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第78話 ヴェロニアの後悔と開き直り

 ◆三人称視点◆


 チェスリーがミリアンといちゃつきながら、空を飛ぶ魔法を練習しているころ、ヴェロニア達はメアリの転移魔法でマクナルへ移動し、魔道具クランを訪れようとしていた。

 未発見ダンジョン捜索の鍵となるダンジョン核の特徴について、ジェラリーに相談するためだ。


 チェスリーに問題点を指摘されたヴェロニアは、内心かなり落ち込んでいた。

 チェスリーの目標達成のため、未発見ダンジョンの捜索は必須であり、そのための準備を整えていたはずなのに肝心なところを見落としていた。

 魔力が視えることでいろんな問題を解決した実績がある。

 そのことが影響したのか大規模ダンジョンで魔力視を試した一例だけで、今回も解決できると安易に想定してしまったのだ。


 ヴェロニアがジェラリーに頼ることを決めたのは、クランの影響が大きい。

 ヴェロニアはチェスリーと同じく、自分の力だけで物事を解決しようとする傾向があった。

 チェスリーが仲間の助力で成長する姿に、ヴェロニアは知らず学んでいたのだろう。



 ジェラリーの魔道具クランへの移動中、メアリの試したいことが何か気になったヴェロニアは、メアリに聞いてみることにした。


 「メアリは試したいことがあるのよね。何を試したいの?」


 「試したいのはダンジョン核の反応のことです。師匠と未発見ダンジョンを捜索しているときに、思いついたことがありまして」


 「え、なになに」


 「師匠の発想と同じです。【察知】と【分析】の反応を試すために、マーガレットさんとアリステラさんに来ていただいたように、私も属性魔法を使って反応を試したいのです」


 「……なるほど。それならチェスリーに来てもらった方がよかったかもしれないわね。6属性の魔法全て使えるんだし」


 「いえ、師匠には【一望千里】の問題を解決してもらわねばなりません。こちらは私が担当です」


 「でもさ、メアリって魔法の属性で使えるの闇だよね」


 「それは師匠の弟子になる前のお話しです。私も6属性全て使えるようになりました」


 「ええっ!メ、メアリったらいつの間に」


 「……師匠は本当に凄いです。私に惜しげもなく教育を施してくれました。これに応えねば弟子として顔向けできません」


 「へええ……あっ!魔力視は試してみた?」


 「はい。6属性が使えることが魔力色が視えるという想定は間違っていなかったようです。私も魔力の色が視えるようになりました。師匠から普段使わなくなった魔力視の頭巾をお借りしています」


 「ほんとに!?えっと、それじゃ聞いてもいいかな……。色付きの魔力視で視たら、人がどう見えるのか」


 ヴェロニアの質問に答えるべきか、メアリは迷った。

 メアリ自身が色付きの魔力視が使えるようになったときに、あれほど明確に体形がわかると思っておらず、しばらくチェスリーと目を合わせられなかったのだ。


 「……黙秘は許されるでしょうか」


 「む……許さないと言いたいところだけど、ちょっと聞くのが怖くなってきたわ。マーガレットとアリステラは聞いてみたい?」


 「わ、私は……遠慮しましょうかしら。チェスリーさんの顔が見られなくなりそうですわ」


 「えっと、私は聞いておきたいかな~って……いえ、やっぱりやめておきます」


 「そ、そうよね。真実を知ることが必ずしも正しいとは限らないわ。うん、この話はやめましょう。さあ、ジェラリーのところに乗り込むわよ!」


 ヴェロニア、マーガレット、アリステラの三人は純情であった。

 ヘタレと言うかもしれないが。

 意外とメアリが一番進んでいるかもしれない。


 ヴェロニアの落ち込んでいた気分も、この会話で幾分晴れたようだ。

 ジェラリーのいる魔道具クランの拠点を訪れ、ジェラリーと面会する。


 「ヴェロニアさんがいらっしゃるとは珍しいですわね。ひょ、ひょっとしてアリステラさんを貸していただけるのかしら!?」


 「いや違うから。ジェラリーに頼みたいことがあってきたの」


 「ヴェロニアさんが私に頼み……何か不穏な気配を感じますわ」


 「ちょっとそれは失礼なんじゃない?そんなに私の頼みで警戒することないでしょ」


 「あなた……過去の自分をお忘れになったの?警戒しなくていい頼みがあったかしら」


 「ん~どうだったかな。あんまり覚えてないや」


 「……まあいいですわ。それで頼みとは何でしょうか?」


 「ダンジョン核のことを教えてほしいの。ぱっと見つける方法とか知らない?」


 「あなたね……それができるなら、私が探しに行ってますわ!魔道具に使うダンジョン核が不足しているのですから、こちらが教えてほしいぐらいですわ!」


 「あ~ごめん。焦って質問間違えちゃったわ。ダンジョン核の特徴を教えてほしいの」


 「あなたとの会話は疲れますわ……。特徴といっても、魔力吸収のことはご存知ですよね」


 「そうね、魔力を大量に吸収するってのは知ってる」


 「私も魔力視で調べた特徴を知っているぐらいですわ。魔道具の動力に使えたのも、魔力を視たからです」


 「う~ん、それじゃダンジョン核の加工ってどうしてるの?」


 「魔法で加工してますわ。アリステラさんほどではありませんが、土魔法が得意な方は加工できるようですの」


 「へえ、土魔法でね。あのね、ダンジョン核をちょっと貸してくれないかな。試してみたいことがあるの」


 「……以前の頼み事を思い出しましたわ。イビルアイの瞳のときも、私の素材目当てでしたわね」


 「懐かしいわね。ということで今回もよろしく」


 「ダンジョン核が不足しているといったばかりですのよ!既に加工にまわしているものしか、ありませんわ」


 「え~~!ジェラリーさあ、そんな状況で大丈夫なの?」


 「そう言われましても、ないものはしょうがありませんわ」


 「注文、いっぱいきてるんじゃないの?」


 「う……きていますが、製造も間に合っておりませんので……お待ちいただいてますわ」


 「ダンジョン核の供給先が増えるかもって言ったらどうかな?」


 ジェラリーは突然立ち上がり、ヴェロニアに詰め寄る。


 「そそそ、それは本当ですの!?」


 「ちょ、落ち着きなさいな。かもって言ったでしょう」


 「本当に困ってますの。ダンジョン核を収集している貴族には足元を見られたり、そもそも売る気がなかったりで……。持っているだけでは何の役にも立ちませんのよ!」


 「いや~それが収集家ってものでしょ」


 「あまりに供給が少ないので、初期に作成した魔道具より、性能を落とすしかないところですの。それでも注文に間に合わない状況で……」


 「あらまあ、そんなに困ってたのね。ねえ、どちらにしても足りないなら、あたしに任せてみない?確約はできないけど、何個か持ってこれるかもしれないから」


 「……小さめのものでも、2つぐらい追加のダンジョン核があれば助かりますわ。入手できたら、必ずこちらへ提供いただけると約束していただけますか?」


 「うんうん、約束しちゃう」


 「期限は10日以内でお願いしますわ。その期限に間に合わないと、注文を停止するしかありませんから」


 「10日ね……。わかったわ、何とかさせてみる」


 「させる?ヴェロニアが頑張るのではなくて?」


 「ふふ~ん。頑張るのはチェスリーよ。わたしたちはお手伝い」


 「あなたって人は、またチェスリーさんに頼ってますのね」


 「別にいいじゃないの。チェスリーがやりたいことのお手伝いなんだから。……うーん、そうなるとちょっと仕込みが必要ね。メアリとアリステラは先にダンジョン核の反応調査をお願い。マーガレットは私と残ってね」


 「私に何かご用ですか?」


 「うん、ミリアンとケイトに伝えてほしいことがあってね。マーガレットにとっても悪い話じゃないと思うわよ」


 ヴェロニアは平然と話しているようだが、またも胸中は穏やかではなかった。

 チェスリーにダンジョン核のことは気にせず攻略しろといった発言を撤回しなければならないからである。


 ここで落ち込むことなく、考えを切り替えるのがヴェロニアである。

 なかなか上手く舵取りできないのはしょうがない。

 リーダに任命されたときから、自分の力不足はわかっていた。


 ならば自分らしくクランの舵取りをするしかない、と開き直ることにした。

 みんなちょっぴり幸せになる方向へ舵を切ってみようと。


 「……ヴェロニアさんが悪い顔をされてますわ」


 「やっぱりわたしらしくやらないとねって思ったの。えっと、伝えることは――」


 ヴェロニアが思いついたことは、チェスリーとメンバー達の不満を解消する一手だった。

 上手くいけば、チェスリーの教育でメンバーの感情が抑え難くなっていることを解決できるかもしれない。

 限度を超える前にちょっぴり解消すれば、みんなお子様だし大丈夫よね、と失礼なことまで考えていた。


 伝える内容は、ケイトさんにヴェロニア特性の感情が高まるポーションを食事に混ぜてほしいこと。

 ミリアンには、教育の感情を抑制するためキスのおねだりをしなさいと。


 「えええっ!?そんなことを伝えるのですか」


 「うん、マーガレットも他人事じゃないでしょ。そろそろキスぐらいしておかないと危ないんじゃないの?」


 「わ、わた、私はそ、そんなこと、ございませんですことのよ」


 「こりゃダメね。やっぱり今の通り伝えてちょうだい」


 「……伝えるのが恥ずかしいですわ」


 「そこは度胸を見せなさいよ。上手くいけばマーガレットもキスしてもらえるわよ?」


 「そ、そうですわね。これはクランの活動に必要なことですから、恥ずかしがることもありませんわ」


 マーガレットは【以心伝心】を使い、ケイトさんとミリアンに、ヴェロニアからの指示を伝えた。


 「よし、これで大丈夫ね」


 「何が大丈夫なのか……今一つ不安です」


 「さあさあ、次はダンジョン核のことよ。こっちが上手くいかないと、マーガレットの順番は回ってこないかも」


 「え!?早くみんなのところへ行きましょう」


 「はいはい」


 後でアリステラとメアリにも話しておかなきゃね、と思いながらヴェロニアはダンジョン核調査の様子を見に行くことにした。

 ヴェロニアの調子はすっかり戻ったようだ。


今回もお読みいただき、ありがとうございます。


次回は「捜索魔法の開発」でお会いしましょう。


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