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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
133/267

8月13日-(10)-

 「じゃ、今日から仲良くしてあげてねー」

こういうときの三田の言い方は、声そのものが耳障りだ。

「はぁ?」

これまでずっと、三田達が仲間にしたからと言って連れてくるのは女子だったのに、なぜか今度は男を仲間にしたみたいで、2人も部屋に連れてきたので

「部屋も移ってくるのか?」

と聞いたら

「この部屋ってさぁ、こんないっぱいだし、今までどおりに決まってるじゃん」

フフンと鼻を鳴らすみたいにして返されたので、もっと胸くそが悪くなる。

「ああ、分かったよ」

おれが思いっきり顔をそらしたのに、三田は気にもしない感じで

「そういえば、野村ってさ、昨日榮川が引いたっていう赤線見たの?」

続けて聞いてきた。

「は?なんか今の話と関係あるのか?」

「ないけど?」

スゲえイラッとくる。

(・・・・・)

 だからって、無視したらよけいにうるさそうだ。

「・・・まあ、近寄んなかったけど、見たぞ」

「あたしも愛麗沙もまだ見てないからさ、今から行かない?」

「なに?」

森の方に目を向ける。

 「あかりと広魅は留守番ねー」

森が矢口と猪戸に言う

「ぅん・・・」

「・・・」

おれが二人ともが床に座るのを見てるうちに、森は廊下へ出て行ったらしく、三田と新しく来た2人も後を追うみたいにした。

(三田がうるさいからな)

後でグチグチ言われるのもイヤだから、おれも行くことにした。


 「へー、マジ赤い線なんだー」

「溝みたくしたところに、ペンキ流し込んだ感じだな」

「ふーん、こーゆーのも手ぇつけると裁かれちゃうのかな?」

「さあ。でも触らないのが一番だろうな」

 「あ、野村」

おれの方に森が歩いてきて

「野村の端末ってさぁ、何色だっけ?」

聞くので

「ああ、おれのは」

ちょうど手に持ってた茶色の端末を森の目の前に出してやる。

「ふーん、茶色かぁ」

「ああ」

「なんか綿谷も茶色の持ってたねぇ」

「確かそうだったな」

「うん」

その瞬間、森じゃない誰かが横からおれの端末を引ったくって

「あ?」

ポーンと放り投げた。

「は?」

おれの目の前で飛んでった端末は、赤い線よりもあっちに落っこちた。

「え?」

 「線、見終わったし、帰ろっかぁ」

おれが端末の落ちた先に目をやってるうち、おれ以外の4人は建物の方へ歩き出す。

「野村は来れないよな?」

「じゃあな、野村」

「あはははは、バイバーイ」


 「なんでだよ!」

後ろの方で野村が叫んでる。

「珠美佳」

愛麗沙があたしの肩をポンとした。

「ああ、うん」

頷いてから端末を出して、チラッと後ろを見る。

 さっきと同じ場所に野村がいたので、端末に話しかける。

 しばらくなんか騒いでたけど、玄関着いたあたりからは何も聞こえなくなった。

 裁きに因る死亡者

  野村光


 裁きに因らない死亡者

  なし


 国家の人口

  17人

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