喫茶店 RAVEN&sparrow
喫茶店の夜
喫茶店「RAVEN&SPARROW」店の内装はどこにでもある木造でクラッシクな造りになっている。カウンター、テーブル席は4人で座れるところから2人、または8人でも座れる所がある。この店の大きさはどのくらいだったかな?このくらいだったら10坪以上は間違いないと思う。こんなに大きな店を持っている店長ってもしかして大金持ち?それで、金銭感覚がおかしいのかな?今度、店長か鈴音さんに聞いてみよう。
「店長、ナポリタン、カルボナーラ、オムライス、ハンバーグはデミが1つずつ入りました」
「おう。これ、頼んだ。トルコライス」
「うっ。まだあの人が来ているんですか?」
「華ちゃん、常連さんに向かって失礼な事言わない。変態的な目をしているとか言っちゃダメよ。大声で」
鈴音さんが店の中全体に聞こえるように言ってきたのでそのお客さんの方をチラリっと見たら満面の笑でこっちを見ていた。きもい。
「鈴音さんが持っていきませんか?あんな変態の所いったら犯されます」
「大丈夫。あなたがそこまで分かっているのなら話が早いわね。行ってきなさい。大丈夫よお皿を置いたあとに害虫を見るかのような目を向ければ大人しくなるから」
「変な対応取らせようとするな。いいから、持ってけ何かあったら大声出していいから」
「店長の鬼畜生」ボソ
「あっ、そうですか。よし、今日はお前の晩飯だけきのこ多めのハンバーグだな。鈴音にはシチューでいいか?味がコンポタのやつで」
「ありがとう。愛してるわよ黒」
「嘘乙」
「店長ひどい」
私たちの会話を聞いていたお客さんの反応はというと。
また、始まった、羨ましい、家族みたいだな、和みますね、美味そうだなー。
などなど聞こえてくる。私からしたら恥ずかしい。こんなこと言われるのもこんな格好のせいだからな。店長や鈴音さんは腰のところにエプロンを付けているのに対して私の格好はエプロンじゃなくYシャツに赤くて細長いリボン、スカートは膝までの長さ。そして、私たちの身長差を考えたらそう見えるわよね。
華 身長155cm 店長175cm 鈴音163cm
もう、嫌。
「ほら、さっさと持っていけ。あと1時間でラストオーダーをとるから」
「あら、もうそんな時間なのね。なら、歌も始めないとね」
「ピアノ弾くか?って言ってもキーボードをピアノの音に設定して弾くしかないがな」
「いいわよ、これを使わせてもらいますから」
鈴音さんの手には羽衣を用いたデバイス。羽板「はごいた」と言われるものだ。前はスマホだの言われていたものなんだが、羽衣を用いた技術で生み出されたそれは、ホログラムが使えてまだ、その人にあった大きさや形に変わるという便利品だ。私も持ってはいるがこの形じゃ見せれない。私の羽板の形は一般的に使われているリング型だ。簡単に説明すると、羽板が変わるもので1番多いのはリング型。指輪、腕輪、首輪(首の前は空いている)など。鈴音さんの場合はペン型。これはそこまで広がってないため珍しいものと言える。が、しかし店長の羽板の方が1番羨ましい。今まで、見た人やこんな形になった人がいないと言われているインカム型である。それもマイクは見当たらないのに電話やメール、ネットとか使えるなんて羨ましい。動画は自分にしか見れないがために何があってもバレないときた。
「わかった。それじゃ頼んだよ」
「はいはい。行ってきます」
「鈴音さん、頑張ってください」
私は、応援しながら給仕をしているなか始まった鈴音さんの歌。いつ聞いても綺麗な声、本当に歌手みたい。BARで歌っている女の人達を見せるかような綺麗さと声。そんな歌声に酔いしれるなか、店長が声を出したと同時に歌が終わる。
「ラストオーダーは決まっているか?あと30分で閉店だ。さぁ頼んだもんがちだぞ」
「それでは私の歌はこれにてお終いです。まだ来てね」
最後にウィンクをする鈴音さん。お姉様って感じがいいなー。
ラストオーダーを頼みお客さんが次々減っていく。午後11時。喫茶店RAVEN&SPAROOW、閉店
私たちは店じまいをしてしまい夕食を摂るのだが、本当にきのこハンバーグだけはやめて欲しい。
私と鈴音さんがお風呂から戻るとそこにはシチューが3人分用意されていていた。
「ほら、冷めないうちに食ってくれ。さっき言ってたことは嘘だから気にすんなよ。華」
「やったー。ありがとうございます」
「美味しそうね、いただきます」
私たち3人の夕食は楽しかった。