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第75話 ダンジョン捜索の問題

 シペル帝国と偶然見つけた町が戦争状態にあるという。

 ジェロビンとグレイスは、一先ずこの町で情報収集することにしたようだ。

 移動したい時や連絡事項などは、マーガレットに【以心伝心】を定期的に使ってもらうので、その時に伝えてもらえばいい。

 俺とメアリの転移陣をジェロビンに渡してあるので、必要とあれば直ぐに駆けつけることができる。



 方針が決まったところで、俺はメアリと一緒に王都へ戻ることにした。

 結局、ジェロビンやグレイスと一緒に観光を楽しむことはなかったな……。

 戦争状態でピリピリしている中で、のんびりできそうもなかったからだ。



 王都のクラン拠点に転移で戻る。

 今までのなかでは最長の距離だったので少し不安はあったが、問題なく転移できたようだ。

 想定以上に早く戻ることになったが、未発見ダンジョンの捜索も実際にやってみないとどんな問題があるかわからない。

 早く始めるに越したことはないだろう。



 休憩を兼ねたお茶の席で、クランメンバーに帝国やジェロビン達のことを伝えた。

 その後、王都の地図を片手に、視認転移を使った未発見ダンジョンの捜索を始める。

 王都周辺から徐々に捜索範囲を広げていくつもりだ。


 捜索を始めて3時間……。

 実際にやってみると、想定した捜索方法は問題だらけだった。

 地上には遮蔽物となるものが、意外と多いのだ。

 人工物は少し人里を離れるとなくなるのだが、山や丘など自然にあるものが障害物となり、平坦に見通せるところは少ない。

 さらに森林では木々が邪魔をして見通すことができない。


 そしてダンジョン核の目印として想定していた、魔力が通常の流れと異なる場所、というのを見極めるのは難しいようだ。

 魔力を吸収しているのは、ダンジョン核だけではなかった。

 魔物も魔力を吸収しているようなのだ。

 その証拠に魔力の流れが異なるところに近づいてみると、【察知】に多数の反応があり、レッサーウルフの群れが見つかった。

 一先ず殲滅しておいたが、目的は魔物退治ではないしな……。

 魔物以外にも、薬草などの薬の材料になる植物は、魔力を吸収していることがわかった。

 そういえば薬草を見つける時に、ダークミストを展開して色が薄くなるところを目印にしていた。

 この現象は、薬草が魔力を吸収していたからなんだな……。


 肝心の目印が曖昧では、ダンジョン核を捜索するのは無理だろう。

 捜索方法を検討しなおす必要があるな。



 ヴェロニアに捜索の問題を伝え、クラン会議を開くことにした。


 「第11回クラン会議を始めるわ。議題は未発見ダンジョン捜索の問題についてよ」


 俺から捜索の結果を話すことにしよう。

 解決するにはみんなの知恵を借りたい。


 「未発見ダンジョンの捜索は想定していた方法では無理だった。視認転移が地上からでは遮蔽物が多すぎること、そして目印として想定した魔力の流れが異なる場所は大量の魔物や植物でも発生することだった」


 「……想定が甘かったということね。研究だけじゃ気付けなかったわ。ごめんね、無駄足踏ませちゃって」


 「ヴェロニアが謝ることないよ。俺も実際やってみるまでは捜索できると思ってたんだ」


 「ダンジョン核は魔力を多く吸い込むから、明らかな違いが出ると思ったんだけどね。魔力吸収が少量のものでも大量に集まればわからなくなるのね」


 「そうだな。参考に中規模ダンジョンを見にいってみたら、魔力の流れが明らかに違うとわかった。だがそれはダンジョンの周りが整備され、他に余計なものがない状態だったからだ」


 「あたしも大規模ダンジョンを参考にしたの。……未発見ダンジョンは人の手が入っていない場所にあるんだから、それだと見つけられないわね」


 ヴェロニアはしばらく頭を下げて黙ったまま、何か考えているようだ。

 そして頭を上げて、発言を続けた。


 「ジェラリーを頼ってみるわ。ダンジョン核の研究は、彼女のほうが詳しいの。いい考えがあるかもしれないわ」


 「わかった。もう一つは【一望千里】の問題だな。帝国を探すときは、山頂に転移して上から大雑把に探せばよかったが、未発見ダンジョンは探せない。地上から探すのは、徐々に範囲を広げるぐらいしか思いつかないが、これだと時間がかかりすぎる」


 「あのっ、私がすごーーく高い塔を建てるというのはどうでしょう?」


 アリステラ得意の土魔法で高い場所を作るのか。

 う~ん、しかし……。


 「その方法は問題があるな。建築材料をどうするかも問題だし、何よりそんな塔があったら目立ちすぎる」


 「う、そうですね……。材料は周りの土を使うとしても――」


 「それだと塔の周りが穴だらけになりそうだな」


 「あはは……、すみません。却下してください」


 今回は問題があったが、高い塔を作るというのは魅力的だな。

 塔の上から見る景色はさぞいいものだろう。


 「その問題は私に解決させてください」


 「ミリアン、何かいい考えがあるのかい?」


 「空を飛ぶ魔法はどうでしょう。以前、チェスリーさんから視認転移の問題で、地面が見えるところが限界と伺いました。その問題を解決できないかと、魔法を開発中でした。……まだ完成していませんけどね」


 「おお。もし空を飛べるなら、確かに遮蔽物の問題が解決する」


 「……チェスリーさんに手伝っていただきたいです。私だけではいつ完成するかわかりません」


 「いいよ。会議が終わったら早速始めよう」


 ミリアンは、ぱっと花が咲いたような笑顔になった。


 「わ、私も空を飛ぶ魔法を……」


 「マーガレット、まだ開発できるかわからないんだ。先ずミリアンと試してからにするよ」


 「……はい。私は【察知】の練習をしておきますわ」


 「うん、【察知】も必要だ……から……、ん……【察知】か」


 【察知】は生物に反応する。

 【分析】は無機物に反応する。

 どちらも魔力の膜を広げることで、対象に反応するものだ。

 ダンジョン核はこれらのスキルにどう反応するのだろうか……。


 「マーガレットとミリアンの二人に頼みがある。ヴェロニアといっしょにジェラリーさんに会いに行ってくれないか?」


 「は、はい。でもどうしてでしょうか?」


 「ダンジョン核に対して、【察知】と【分析】を試して欲しいんだ。もし反応が違うようなら、ダンジョンを探す手掛かりになるかもしれない」


 マーガレットとアリステラも、ヴェロニアと一緒に行くことを了承してくれた。

 アリステラは加工でも役に立てるし、行って損はないだろう。


 「師匠、私もヴェロニアさんたちと一緒でいいでしょうか?」


 「ああ、転移でマクナルへ送ってほしいし一緒で構わないが、何かやりたいことでもあるのかい?」


 「はい、試してみたいことがあります」


 「わかった。必要があれば【以心伝心】で呼ぶから問題ないよ」


 やることは決まったな。

 未発見ダンジョンを捜索することさえできれば、攻略する方法は既に考えてある。

 何とか効率のいい捜索方法を見つけたい。


 「クラン会議は終了よ。私たちはマクナルへ移動するから、メアリは転移で送ってね」


 「了解しました。では師匠、ミリアンさんと頑張ってください」


 「ああ、みんなもよろしくな」


 メアリの転移で、ヴェロニア、マーガレット、アリステラはマクナルへ移動した。


 俺とミリアンは……どうしようかな。


 「ミリアン、空を飛ぶ魔法はどんなことを試してるんだ?」


 「えっとですね、火魔法や風魔法を使う方法は無理だとわかりました。今試しているのは収納魔法の応用ですね」


 「収納!?火魔法や風魔法のほうが飛ぶのに使えそうだけど」


 「私も最初はそう思っていました。でも風や火の魔法を使ったときに、反動ってありませんよね?」


 「そうだな、竜巻の魔法を使って自分が吹き飛んだりしないからな」


 「火も同じで、魔法を使った反動がないのです。属性魔法は魔力を変換して押し出す感じなので、自分に反動がないみたいですね」


 「なるほど。それじゃ誰かに風魔法を使ってもらい……空を飛ぶのに攻撃うけてどうすんだよって話だな」


 「ふふっ、その通りですね。あとは、鳥は翼を使って風を切るように飛ぶので、その仕組みが使えないかなとも考えましたが、身体の構造が違いすぎてダメでしたね」


 「そうだよなぁ。あっ腕に翼みたいなものをつけて、【俊足】で勢いをつけて飛び立つのはどうだろう」


 「面白いことを考えますね。……それなら、船が帆に風を受けて進むように、上に帆のようなものをつけて、風魔法で上昇するというのもよさそうですね」


 「お、なかなかいい発想だね。しかしこれだと、思うように動かすのは難しそうだな」


 「ええ。それで収納のことを思いついたのです。収納に入れると重いものでも、重さを感じなくなりますよね」


 「ああ。それは別の空間に入るからじゃないのか?」


 「では別の空間って何なんでしょうね」


 「……何だろう。収納魔法は使ってるけどわからないや」


 「チェスリーさんに教えていただいた、黒系の魔力に関係しているのではないかと思いました。【転移魔法】、【収納魔法】、【一望千里】は全て黒系の魔力を使ってますよね?」


 「そうだな」


 「光と闇属性の魔法は、物理的なこと、つまり重さに関連しません。詳しい理屈はわかりませんが……重さや空間というものに黒系の魔力が作用しているのではないかと思うのです」


 「そうか、もし重さに作用して、自分の重さを限りなく軽くできれば……空から落ちても大丈夫なわけだ」


 「単純にそうは言えません……軽くても高いところから落ちる速度は変わらないそうです。でも軽ければ、鳥のように風を上手く使うとか、何か弱い他の力でも利用できるのではないかと」


 「へえ、軽いものでも落ちる時は一緒なんだ。そうするとミリアンの言うように工夫しないといけないね」


 「はい。では試しに私を抱え上げてくれませんか?」


 「え!?」


 「う、後ろから抱えて持ち上げるだけですから……」


 「は、はい」


 俺からミリアンに抱き着くのなんて、今までやったことないから緊張する。

 ええい、実験だと割り切ってやってみよう。


 ミリアンの後ろから腰に両腕を回し、持ち上げてみると......。

 軽い!まるで幼い子供でも持ち上げているかのように楽々持ち上げられる。


 「ミリアン軽いよ!重さの軽減は既にできてるんだな」


 「はい!あ、あの……そろそろ降ろしていただいていいですか」


 「あ、すまない」


 黒系の魔力で重さを軽減か……今まで考えたこともなかった。

 まてよ……さらに重さの向きを制御できるなら、方向も変えられるのではないか。

 うん、やれそうな気がする。

 修得できたら空を自由に飛び回れるかもしれないと思うと、俄然やる気がわいてきたぞ。


今回もお読みいただき、ありがとうございます。


次回は「空を飛ぶ魔法の練習」でお会いしましょう。


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