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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月12日-(9)-

 夜集会では明日の国王を決めることなってる。

 昨日あんなことがあったから、また立候補がぶつかったりしないか心配だ。

 「それでは、国王に立候補する人はいますか?」

今日の国王は榮川さんだし、夜集会までは国王が司会みたいな役割をするのが暗黙の決まりだから、もちろん榮川さんがみんなに呼び掛ける。

(・・・)

 数秒しても誰一人手を挙げたりしないようだ。

 チラッと離れた所にいる愛麗沙に目をやる。

 昨日なりたがってたから、今日こそは手を挙げるんじゃないかと思ったのに

「だれかいないのー」

今にも笑い出しそうな声を出しただけだ。

「だれかやってくれないと、ステファーネさんが困っちゃうじゃなーい」

そんな愛麗沙の言葉を聞いた珠美佳がプッと吹き出すみたいにして笑った。

「そうだよねぇ」

「ほらほら、だれか早くー」

「早くー」

(・・・)

 こんなときに、こんなことではしゃげるんだから、逆に大したものだ。

 直接の当事者じゃないわたしでさえ、ちょっと何かイヤな気持ちになってしまってるのに、一人だけ前にいる榮川さんは、表情も変えず身じろぎもしないで立ってる。 

 おととい野村くんが国王に立候補したのは、そうするように愛麗沙に言われたからだ、って矢口が言ってた。

 そうすると、昨日とか今日とか愛麗沙は何も言ってなかったから、わたしも含め同じ部屋の人達は立候補なんてしないはずだ。

(このまま誰も名乗り出なかったら、どうなるの?)

なんて考えも頭をよぎった。

 そのとき

「もういい、明日は俺がやる」

田月くんがイラだったように言って、ガタガタッと音を出して立つと、ツカツカと早足で前に進み出る。

 榮川さんは、自分の横まで田月くんが来たのを見てから

「田月くん以外にも立候補する人はいますか?」

みんなに呼び掛ける。

「明日の国王は田月くんということで構いませんか?」

「はいはい、立候補があって良かったねー」

愛麗沙が1回だけ両手を鳴らすと

「これでステファーネさんも安心だー」

珠美佳がパチパチ拍手して、それを聞いた他の人達もパチパチパチパチと続けて拍手したので、やっと明日の国王は田月くんということで決まった

 「では、明日の国王が田月くんということを送信します」

そう言って榮川さんは端末を操作し始め、田月くんは榮川さんの手元をのぞき込むようにして見守る。

 少しして、手に持ってるわたしの端末が鳴った。


8月12日 @国王選出

~田月信之輔を8月13日の国王に選出~


 「今日の夜集会は終わりにします。7時30分を過ぎまで部屋にいてください」

そう言うと榮川さんは彼女がいつも座ってる席に向かって歩き始めたので、田月くんも元いた席に戻っていく。

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