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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月13日-(8)-

 ありふれた生活してる人が何でもない状況にいたら,こういうことが起きたときに,あ,なんか良かった,と感じるだけじゃないかと思う。

 でも,あたしは三田に言われるままにしてるしかない毎日を過ごしてる。

 とんでもない生活で,何もかもギリギリだ。

 だから,昨日の夜に保健室に呼ばれたときに,味方っていうか,仲間っていうか,そういう人数が増えるってことが起きたけど

(またか・・・)

と思っただけ。

 その後,いつもの部屋に戻ってきたら,三田がスゴい荒れてて,あたしは何も聞いてないのに勝手にまくしたててきたので,どうやら三田も仕事をさせられたんだって分かった。

 一ノ木さんと猪戸さんは,あたしが戻ってからもまだ仕事をさせられてたんだし,三田なんてずっとずっとマシだとは思ったけど,三田に何か言うとうるさいだけだから黙ってた。

 前田さんは,あたし達がシャワーに行って帰ってきた後に,やっとこの部屋に来たし,それまでどこかで何かしてたんだろう。

 あたしも,安齊さん達の部屋からこの部屋に移らされた猪戸さんも,仕事の時だけ部屋に呼ばれてる一ノ木さんや,寝にだけ部屋に来る前田さんと違って,四六時中ってくらい森と三田と一緒にいさせられてるから,前田さんや一ノ木さんと話す機会もなくて,あたしの知らない所で二人が何してるのかだって全然分からない。

 昨日の一ノ木さんは泣き出してしまったし,泣くくらいヒドい仕事をさせられてたのだって,全部終わってから部屋に来た前田さんが知るはずもない。

 そんなふうに前田さんが森から特別扱いされてても,あたしはそんなスゴく頭に来てるわけじゃない。

 森に誘われた最初の日からすぐに仕事をさせられたあたしからすれば,前田さんって何もさせられなくていいなぁ,とか思っちゃうことがあるのは確かだけど,今させられないだけなんだってことも分かってるし,うらやましいとも思わない。

 でも,三田は前田さんに対してキレかかってる。

 そんな三田の考えなんて,あたしにだって丸分かりだし,わざとなのかわざとじゃないのか三田を怒らせてる森は,自分で言うとおり森と前田さんの値段をつり上げてるだけなんだろう。

 とにかく三田みたく,あたしまで自分の値段を下げないように気を付けなくちゃいけない。

 仕事するたびに,またか,って思うけど,それは態度に出さないようにしないと,あたしの値段まで下がってしまう。

 もちろんイヤでしょうがないけど,森には逆らえないってあきらめてる。

 でも,あたしは三田にまで従ったつもりなんかない。

 だから,三田に背中を向けて,吐き捨てるように溜め息をつく。

(あいつがギャーギャーうるさいから・・・) 

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