなヤツに首輪付けてるだけはある。

 「じゃ、ま、あとは任せるから」

「え?」

「今から全部、ね」

 オレは覚悟した。

(もう、逃げれないし、やめれない・・・)

やっぱりもう、三田に言われたことを、愛麗沙に言われたとおりするしかないみたいだ。


 一ノ木さんは夜集会の後どこかに行ってしまい、この部屋に帰ってこない。

 今までのように三田さん達と一緒なのかとは思うけど・・・

(どうでもいいか)

 別に心配してるわけじゃない。

 朝考えたとおり、あたしはもう、一ノ木さんをほっとくことにした。

 要は、ずっと隣で寝てた一ノ木さんがいないのが、やっぱり気になるだけ。

 もちろん、まあ別に、朝になれば戻ってきてるかもしれないと思うし、明日の朝集会には来るだろうから、気にしてもしょうがないと思う。

(寝よ寝よ・・・)

 裁きに因る死亡者

  なし


 裁きに因らない死亡者

  一ノ木梨加子


 国家の人口

  16人

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