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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月13日-(1)-

 捨てたい物が見つかったから

 ゴミ捨ての決まりを確かめた

 小さな頃から、朝の寝覚めが良かったためしがない。

 この部屋は南に向かって窓がついてるから朝になれば明るくなるけど、今の季節だと、あたし達がいる奥の部屋まで直接光が差し込むようなことがない。

(いったい何時なんだろう・・・・・?)

横になったまま目だけ開けると、窓の側に一ノ木さんが座ってるのが分かった。

 一ノ木さんが、あたしより早く起きてるのは珍しい。

 この部屋には少し前まで曽根嶋さんがいて、もうちょっと前だと千賀さんもいた。

 二人とも朝すっきり起きれてたのに、朝ご飯を食べに行く前まで静かにしてて、時間になっても起きてない人に声を掛けたりしてくれてた。

 そんな二人がいなくなってからは、7時過ぎとか8時前とかに起きる感じで、朝集会に行けなくなるくらい遅くなったりしないだけで、慌てて朝ご飯に行くような日が続いてる。

(・・・・・)

まだボーッとしてるけど、一ノ木さんに近寄ろうと上半身を起こすと、ふふっ、というような声が聞こえた気がした。

(え?)

一ノ木さんは顔を窓の方を向いけてるので、表情が分からない。

 四つんばいで一ノ木さんの横顔が見えるところまで行ってみる。

 「・・・・・」

 「・・・・・」

 しばらく見てても、一ノ木さんはずっと窓の外を見てるままだし、あたしにも気づかないようだ。

「ふふっ」

また声が聞こえた。

 今のは一ノ木さんのほんのちょっとだけ開いた唇の間からもれた声だって、確実に分かった。

 だとすれば、さっきのも一ノ木さんの声なんだろう。

 すぐ近くまで寄って

「おはよう」

と声を掛ける。

「・・・」

一ノ木さんは、ゆっくりとあたしの方に顔を向けて

「・・・おはよう」

ささやくみたいな声で答えた。

(・・・)

 いつもどおりと言えなくないけど、なんか昨日までと違うと言えなくもない。

 「何か見てたの?」

聞くと、一ノ木さんは

「・・・」

首をかしげるみたいな仕草をしてから

「んー・・・なんだろ・・・別に・・・」

また窓の方を向いてしまった。

 やっぱり顔つきがなんか違う。

 ここんとこ毎日、夜は安齊さんが迎えに来てくれるのでシャワーをしに行く。

 部屋に帰ってきて少しすると、今度は三田さん達が一ノ木さんを迎えに来る。

 そしてだいぶ経ってから、一ノ木さんは三田さん達と部屋に帰ってくる。

 昨日帰ってきたときの一ノ木さんは、暗いから顔は見えないけど、息づかいが

(泣いてる?)

と分かるような感じだった。

 急に不安になる。

 残った方の鈴木さんは抜け殻になって、前田さんや曽根嶋さんに面倒かけ続けだった。

 さっきの変な声、どこか変な顔つき。

 このまま一ノ木さんがおかしくなったら、どうするのがいいんだろう・・・

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