表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
138/267

8月14日-(5)-

 お昼のとき、しつこく、とにかくしつこく食い下がったので、やっと健ちゃんが簡単に教えてくれたのは、野村くんのあまりにもひどい様子。

 壊れるのが体に集中して、言葉どおり四方八方に飛び散っていたらしい。

 外だし、全部拾い集めたりしないで、体の大きい一部を袋に入れただけで終わらせたんだって・・・

 栞那ちゃんに言われたとおり、野村くんの見送りを健ちゃん達にお任せしたから、私は見ないで済んだけど、私に教えてくれるくらいだし栞那ちゃんは野村くんを近くで見たんだろう。

 しかも、誰よりも野村くんの様子がひどいと分かるんだから、栞那ちゃんは昨日まで裁かれた人全員を確かめてて、一人ひとりの様子を覚えてて、それを思い出して比べれるのかもしれない、ということに気づくと、のんきな私でさえちょっと怖い。

 怖いといっても、あまりに冷静というか心の強すぎる栞那ちゃんがっていうんじゃなくて、来るだろうその時に、自分がどうなってしまうの?という怖さ。

 まあ、私を見つけるのが栞那ちゃんなら、誰に対しても同じように私の様子を細かく確かめてから、裁かれ方のヒドイ順みたいなのを入れ替えるだけだろう。 今までの毎日からすれば、そのくらい裁かれるのが少しも特別なことじゃなくなった。

 だからこそ、クラスメートなんだし、そのくらい当たり前だと思って、裁かれてしまった人の顔をキレイにしてあげたり、手足を普通の場所に戻して拭いてあげたりしてきた。

 そういうことしてる間は何も考えないで、何の気持ちも持たないようにしてた。

 そうじゃないと、とても作業に耐えれないし、後で思い出してしまうから。

 誰の様子も覚えてたくないし、誰にも私の様子を覚えてほしくない。

 栞那ちゃんがいろいろ話してくれたのを聞いてて、健ちゃんやヒデくんが私を気にしてくれたりするから、今日をむかえることができただけ。

 頭も良くない、自慢できるような体力とか運動神経もない私は、うっかりして学校でもどこでも失敗ばかりしてきた。

 私は私のまま、変われてない。

 今この瞬間、私の番が来てしまったら?

 私の番が来た後、誰かが私を見送ってくれるかもしれない。

 だけど、もちろん私を拾い集めるとかって感じの迷惑をかけたくないし、どうにかなってしまった私の様子は誰にも見せたくない。

 誰も知らない場所、誰にも見れない場所で裁かれることって、できないのかな?

 それができるなら怖さは減るけど、私なんかに裁かれるタイミングとか場所を選べるわけない。

 それに、できるって分かってても、やれるかどうかは全然別。

 でも、やれる可能性があるって知ってれば、フワフワしたこの気持ちだって少しは落ち着くかもしれないよね・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ