8月10日-(9)-
何がつながりかけてるかも分からないうちに、また別なことを思い出した。
理璃がいなくなってしまった、あの日のこと。
あたしは矢口さんと二人で保健室みたいな部屋に行った。
自分の身を守れると思って決断したことを言うためだ。
その部屋には、あたしの答えを聞くためだろう、森さんとか三田さんもいた。
矢口さんに言われてたことと同じ話が三田さんからあって、森さんが一緒に頑張ろうみたいなことを言ってた。
でも、言われたとおりにした方がいいなんて思えなかったし、あの部屋に行く前にもう、あたしはどうするか決めてた。
結局矢口さんの持ってきた話をあたしは断った。
そのせいで、その場の森さんと三田さんの矢口さんへの態度と言葉がガラッと変わってしまって、矢口さんに悪いことをしてしまったようだってことは、すぐ分かった。
ただ、いろいろ、ホントいろいろ言われてた矢口さんと違って、あたしは何も言われなかった。
(仕方ないよ・・・)
あたしは矢口さんをかばえる程の余裕なんてなかったから。
とにかく、言うことだけ言って保健室を出た。
誰もあたしを引き留めたりしなかった。
保健室を出てすぐの所の廊下に一ノ木さんが立ってた。
今考えても分からないけど、どうしてあんなところに一ノ木さんがいたんだろう?
なんか、一ノ木さんがいきなりあんな所に立ってるのは変な感じだった。
あたしは不思議な気分になったけど、一ノ木さんとあたしは同じ部屋だ、ある意味丁度良かったとも思った。
だって、保健室に来るときは一緒だったけど、部屋を出れる雰囲気じゃない矢口さんを残してきたあたしとしては、矢口さんの代わりみたいな一ノ木さんと二人で部屋に帰れば一人きりにはならない。
部屋に帰ると、舟山さんと理璃がいた。
もう夕方だし、夜集会の前にシャワーに行っておこうってことになったので、4人でシャワーを浴びに行って
(それで・・・)
シャワーボックスから出たら一ノ木さんと舟山さんだけがいた。
理璃がいないわけを聞いてみたら、舟山さんがシャワーボックスを出たときにはもういなかったみたいだった。
一ノ木さんが教えてくれたのは、理璃は舟山さんが出てくる前にトイレに行ったこと、3人でトイレに来て欲しいと言っていたってこと。
(理璃が?)
あたしでさえ、一人きりにならないよう注意してるのに、理璃が単独行動したのは気になったし、急に具合でも悪くなったのかと思ったので、舟山さんと一ノ木さんを急かして3人でシャワールームから一番近くのトイレに行った。
理璃は、どのトイレにも、いつもの部屋にもいなくて、集会室にも来なかった。
(あれ?)
急に何かが、つながってきてる感じがする・・・