魔王軍駐屯地。
あなたと私は友達じゃないけど、私の友達とあなたは友達。
グラムシに呼ばれて俺とサーシャは外に出た。
俺がいた所は一軒家だった。接収したのだろう。
時刻は早朝だった。何日も寝ていた気がするが、数時間しか経っていなかったのだ。朝陽の眩しさと露の冷気が身にしみる。
目の前を荷車を引くユニコーン、荷物を背負った巨人やゴーレム、そしてそれらに引っ切り無しに指示を出すゴブリンやエルフが通り過ぎていく。どれ程いるだろうか。ここは魔王軍の駐屯地だったのだ。
「帝都には空路で向かいます。こっちです。付いてきてください。」
グラムシの後に付いていくとこれまた多くの飛龍や大怪鳥がたむろしていた。胴体や背中には流線型の客室や貨物室がフィットするように取り付けられていた。あれに乗るのだろう。
「やっぱりお前特別扱いじゃねえか!!!!!」
声の方を見ると無数の人間が鉄柵の囲いの中にいた。捕虜たちに違いない。
その中に例の隣にいた兵士がいた。
「あー、あの、サーシャ・・・サーシャ先生?一つ質問してもいいでしょうか?」
「どうしたの?」
「あの捕虜たちどうなるんです?」
「食材に決まってるじゃないか!」
「お、おう・・・」
「おいおい嘘だよ!陸路で移送して帝国の収容所に入れる。今はもう食べるとか食べられるとか、そういう時代じゃないよ!はっはっはっ!」
全然笑えなかった。
「あの兵士お友達?」
サーシャが兵士を指差す。
「あー、一応?」
正直返答に困った。
「サキさんと一緒に捕虜にした兵士ですね。連れて行きます?」
グラムシが聞いてくる。
「あー、それじゃあせっかく何で・・・。」
兵士が連れてこられる。
「俺達はどうなるんだ!?」
兵士が怯えた手で腕を掴んでくる。
「仲良くこの狼男の飯になるらしいぞ。」
サーシャをそっと指差す。兵士の顔がみるみる青ざめる。
「サキ君、その冗談キツくない?」
サーシャが苦笑いする。