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主人公の実情

作者: syou

初投稿です。よければ読んでやってください。喜びます。

ある世界のある酒場で、一人の青年が多くの男性とともに宴をひらいていた。


「それで、勇者様!あの噂ってのはマジなんですかぃ?」


大騒ぎしているうちの一人、額に大きな傷をもった男が声をあげる。

青年はその世界において勇者と呼ばれる英雄の一人であった。


「?…その…噂ってなに??」


「いや、アレですよアレ!あんだけの美人に囲まれて、それも全員がおもいっきりベタ惚れなのにまだ誰にも手を出してないとかっていうアレです!こういうトコでちゃんと否定しておかないと、噂を真に受けて狙おうとする新人がうちにもいるんすよ?」


青年は容姿こそ十人並みであったが彼は強く、かつ人格者であり、なによりも主人公体質であった。それゆえに彼の仲間には見目麗しい女性が多くいた。そのさまは端から見ても全員が彼に本気で惚れていることが分かるほどであり、傷のある男は新人が彼に迷惑をかけることのないよう気をきかせたつもりで、女性のいないこの場所で話題をふったのだった。


「ああ、アレか。ホントだよ?俺は誰にも手を出してないし、これから出す気もない。」


「マジっすか!?え、なんで?」


返答が思っていたものと違いすぎたのか、先ほどから聞き耳をたてていた若い男が思わずといった様子で声をあげる。傷の男が懸念していた新人だった。しかし傷の男自身もその場の全員も、青年の言葉が信じられず、理由が知りたかった。


「なんで?って言われてもなぁ…。う~ん、あんまり他人様に話すようなことでもないんだけど…。」

「いや、教えてください!!」


新人も英雄相手に失礼だとは思ったが聞かずにはおれず、またそれは、全員の意思でもあった。


「…まぁ、ちょうどいい機会だし話しておくか。実は…」


こうして彼は語り出す。片時も脳裏から離れることのない、忘れたい記憶を。


◆◆◆◆◆


青年が英雄となる数年前のこと。


当時なんの力も持たなかった彼は、普通の若者のように幼なじみに恋をし、勇気を振り絞って告白して恋人となっていた。仲睦まじく日々を繰らしていた彼らはこれまた普通の若者のように日々を送り、初めての夜を迎えた。どこにでもありうる物語で、だからこそ彼らにとっては最高の日々だったといえるのだろう。その瞬間までは。


崩壊は唐突かつ無情だった。いざ始めようという瞬間に彼のを見た彼女は呟いた。呟いてしまったのだ。


「想像より小さいのね…」


その言葉が脳に染み込むまでには少し時間が必要だった。たしかに彼のは平均から見て小さかった。


数秒の後に我にかえった彼女は慌てて首を振りながら言う。


「…っ!ごめんなさいっ!別に小さいからどうこうってワケじゃないの!ほら、大きかったって痛いだけだし!」


フォローなど欲してはいなかったのに彼女はひたすらに空回る。もはや、雰囲気など欠片も残ってはいなかった。


「ごめんね。もう今日はやめとこ?」


言いながら起き上がり、部屋を出る。もう寝たかった。彼女がなにかを言っていたようだったが足を止めることなく自分の部屋に入り、カギを閉め、ベッドに入る。行為そのものが初めてであり、ある程度の夢を見ていたことと、なんだかんだいっても自分でも気にしていたということが彼の受けたショックに拍車をかけていた。


翌日、夜明け前の早朝に彼は目を覚ました。窓から見える景色はまだ暗く、まるで自身の心の内を表しているかのようだった。


手早く自分の荷物から最低限のものだけを抜きとった彼は宿のカウンターに金と手紙を渡し、その場を立ち去った。


『自分の弱さからの行動で申し訳ありませんが、この街を出ることにしました。もう会うことはありません。どうか自分のことは忘れて幸せになってくれることを祈ります。さよなら。』


誰が悪いという話しではないのだろう。


下らないことですれ違い、傷つき、離れる。


普通にありえることがありえてしまった。


ただそれだけに尽きる、どこにでもある悲劇の一つ。


だからこそ、彼に穿たれた傷は重く、深い。



◆◆◆◆◆


「まぁ、こういうことが昔ありましてね…。そのあとやけくそになって修行しているうちにある程度強くなれて、身勝手な行動で彼女を不幸にした分、世界を幸せで満たせたらと思って今みたいになったんだけど…、そのことで恋愛はもうしないって決めたんだ。別に彼女らの好意に気付いてないわけじゃないけど、応える気も、応えられる気もないので…。」


酒場が静まりかえる。

世界ではじめて冒険者という荒くれ者たちでいっぱいの酒場という場所が、誰かへの気遣いという繊細な気持ちで一つになった歴史的瞬間だった。


「…ホント、興味本位でこんなこと聞いてすみませんでした。」


思ってもいない重い話に新人が謝罪し、場が陰鬱としたものとなりつつあることに気付いた彼は、雰囲気を変えようと無理やり声を出す。


「ま、そういうわけだから!要するに、全員狙い放題ってこと!!みんな、もちろん道に外れたことはしちゃいけないけど、我こそはってヤツはアイツらにどんどんアピールしてけ!幸せにさえすれば俺が誰からであっても文句は言わせねぇから!!」



彼は気付いていないのだろう。


応える気もないはずの愛情を、欲しくないはずの幸せを、彼自身が遠ざけようとしない(・・・・・・・)、その事実が何を示しているのかを。


彼が『幸せ』を思い出す日は、まだ遠い。

べ、別にアンタの評価とかコメントが欲しくて書いてるんじゃないんだからねっ!!(///)ポッ


…てことで、喜びました。悦びました?



…すみません。初投稿で調子に乗りました(T-T)

このような駄文に最後までお付き合い頂きありがとうございます。ここまで読めたアナタに感謝を。m(._.)m ペコリ

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