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第71話 マックリン歓迎会

朝のほうが慣れているるので、9~10時投稿に戻そうと思います。

今後もよろしくお願いします。

 結局マクナルでは練習できないまま、王都のクラン拠点に戻ることになった。

 マックリンの歓迎会を開くというので、出席しないといけないしな。


 マックリンがいつクランを抜けられるか知らされていなかったはずだが、ケイトさんはしっかり豪華な料理を用意してくれた。

 やっぱりケイトさんは隙がないな。


 参加者は主役がマックリンで、俺、ヴェロニア、ミリアン、マーガレット、アリステラ、メアリだ。

 ジェロビンとグレイスも紹介したかったが、またの機会だね。

 ヴェロニアの乾杯で歓迎会が始まった。


 「マックリンのクラン参加を歓迎するわ。乾杯!」


 「「「「乾杯!」」」」


 「マックリン、一言どうぞ」


 「おう。みんな歓迎会なんて開いてくれてありがとうな。俺はチェスリーと共にダンジョンをぶっ潰すために、このクランに入った。同じ目的を持った同志がいて嬉しいぜ。今後もよろしく頼む」


 全員から拍手が送られる。

 後は堅苦しいことは必要ない。

 大いに飲んで食べよう。


 話題は『黄金の翼』に関することになりそうだな。

 俺からも話はしているが、元リーダーからの話のほうが詳しく聞けるだろう。


 ……俺との女性関係の話ばかりになるとは思わなかったが。


 「マックリンさんから見て、どの方が一番チェスリーさんに惹かれてそうでしたか?」


 「やっぱりカリスリンだろうな。治療の魔法に自信があっただけに、チェスリーの完全回復には驚いていたぞ。最初は対抗心を燃やしていたが、チェスリーが手ほどきしてからすっかり懐いてしまったな」


 「シンディさんの方が、チェスリーさんに興味深々といった感じでしたよね?」


 「そうだなあ。シンディは料理好きで趣味が合ったようだが、興味があったという点ではアメリンナの方だろうな。あの派手好きなやつが、チェスリーの前では随分しおらしくなってたぞ」


 変化の腕輪で老齢化した姿なんだぞ……。

 恋愛対象にはならないと思うのだが。

 その後も話は続いたが、とりあえず俺の無実は証明された。

 一息ついたところで、マックリンがこちらに話しかけてきた。


 「クランメンバーの紹介を聞いた時はかなり驚いたぞ。マーガレットとアリステラが貴族の娘さんだと聞いて、なんてヤバいクランなんだと」


 「何でヤバいんだよ……いや、やっぱりヤバいか?」


 「研究クランならまだしも、ダンジョン攻略のクランだろ?貴族が娘を所属させるなんてありえねえよ」


 「いやあ、あくまでスキル研究のクランのつもりだったんだけどな」


 「そうなのか?実際にダンジョン攻略を始めたらどうするつもりなんだよ。下手すると処罰されるかもしれないぞ」


 「マーガレットやアリステラを探索に連れていくつもりはないよ。メアリ以外は冒険者ではないからな」


 「え!?……俺とチェスリーとメアリの3人しかダンジョン攻略メンバーはいないってことか」


 「後は……レフレオンという斧使いがいる。それとジェロビンとグレイスが諜報の担当でいるんだ」


 「6人か、少数精鋭としては最低限揃っているとも言えるが……」


 「攻略の話はクラン会議でやろう。俺がレアスキルを集めていることと合わせて説明するからさ」


 「おう、わかった。だが気にいらなかったら、俺も意見させてもらうぜ」


 「それこそ望むところだ。気づいた所はどんどん指摘してくれ」


 多分ここで話すと収拾がつかなくなるだろうからな。

 今日はマックリンの歓迎会、攻略の話題をするべきではないだろう。


 その後はクランを作るまでの経緯や、王都に拠点ができるまでにしてきたことなど、クランの歴史を辿るような会話が続いた。

 思えばここまでいろいろあったなぁ。

 まだダンジョン攻略すら始めてないのにな(笑)


 魔班病治療の話も今となっては懐かしくすらある。

 あ……そういえば。


 「ヴェロニア、サンディ達って無事にやってるのかい?」


 「ああ、あんたに話してなかったわね。彼女は教会で元気でやってるわよ、聖女様としてね」


 「聖女!?」


 サンディは気怠そうな雰囲気でしゃべる色っぽい子だったよな……。

 聖女ってイメージじゃなかったなあ。


 「チェスリーは教会にも女がいるのか!見境のないやつだな」


 「おいおい、人があちこちに愛人がいるような言い方はやめてくれ。サンディは俺の教え子だから、『黄金の翼』での関係といっしょだ」


 「ならやっぱり愛人がいるのと同じ――」


 「その話はさっき無実が証明されただろ!手を出したりしてないからな」


 全く女性関係と聞いて、すぐに愛人とか思うのはやめてほしいな。

 恐らくそういう感情を持っているクランメンバーにさえ手を出してないのに。


 「サンディは特に人気のようね。あんたに会いたがっていたから、一度訪ねてもいいんじゃない?」


 「そうだな、あれから会う機会もなかったし……行ったら捕まったりしないよね?」


 「何で捕まるのよ。何かやったの?」


 「別に何もしてないけどさ、マクナルに帰ってジェラリーさんに会ったら捕まっちゃったから」


 「あ~ジェラリーにチェスリーの手が空いたら訪ねてほしいと言われてたのよね。いきなりマクナルに行くとは思わなかったから、話せてなかったわ」


 「魔道具がいっぱい開発されてて驚いたよ。冷暖房器や調理器もジェラリーさんのところで開発されていたと知らなかったしな」


 「あれ便利よね~。魔力がない人でも使えるから、お金持ちの貴族から予約が絶えないそうよ。あの大きい建物でさえ工房が不足していて、さらに増築されるかもしれないんだって」


 「景気いい事だな」


 「……他人ごとのように話してるけど、ちゃんとあんたにもお金は支給されているのよ」


 「え!?別に何もしてないし、何で支給されてるの?」


 「あんたならそう言うと思ったわ。魔物素材判別を発見した特許として、クランに支給されているの。クラン活動の資金に使わせてもらってるわ。ずっとプリエルザ公爵様とエドモンダ侯爵様に出資させるわけにはいかないからね」


 「そうだったのか……。ダンジョン攻略は利益無視でやるつもりだったから、お金はどうしようかと思ってたんだ」


 「お金のことはあたしに任せて、あんたは目標の事だけを考えればいいわ」


 「うん、そうするよ。あ、そういえば未発見ダンジョンからダンジョン核を持って帰れば、お金になるんだよな」


 「そうね……価値はさらに上がってるわ。でもね、もし攻略がダンジョン核を入手できない方法だとしても遠慮しないでやりなさいよ。半端なことしてたらダメだからね」


 「……ありがとう。でも魔物素材を見る手伝いのことぐらい、先に話してもよかったんじゃないのか?」


 「あんたに余計な情報伝えると、ややこしくなるのよ。手伝って欲しいなんて、タイミングを考えずに伝えたら、すぐ行こうとしちゃうでしょ」


 「俺だって優先順ぐらい考えるよ…多分」


 「その優先順を間違って逃亡なんてしたのは、どこの誰だったかしらねぇ」


 「ぐぐぐ、いや、あれは緊急だったじゃない?レアスキル持ちの人が王都にいる間に視ておかないと、もうスキルが手に入らないかもしれないし」


 「ほう、今から帝国に行こうとしている人が、帝国の人にいつ会えるかわからないとか言うのね」


 「うむむ……はい、すみません」


 「ジェロビンが先に伝えたのだって、上級クランのメンバーとして上手く予定を調整すれば、堂々と会えると思ってのことなのよ。それを先走るものだから、話がややこしくなっちゃったじゃない」


 ヤバい……この話は蒸し返すべきではなかった。

 せっかく罰なしで…いや、宿舎軟禁と教育上乗せは罰としてあったが、『百錬自得』からの罰はなかったのに。


 「……思い出したら腹立ってきた。試してみたい魔道具の実験が、ほんの少し危険だからどうしようかな~と思ってたけど、チェスリーに任せることにするね」


 「おい、お前のほんの少しほど、あてにならないことはないんだが」


 「だいじょぶだいじょぶ。それに考えてみれば、チェスリー以上の適任はいなかったわ。【建城鉄壁】は使えるし、万が一の時も治療の魔法が使えるし」


 「ちょっと待とうか。ほんの少しの危険で使うようなスキルや魔法じゃないぞ。万が一ってところも聞き流せないんだが」


 「細かいわねえ。それじゃ実験をマーガレットやアリステラに任せてもいいの?」


 「そんなことさせるぐらいなら、俺がやるに決まってるだろ」


 「はい解決した。明日時間ちょうだいね」


 全く、ヴェロニアの実験をマーガレットやアリステラにさせるなんてとんでもない。

 ……あれ?結局俺がやるのか。

 諦めかけたところで、マックリンが声をかけてきた。


 「俺がやってもいいぜ。新入りだから、雑用もこなさないとな」


 「ヴェロニアの実験を舐めないほうがいい。明日は見学にしてくれ」


 「お、おう。……そんなに危ないのか?」


 「想定できないところが一番危ないんだ。どうなるかは試してみるまでわからない。慣れている俺の方が対応できるはずだ」


 「何なんだよ慣れって。お前たまに真面目におかしいこと言うよな」


 「まあ……、見ればわかるさ」


 「それよりさ、クランの新しいメンバー、チェスリーがいない間は増やさないようにしてたけど、声かけてみようか?」


 「うーん、マックリンが加入してくれたし、他の候補も貴族のお子様だからなぁ」


 「私は反対ですわ。チェスリーさんがどうしても必要と言われるなら、考えてもよろしいですけど」


 「マーガレットは反対なのか、アリステラは?」


 「私も……チェスリーさんが不足とおっしゃるのなら増やしてもいいですけど、反対ですね」


 マーガレットとアリステラは、貴族の知り合いが増える方が嬉しいかと思ったが、そうではなかったようだ。

 それに二人とも俺が『黄金の翼』で過ごしている間に、相当な訓練をしていたようだ。

 まだ成果の全てを把握できていないが、スキル次第では後方支援として十分期待できる。

 単に人数が増えればいいというものでもないしな。


 「そうか、それならメンバーは無理に増やさないようにしよう。今のメンバーで問題があるようなら、俺から提案するよ」


 「うん、わかった」


 必要なスキルが揃えば、人数は最低限でいいはずだ。

 俺が理想とするダンジョン攻略は、通常のダンジョン攻略と全く違うものになるだろうからな。


今回もお読みいただき、ありがとうございます。


次回は「男は拳で語る」でお会いしましょう。


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