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第84話 クランメンバーのそれぞれ

 ダンジョン攻略を終えた翌日、クラン会議が開かれた。

 出席者は俺、ヴェロニア、ミリアン、マーガレット、アリステラ、メアリの6人だ。

 ここのところ固定メンバーになってきたな。


 「まさかの連日クラン会議ね。第14回始めるわよ」


 うちのクランだとまさかになるんだよな。

 多くのクランでは連日やってると思う。


 「昨日の今日だから、冒険者ギルドから町の情報は入手出来てないの。でもダンジョン攻略の実績ができたし、エドモンダ侯爵様の考えも合わせて方針を決めましょ」


 「俺から提案したいこともある。方針に影響があるかどうかはわからないが」


 「じゃあ先にチェスリーの提案を聞きましょうか。説明よろしく」


 「『百錬自得』のクランメンバーを増やしたいと思っている。以前候補にあがっていた人たちに連絡をとりたい」


 「わかったわ、それじゃ手配しておくわね」


 「え?すぐ手配できるの?それに増やすのは問題ないのかい?」


 「ええ、チェスリーに任せるって言ったじゃない」


 「マーガレットとアリステラもかまわないかい?」


 「は、はい。実はミリアンさんから話を聞いてまして、納得していますわ」


 「私もです。その……反対理由もつまらないものでしたし」


 「あ、ああ。それならいいんだが」


 反対理由か。恐らく嫉妬……なのかな。

 アリステラはつまらないものと言うが、俺のことを思ってのことなので嬉しくも思う。

 新しい人が加わると、それまでの人間関係や環境が変化することもある。

 良い方向にいくか悪い方向にいくかはわからないからな。



 「面接は治療した場所まで行ってもらうけど、転移陣は大丈夫?」


 「私が一緒に参りますので、問題ありません」


 「了解、ミリアンに任せたわ」


 「はい、お任せください」


 俺も一応転移陣の覚え書きは持っているんだけどな。

 帝国探しとダンジョン捜索で増やしちゃったから間違えないようにしないと。


 「次の議題ね。みんなダンジョン攻略お疲れさま。チェスリーのことだから、慎重に進めると思っていて、こんなに早く結果がでるとは想定外だったわ」


 「俺も驚いてる。みんなのスキルがこれほど熟練しているとはな」


 「クランの環境がいいからですわ!思う存分好きな練習ができますもの」


 「私も同じ意見ですわ。こんなに充実した日々はありませんでしたわ」


 「師匠の教えは素晴らしいです」


 環境に教育か。

 それもあるだろうけど、個々の努力の成果でもある。


 「これからのダンジョン捜索と攻略だけど、急ぎのダンジョン核は入手できたから、捜索を先にやりたいの。やっぱり人にとって危ないところを先に潰しておきたいでしょ」


 「そうだな」


 「それでね、しばらくダンジョン捜索はメアリとミリアンの二人に担当してもらうわ」


 「え?俺は?」


 「あんたは新メンバーの教育よ」


 「あ、でもまだ加入が決まったわけじゃないよね」


 「二人は増えると思うわ。あんたに興味があるらしく、調べているらしいの」


 「チェスリーさんの治療ですからね。私も旅して会いに行くつもりでしたし」


 ミリアンは転移でマクナルにきたけど、旅立つ寸前だって言ってたよな。

 エドモンダ侯爵様の屋敷で再開しときは驚いたなあ。


 「わかった。常に教育してるわけじゃないだろうから、合い間は俺も捜索ってことでいいか?」


 「あ、今のメンバーの教育も引き続きしっかりやるのよ」


 「わ、わかってるよ」


 「教育の合い間は、別に頼みたいことがあるの。メンバーの面接や教育が優先だから、また後日話すわ」


 「あ、ああ」


 別に頼みたいことか……。

 ヴェロニアがすぐに言わないってことは厄介なことなんだろう。

 今は目の前のことに集中したいほうがいいな。


 「エドモンダ侯爵様から人口の多い町の情報をもらったの。これに冒険者ギルドからの情報を合わせて優先順を決めるわ。もし危険度の高いダンジョンが見つかれば攻略を優先よ」


 「その前に昨日攻略しなかったダンジョンはどうするんだ?」


 「優先的には後回しね。アリステラに危ないところは埋めてもらったし、あの場所なら魔物が溢れても近くに人里はなかったよね」


 「そうだけどな……他と違ったから少し気になったんだ」


 「ダンジョンの情報も冒険者ギルドに情報を依頼するわ。もしかすると他と違う理由がわかるかもしれないし。それでも気になるなら調べればいいんじゃないかな」


 「了解だ」


 急いで調査したほうがいいという根拠もないし、捜索のほうを優先したいよな。



 「それとマーガレットは、私と一緒に魔道具開発に協力してほしいの」


 「私ですか?魔道具といえばアリステラさんでは?」


 「マーガレットの【以心伝心】って凄く便利なんだけど、マーガレットかチェスリーからしか呼びかけられないでしょ。全員がスキルを修得するのは大変だし、呼びかけ専用なら魔道具化できそうだから、試験に付き合ってほしくてね」


 「なるほど、了解しましたわ。私も【以心伝心】のさらなる応用を考えていますし、試験のお手伝いなら問題ありませんわ」


 「頼むわね。アリステラもいつもの加工で協力お願い」


 「はーい!」


 「これでだいたい終わったわね。他に何かある?」


 あっ、離れて活動しているメンバーはそれぞれどうしてるのか気になってたんだよな。

 ダンジョン捜索の方針も決まったことだし確認しておこう。


 「ジェロビンとグレイスのことはどうなってるんだ?」


 「あ、やっぱり気になるわよね。それが後日の話だから」


 「やっぱりそうだったか……わかったよ。後はレフレオンとマックリンのことだな」


 「あ~、そっちはねえ。ちょっとわかんない」


 「どういうこと?」


 「レフレオンがダンジョン攻略以外で呼ぶなって。何か修行してるみたい」


 「そうか。熱心なのは結構だが無茶してなければいいけどな」


 レフレオンに任せたことだし、あの二人なら大丈夫だと思うが……。


 「こんなところかな。クラン会議終わり!」



 一先ず俺がやるべきことは新メンバーの面接と加入した後の教育だ。

 わざわざ俺のことを探している2人はミリアンと同じ理由なのだろうか。

 今のメンバーは良好な関係を築いているが、もし2人が加入しても上手くやれるといいが……。


 そんなことを考えていたら、アリステラが声をかけてきた。 


 「チェスリーさん!あのっ、これからお時間いただけますか?」


 「あ、ああ。面接もすぐにいくわけではないしな」


 「私もお願いしますわ」


 「師匠、私もお願いがあります」


 「え?3人揃ってどうしたの」


 「えーと、では3人いっしょでお願いします!」


 「は、はあ。それで何をすればいいんだ?」



 3人の希望で空を飛ぶ練習をした場所に転移してきた。

 すると何故かアリステラが小屋を建て始めたのである。

 簡素な作りだが、小さな扉と窓がついており、中は2部屋あるようだ。


 「アリステラ、どうして小屋なんて建てたの?」


 「チェスリーさん、隠れ拠点を欲しがってましたよね」


 「そうだけど、これだと隠れてないし」


 「まあっ、私たちからも隠れるつもりですの?」


 「いや、まあ、それは無理だと思うけど」


 「クラン拠点以外でお一人になりたいときはどうぞご利用ください」


 「あ、ああ。ありがとう」


 「そっ、それでですね。わっわたしにチェスリーさんの”教え”を、その、ちゃんといただきたいのでお願いします」


 「……わかった」


 「はい!」


 アリステラと共に小屋の中に入る。

 まだ家具などはないのでがらんとしているが、窓から入る光でほのかに明るい。

 しばらく無言だったが、ゆっくりアリステラが話し始めた。


 「チェスリーさんに治療していただいてから、いろいろなことができました。私本当に物作りが好きだったんだなって感じましたわ」


 「ああ、俺は才能と好きなことが一致してると、こんなに凄いんだなと感じたよ」


 「私これからもいっぱいいろんな物を作りたいですわ。そのためにも、チェスリーさんの目標に協力させてください」


 「俺の目標は”復讐”だよ?物作りとは正反対かもしれないが……」


 「いいえ。魔物が襲ってくると、人が作った物は壊されますわ。物だけでなくそれと使う人たちも……」


 「……そうだな。魔物だけが原因とは限らないけどね」


 「戦争……ですね。帝国のことは少し伺いましたわ。でも人間同士であれば、何か理由はあるはずで、魔物のように殲滅する以外にも止める方法はあると思いますわ」


 「ああ、すまない。つい思いついて話を逸らしてしまった。魔物が出現すれば、力のないものは蹂躙されるだけだ。俺がどうしても許せないのが、そういう理不尽さだからな」


 「はい。それで……これからのためにも、チェスリーさんの教育をお願いします」


 俺の覚悟は既にできている。

 アリステラの協力は必要だし、それ以上に俺が手放したくない。


 教育するスキルは素質にあったものにするべきだろう。

 やたらレアスキルを収集していた俺が言うのも今更だが、俺の素質が教育にあるのなら無駄ではない。

 教育するときに相手の素質に合うスキルを、収集した中から選択できるからだ。


 アリステラには【能工巧匠】の魔力を流すことにした。

 元はアリステラのレアスキルであり、既に素晴らしい効果を発揮している。

 俺も修得することができたが、アリステラのように大規模な加工はできない。

 しかし、俺は魔力制御を魔力量に合わせて調整することが得意で、細かな加工であれば自在にできるようになった。

 俺の魔力制御を改めて教えることで、アリステラが学ぶこともあるだろう。


 そして俺に好意のあるアリステラなら、教育の効果があれば感情の昂りがあるはずだ。


 俺はアリステラの手を取り、【能工巧匠】の魔力を流していく。

 ……効果あったようだ。

 アリステラが感情の昂りをおさえるように抱き着いてきた。


 そっとアリステラの顔を両手で包み、ゆっくりと顔を近づけてキスをする。


 「ふわあ。本当にすっとおさまります。こちらのほうが魔法のようですわ」


 「い、いやあそうかい。それは何よりで」


 「はい!これからもよろしくですわ!」


 アリステラは喜んでいるようだし、これでいいのかな……

 あとの二人も同じことを希望するのだろうか。

 気が多いと言われようと、マーガレットとメアリから俺を見切りでもしない限り、手放せないんだよなあ。


今回もお読みいただき、ありがとうございます。


次回は「教育による適材適所」でお会いしましょう。


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