8月2日-(1)-
夜が明けないでと思ってたけど
そんなのお構いなしに朝が来た
薄明かりが差し始めた部屋。
夏だからだろう、朝が来るのが早い。
「・・・・・」
もう何回見たか忘れてしまったけど、やっぱりまた時計を見ると、4時49分。
さっき見たときは4時31分だった。
横になる前に
(今日は眠れそうにないな・・・)
って思ってたとおり、結局眠れないまま朝になってしまうみたいだ。
昨日は、佐藤くんと根津さんがあんなことになってから、一度28人で集会室に集まった。
2人のことは、誰も話さなかった。
それよりは、これからどうしようってことになって、村井くんや仁藤くん、長谷田くんなんかが提案した、カーペットが敷いてあって床が固くなってない4部屋に分かれて過ごすことになった。
別にどこでも良かったけど、私達は保健室みたいな感じの部屋の隣の部屋で寝ることにしたのだった。
(・・・・・)
上半身を起こして部屋の中を見回す。
寝息を立ててるような人もいるから、ホントに眠ってる人なんだろうか。
(ああいう人は心が強いのかな?)
(それとも、ただ鈍いだけ?)
「茉莉亜」
「え?」
そっと声を掛けてきたのは、1mくらいだろう、少し離れた隣で横になってた理璃だった。
「ゴメン、理璃。起こした?」
できるだけ小さな声で答える。
「いや、ウトウトしたときもあった気もするけど、たぶん寝てないから」
「そう、理璃も・・・」
あたしは理璃が明るい性格だと思ってたし、今まで悩んだりしているのを見たことがなかった。
昨日はスゴクいろいろなことがあって、その上あんなことにまでなってしまったけど、理璃の表情が固いように見えたのは当然だと思ったし、何人もいない落ち着いてる人の一人だと思ってた。
そんな理璃でもやっぱり、昨日あったスゴイいろいろなことがストレスだったみたいだ。
「なんかちょっとだけ安心した」
本音がポロッと口に出ちゃったところで
「え?なんでー」
ほんの少し理璃の口元がほころんだ。
だから、あたしが何度も何度も寝返りしながら繰り返し考えてたことを理璃にも聞いてみる気になった。
「これからどうなるんだろ・・・」
「うん・・・」
理璃は腹ばいになると、上体を起こして這いながら、あたしのすぐ横に来た。
「昨日みたいなことがもう起きないように、みんなで頑張るしかないのかな・・・」
「・・・」
理璃とは目が合ったから、あたしがささやいたのは聞こえてたはず。
でも、理璃は何も答えてくれない。
(分かってる)
あたしは、それ以上、考えを言葉にしないことにした。
理璃から視線を外して、天井を眺める。
(今の質問に答えれる人はいるの・・・)
何度も溜め息をつく。
(みんなで頑張れば、こんなことを終わらせられるの・・・)