表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
137/267

8月14日-(4)-

 「じゃ、俺と英基は出てすぐの所にいるからな」

「うん、ありがと」

健ちゃんと分かれてトイレに入る。

(・・・・・)

 一応一番奥まで行って私だけなのを確かめてから、ポーチに入れてたハンドタオルを肩に置いて、顔を洗い始めた。

 キッと音がしたので、誰か入ってきたみたいだけど、健ちゃん達が見ててくれてるから心配ない。

「外」

「え?」

顔がぬれてて声の方は向けないけど、栞那ちゃんのようだ。

 栞那ちゃんは水を出してタオルをぬらしながら

「野村は、外」

と言うので

「そうなの?」

私がタオルで顔をふいて

「外って広いよ」

と返すと、栞那ちゃんは奥の方を気にするように見回した。

 さっき私も見たけど、私と栞那ちゃんだけのはずで、栞那ちゃんもそれが分かっただろうけど、私の耳に唇を近づけてきた。

「・・・エントランスの真っ直ぐ、赤い線の前」

「そこ?」

「私から聞いたとは言わないで」

「あ、うん」

「最大の損壊度」

「え?」

「だから見てはいけない」

栞那ちゃんはサッと向きを変えてドアを開け、行ってしまった。

(ソンカイド?)

 閉まってくドアを見ながら、栞那ちゃんの言葉を再生する。

(損壊度?)

 壊れてる度合いって意味で、しかも最大のってこと?

 最大の壊れ度合いっていうことなら、話のつながりからして、それは野村くんのことで、しかも私が見ちゃダメなんだと栞那ちゃんは思ってるってことかな・・・

(そうなんだ・・・)

 栞那ちゃんの話にムダなんてないはず。

 野村くんがどこにいるのか、どのくらいひどいのか実際には分からないけど、野村くんの様子は私みたいな怖がりが見るとろくなことがないくらいヒドイ。

 今のだけで、そういうのをちゃんと教えてもらった。

 もう1回しっかり顔をふいて、トイレの外に出る。

 「美結」

健ちゃんとヒデくんが待っててくれたけど、長谷田くんと中岡くんもいた。

「お待たせ」

「榮川は手を洗ってたか?」

ヒデくんに聞かれたので

「え?タオルもぬらしてたけど」

答える。

「そっか」

「ねえ、ヒデくん」

「なんだ?」

「みんな中だけしか探してないよね?」

「ん?」

「今までの人達だって、みんなが中にいたわけじゃなかったし、外は?」

「そりゃそうだが・・・」

ヒデくんがチラッと長谷田くんを見るのは、さっきの私と同じこと考えたからだろうけど、野村くんはエントランスを出てまっすぐ行った所のはずだ、っても言えないので困ってしまう。

 そしたら

「ま、安齊が言うのももっともだ」

長谷田くんが健ちゃんの肩に腕を回しながら

「じゃ、英基達は建物の周り。俺と健蔵は遠い方をグルッと見に行こう」

と言ってくれた。

 案外早く解決しそうに感じてホッとする。


 その後すぐ、野村くんは健ちゃんと長谷田くんが見つけた・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ