卯月の章 第9話 表舞台の鬼②/腕だけ神話
宇治咲「あぁー、卯月は参鬼知らないのな」
宇治咲「簡単に言えばすごく強い3人のヤンキーのことだって」
宇治咲「えっと、どこの学校だっけ?」
不良B「光湊のヘラクレスのアレックス。A北の手品師ササナミ。緋澄の仮面アラシヤマ」
不良B「これが参鬼と呼ばれる奴らの名前だ。あくまでも表舞台のだがな」
不良B「参鬼はA街で有名なヤンキーのことでまぁ、めっちゃ強い。しかも参鬼って名前が出たのは今年からで、その参鬼のメンバーは留年とかはしてないみたいだ」
宇治咲「そうそうそんな感じ…え?」
身に覚えがある言葉、いや固有名詞が聞こえた
卯月「-ちょっと、今 アレックス って…」
宇治咲「奥瀬のメモにも名前があったよなアレックスってぇ偶然ってわけじゃ無さそうだな」
Alex F Otto アレックス
メモにはそう書いてあった。ボスとやらの宗教的信者。ランク1、最弱であり脅威である《敵》となりうる男の名だ
不良B「んぁ?!お前らアレックスと知り合いなのか?!!」
宇治咲「いや、こっちが勝手に恨んでるって感じだ…」
卯月「-アレックス...」
宇治咲「ん、んんー」
宇治咲「んで、せんぱぁい?!」
宇治咲「俺たちがブローチを取り返したら、なんかメリットあるんすか?!」
不良B「そ、そうだな...」
不良B「な、なんか欲しいものとかあるか?」
宇治咲「そうっすねぇ…」
宇治咲の頬の筋肉が片方だけぐにゃりと上に上がる
宇治咲「100000円でどぉすか?それくらい出すならやってもいいっすよ」
不良B「じゅ10万??無理に決まってるだろぉ!」
不良B「ダメ元なのは分かってる!ただ頼める強い奴ってお前らしかいないんだ!リーダーもお前達に頼めと!!」
宇治咲「つーか、なんでそこまでブローチにこだわるんすか?参鬼さんも、なんでそんなブローチなんかに」
不良B「参鬼がブローチを盗んだ理由は分からないけど、リーダーが大切にしてるのはリーダーの彼女からの初めてのプレゼントだったからだ」
宇治咲「うぐ?(怒)」
宇治咲「リア充かよ」ボソッ
宇治咲くんは変な顔をする
卯月「-参鬼って3人ですよね?」
卯月「-ブローチを奪ったのはその内の誰なんですか」
不良B「それが、分からないんだ。参鬼が奪ったんじゃなくて参鬼の内の誰かの手下が奪いに来たらしいんだ。俺はそれを見てないけどリーダー曰く」
宇治咲「はぁ」
宇治咲「おけっすおけっす、わかりましたァ」
宇治咲「じゃ、ブローチ取り返したらちゃんと10万おなしゃーーす」
宇治咲は顎を突き出しヘラヘラと笑った
不良B「あぁ、頼む…って!だから10万はたすぎ」
宇治咲「でわでわー」
不良B「ちょ、待て話はまだ!」
宇治咲はヘラヘラしながら軽い足取りでその場を去っていった
僕は先輩に一礼してから宇治咲について行った
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-帰り道-
卯月「-10万って払えるの?」
宇治咲「ん?まぁどーせ10万は無理だよな。けど、高い金を提示しとけばアイツらは持ってる金できるだけ多く俺たちに渡すだろうよ」
宇治咲「っ、それは副賞だけどな」
宇治咲「1番はアレックスについてだ」
宇治咲「ボスとかに関しての情報が少ないからなぶっ飛ばして情報を吐かせる」
卯月「-もしアレックスがブローチを持ってなくて、情報を教えたら、ほかの2人とは戦う?」
宇治咲「いや、戦う必要ないな」
卯月「-そう、だね」
宇治咲「無駄に俺たちが被害を受けるだけだ」
宇治咲「それに」
宇治咲「自分で失ったのなら自分の力で取り返せねぇと意味ねーだろ」
卯月「-」
宇治咲「アレックスってどこの高校のやつだっけ?」
卯月「-光湊、、って言ってた」
宇治咲「あー、私立光湊高等学校。不良の多い学校だって。名前に光とか付いてるくせに中身は闇だぜあの学校」
卯月「-詳しいね」
宇治咲「知り合いであの高校の出身のやつがいるんだよ。そいつ今は無職」
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翌週
ガラガラ
自分の教室のドアを開けて席につく。
ホームルーム五分前だが宇治咲くんは来ていないようだ
ガヤガヤ
クラスメイト「んでさー、…」
クラスメイト「えっ、まじかよーそれよりさこの前家のトイレでさ…」
クラスメイト「俺の○○○元気よくてよぉ!」
クラスメイト「:::大学に行くのは俺だぁ!」
クラスメイト「なんだとぉーー!!」
クラスメイト「はいこれ!サーカス的な!」
クラスメイト「ちょーウケるww写メっしょウェーいwww」
机の上に立ってる人、床で寝てる人、大声で下ネタを叫んでる人、教科書を振り回してる人、大学の話をしてるのに筆箱を投げている人
卯月「-あれ?」
このクラスってこんなに常識離れした人が多かったっけ?
卯月「-…」
最近いろいろあって視野が広くなったのか?
いや、宇治咲のお陰で視野が戻ったんだ
考えてみると宇治咲と会ってから以前と比べて喋るようになった
な、なんか嬉しい気がする?なんだろ
卯月「-ふぁーっ」
僕はアクビをする
すると
キーンコーンカーンコーン
ホームルームが始まる合図のチャイムがなる
しかし誰も席には座らずに会話を続けている
内尾先生「ほら!チャイムなり終わってるぞ席につけー」
担任が教室に入りようやくポツポツと席に着き始める
しかし宇治咲の席に彼の姿はない。
遅刻か?この学校ではよくある事だ
ホームルームが始まっても席に座ってるのはクラスの7割ほど。ほかの3割は学校に来てすらいない
荻津先生「はい、号令」
クラスメイト「りーーーつ」
ガダガダ
クラスメイト「れーー」
クラスメイト「よっざまー」
荻津先生「はい、おはよう」
クラスメイト「ちゃ、せーーき」
ガダガダ
荻津先生「はい。連絡事項が今日は一つあるね」
荻津先生「あと一週間で夏休みだけれども………」
荻津先生「━━━━━━」ブツブツ
荻津邦康先生
僕らの担任で。教えてる教科は数学
年齢は25歳で若手。
丁寧な授業をするが、あまり脱線した話をしないので多くの生徒からは嫌われてる
僕はいい先生だと思ってるけど
荻津先生「連絡事項は以上。今日も頑張ろうね」
クラスメイト「りーーーつ」
ガダガダ
クラスメイト「れーー」
クラスメイト「アザシターー」
クラスメイト「チャクセーキ」
ザワザワザワザワ
ホームルームが終わったと同時にまた喋り始める
卯月(煩いなぁ)
僕はリュクサックから1時間目に使う教科書にノート、筆箱を取り出し机の上に置いた
さてと、授業が始まるまで五分何をするかな
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私立光湊高等学校
設備は整っているのにスプレーの落書きで古臭く見える校舎の裏に
1人のよそ者が入ってきた
よそ者が喧嘩を売りに来ることはよくある事だ
だから光湊の生徒もいつものように振る舞う
光湊生徒A(以下、光湊)「誰か来たぞ」
光湊B「朝っぱらからは珍しいないっちょぶっ飛ばそうぜ」
よそ者は不良立ちを前に仁王立ちをし、腕を組んでいる
宇治咲「雑魚に用はねぇ!参鬼の1人…」
宇治咲「アレックスはどこだぁ!!」