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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
108/267

8月11日-(5)-

 「はぁ?」

分からないのは森さんも同じなんだろう。

「急に法の検索するのは大変だろうから、俺のを見てみろ」

長谷田くんは、森さんのところに行って端末の画面を見せながら、内容を読み上げる。

「国王選挙は選出された数の少ない者を優先する」

「あ・・・」

「立候補が森と榮川だけだったら、榮川の立候補が優先される」

(映った)

 やっと表示できた私の端末を見ても、5日に健ちゃんが作った法律だと国王選挙は選出された数の少ない者を優先するという意味にしか取れない。

 森さんは、今日までにもう2回国王になってる。

 栞那ちゃんは、まだ1回も国王になったことがない。

 健ちゃんが作った法律のとおりになるんだから、初めて国王に立候補してる栞那ちゃんが国王選挙で優先されるだってことが、私でも分かった。

(へえ・・・)

もしかして本当に国王選挙っていう選挙になるのかと思ったけど、今日は栞那ちゃんの言うとおり栞那ちゃんに決まりなんだ。

 「明日の国王は私」

野村くんの隣まで来てた栞那ちゃんが、いつもどおり静かに言うと

「・・・」

森さんは無言で座った。

 でも、イスのガタッという音と一緒に、森さんが舌打ちしたみたいな音は私のいるここまで聞こえた。

 「じゃあ、明日の国王は榮川さんということでいいですか?」

野村くんの声だけが響いて、誰も何も言わない。

「みんな、いいんですか?」

野村くんがもう一度呼び掛ける。

 立候補が森さんと栞那ちゃんだけなら、もう決まりだけど、例えば私が手を挙げたら話は変わってくる。

(まあ、手なんて挙げないけど)

 チラッと健ちゃんが私を見てから

「他に誰もいなければ、榮川で決まったということだろ」

と言うと、すぐにヒデくんが健ちゃんに続いて

「そうだな、反対もないようだしな」

と言いながら拍手を始める。

(そっか)

初めてのことに忘れちゃってたけど、1日目からずっと繰り返してきたこと。

 立候補する人がいて、それでいいのか確認する人がいて、みんなが拍手することで国王が決まる、っていうのが私達の国王選挙なのだった。

 ヒデくんのあとすぐ、私も拍手を始める。

「あー、はいはい」

なぜか私の次に拍手を始めたのはイスに寄りかかって座ってる森さんで、パチパチという感じじゃなくて、つまんなそうに腕をゆっくり大きく振って、パーン、パーン、パーンというリズム。

 そんなふうに、森さんでさえ拍手をしてるのを見た他の人達も拍手を始める。

「みんな承認するみたいなので、明日の国王は榮川さんです」

最後に野村くんが宣言することで、明日の国王はホントに栞那ちゃんということで決まった。

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