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第96話 描画魔法お披露目

 メアリとミリアンの魔力を借りることで、【演算】スキルの可能性の1つである、風景をそのまま成型することに成功した。

 名前をつけるなら描画魔法とでもいうのだろうか。


 「チェスリーさん、また凄い魔法を完成させましたね。こんなに見たままの絵なんて、絵師さんが長い時間をかけて描くものですよね。それをこんな短時間で……」


 「そうは言っても色はついてないし、単に丸写しだから絵師さんのような技術もないけどね」


 「師匠、これはもしかして地図を作るのに使うおつもりですか?」


 「そうだ、この描画があれば地図作りが捗ると思ってな。重力魔法を使いながら同じことができれば、上空からの景色を残せるはずだ」


 「それは問題ないでしょう。師匠の魔力色さえ覚えてもらえば、クランには豊富な魔力持ちが揃っています。スーザンさんなら一人でできるかもしれませんが、成形をここまで使いなすには時間がかかるでしょう」


 「まあそうだな……先に地図にしたいところは俺がやってもいいし、今は地図作りよりダンジョン攻略が先だ。その間に練習してもらえばいい」


 「そうですね」



 1つの可能性を完成することはできた。

 あと2つはどうしよう……


 武術との組み合わせは、【演算】が熟練した今ならある程度できるだろう。

 ただ魔力を高速で動作させるには魔力量が必要だ。

 誰かに譲渡してもらいながら使うのは難しい。


 中級以上の魔法の時間短縮にはある程度使えそうだが、魔力譲渡のほうが優秀な気がする。

 魔法の威力を高めることが目的なら、魔力譲渡による運用を考えたほうがよさそうだ。


 ということで、一旦練習は終了だ。

 スーザンに教える目途はついたから、今はこれで十分だろう。


 「チェスリーさん、練習が終わりなら最初にダンジョン調査を始めた場所へ行ってみませんか?アリステラさんが小屋を建てましたよね」


 「ミリアンはまだ見たことがなかったよね。俺もあれからはいってないんだ」


 「私も見てみたいですし、せっかくですからあの場所の絵を残しませんか?」


 「お、いい考えだね。あの場所はこれからも行くだろうし、落ち着いたら少し拡張しようと思ってたんだ。今の風景を残しておくと記念になるね」


 「師匠、私の転移で移動しましょう」


 「頼む」



 転移が終わり、あの場所へやってきた俺たちだったが……いつまでもあの場所というのも味気ないな。


 「なあ、この場所に名前をつけないか?何度も来てるのにダンジョン調査を開始した場所というのも呼びにくいし」


 「そうですけど、うーん何かいい名前があるでしょうか」


 「師匠、チェスリーの館というのはどうでしょう」


 「え~、自分の名前をつけるのは嫌だな。それに館ってこの小屋のこと?」


 「いずれ大きいものに建て替えてみせます」


 「落ち着いたら手を加えようかなと思ってたけど今は小屋だしなあ。俺だけ使う場所でもないから他の名前にして」


 「残念です。ではスリーチェ小屋では」


 「スリーチェ……それマックリンに安易すぎだとか散々言われて嫌な思いしたんだよなあ」


 「そ、それは失礼しました。なかなか難しいですね」


 「あの、スキルラボというのはどうでしょう」


 「ん?ミリアンが考えた名前か。スキルはわかるがラボって何のことだい?」


 「研究する場所をラボというらしいです。何となく覚えてたので使ってみました」


 「へえ、スキルラボか。呼びやすいしこの場所の使い方にも合っているからよさそうだね」


 「ふふっ決まりですね。早速スキルラボの絵を作りましょう」


 「そうだな」


 ミリアンとメアリに魔力譲渡をしてもらい、描画魔法を発動する。

 素材は土だけど、後でアリステラに強化してもらえれば、保存は問題ないだろう。

 数分でスキルラボの絵は描いた土板が完成した。


 「うーん、こうして絵にしてみると少し寂しいですね」


 「今はいいんじゃないかな。これが始まりと思えば建物が大きくなったときのいい思い出になる」


 「なるほど、そうですね」


 「これでスキル練習の成果も見せられるしクラン拠点に帰ろう」



 クラン拠点に戻ると、マクナルへ行っていたヴェロニア達が既に帰ってきていた。

 捜索の予定が3日間だったので、戻る日を合わせてくれたのだろう。

 あれ?アリステラとマーガレットはけど、スーザンとアメリアの姿が見えないな。


 「ヴェロニア、スーザンとアメリアの姿が見えないようだけどどうしたの?」


 「あっ、チェスリーどこ行ってたのよ。ダンジョン捜索は昨日で終わったそうじゃない。レフレオンとマックリンはお酒飲んでるし、あんた達の姿は見えないし。マーガレットに連絡してもらうところだったのよ」


 「すまないな、スキルの仕上げにスキルラボに行ってたんだ」


 「へ?スキルラボ?何なのよそれ」


 「例のダンジョン捜索を開始したところにミリアンが名前をつけてくれたんだ」


 「ミリアンお姉さまが!素敵なお名前ですね。どういう意味なんですか?」


 「スキルの研究場所っていう意味なのよ」


 「わあ、あの場所にぴったりですね。それではスキルの練習にいっていたのですか?」


 「そういうことだ。その成果がこれだ」


 俺はスキルラボで作った土板の絵を取り出しアリステラに見せた。

 アリステラは絵を見て感心しているようだ。


 「凄い……こんなに精密な絵は初めて見ました。これはモデリングストーンで作ったのですか?」


 「そうだ。【演算】スキルの応用と組み合わせて成形を高速化させたんだ」


 「ふわあ、それでこんなに精密にできるものなのですね。私の成型だとここまでのことは無理そうですわ」


 「いろんあ魔力制御は俺の得意なところだからね。でもアリステラも練習すればできるようになるんじゃないかな?」


 「私にもできるでしょうか。……試してみたいですね」


 「ああ、描画の魔力制御を教えてあげる。あ、その前にその絵を保存するのに硬くできないかな」


 「うーん、どうでしょう。この精密さのまま硬くするのは難しいですね。それに小さくなっちゃいますよ」


 「あーそうなるか。それなら何かで囲って保護しようか」


 「えっと、何かいい素材もっていますか?」


 何かいいの持ってたかな。

 あ、ちょうどいいのがあるじゃないか。


 「ギガントサイクロプスの眼の膜でどうかな」


 「そ、それは高級品すぎるのでは……」


 「透明な膜は絵の前面に使って他は別の素材でいいから、全部使うわけじゃないしかまわないよ。なくなったらまた倒しにいけばいい」


 「倒しにって……そんな気楽に倒しにいける魔物じゃないですよね」


 「ははは、大丈夫だ。転移魔法とマックリンから盗んだ技があるからな」


 「ほほう、やっぱり俺の技を覚えてやがったのか」


 「え!?」


 いつの間にかマックリンが俺の背後にいた。

 あれえ、レフレオンと酒盛りしてるんじゃなかったっけ。


 「……やあ、マックリン。酒盛りしてたんじゃないの?」


 「してたぜ。ヘスポカの酒が美味すぎてもう飲み終わったぞ」


 「喜んでくれて何よりだ。そうか、そんなに美味いならまた買ってこようか」


 「是非頼むぜ。それで俺の技のことだがどこまで覚えたんだ?」


 「えーと、ギガントサイクロプスを倒した技は覚えた」


 「ふむ、あのドラゴンに使った技は?」


 「あれは実用に向かないから練習してない」


 「ほ、ほう。俺の最大威力の技をそんな風に見てたのか」


 「いやあ、ロープで繋がれて転移なんてやりたくないじゃない。一発勝負みたいなもので、失敗したら危ないし」


 「お前が考えた戦術だろうが!!全くスキルに関しちゃ遠慮がないやつだ。ちっ、まあいい。結局捜索の間は俺のスキルを見せられなかったしな。次も盗めるものなら盗んでみやがれ」


 「お、言ってくれるじゃない。丸ごと盗んでやるから覚悟しておけよ」


 「おう、楽しみにしてるぜ……って何の話をしてたんだ?」


 「あ、えーと何だっけ。そうそう、ギガントサイクロプスの眼の膜を絵の保護に使おうって話をしてたんだ」


 「気前のいい使い方だな。ギガントサイクロプスの眼の膜がいくらするのか知ってるのか?」


 「たしか……金貨10枚ぐらいだったかな」


 「相場を知ってて使うのかよ。お前の金銭感覚だってヴェロニアのこと言えないんじゃないのか」


 「う、まあ必要なことに使うならいいかなと」


 「アリステラの持ってる絵のことか。ちょっと見せてくれ」


 アリステラからマックリンに絵が渡され、しばらく絵をじっと眺めていた。

 絵を見てどう思ったのだろうか。


 「チェスリー」


 「なに?」


 「お前ほんと器用だな。これを商売にしても食っていけるだろ」


 「いやいや、食っていくだけなら冒険者をやるよ」


 「これが知られたら、絶対に王族や貴族が欲しがるぜ。風景だけじゃなく人物画の人気もありそうだしな」


 「えー、そこは絵師の人にお任せしたいんだけど」


 「絵には絵の良さがあるけどな。この絵を作るのにどれぐらいかかる?」


 「ご、5分ぐらい」


 「やっぱりそんなに速いのかよ!!いまのところ他に精密な絵を速く描ける方法がないから、大人気間違いなしだ。絵師じゃあそんなに速く描けないしな」


 「……また知られてはいけない秘密が増えた」


 「チェスリー大丈夫よ。すぐ秘密にしなくてよくなるから」


 「え?ヴェロニアは、もう何か対策を考えてあるのか?」


 「対策というか、あんたの教育があれば、これからできるようになる人は増やせるでしょ」


 「増やせるかもしれないけど、精密な成形はかなり難しいぞ」


 「あとはスーザンとアメリアを残してきたことと関係があるわ。そっちが上手くいけば似たようなことができるかもしれないの」


 「おお……ジェラリーさんか。スーザンとアメリアのスキルで何か思いついたんだね」


 「そういうことね」


 ジェラリーさんならスーザンの【演算】スキルを見て、俺と同じ可能性や他にも何か見つけたかもしれない。

 俺はスキルの組み合わせで可能性を考えたが、ジェラリーさんならきっと魔道具との組み合わせのはずだ。


今回もお読みいただき、ありがとうございます。


次回は「ダンジョン核の大量回収」でお会いしましょう。


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