第一話
トントントン…。朝からこぎみ良い包丁の音から聞こえてきた。
僕はその音を目覚めの音にして、起きた。
部屋を出てから、居間に行くと新聞を読んでいた、燈重と手際よく料理をしている春南がいた。
「おっ起きたか?」
僕はうなづいてから席をついてから、目の前にいる男をちらりと見る。
しっかりと筋肉が付いている、背も高いし顔もイケメンだ。
メガネごしからこっちをみてくしゃりと笑い、僕の頭の髪の毛をくしゃくしゃにする。
僕とは同い年なはずなのに、大人のオーラーが出ている。
なんか悔しい。
「ほうら、そんなことをしないの。燈くん。雪路くん、はい。寝起きの牛乳。」
僕はにっこり笑って、朝の牛乳を飲む。
「今日から高校生だね。」
春南は、僕の制服にシワがないかチェックしている。
そうだよ、高校生だよ。そして、君たちも同じなんだよ。今日から高校生だねとか言っているけど、見た目中学生だと実感しているけどさ。
でも、僕も高校生なんだよ。だから…僕のことを子供扱いするのはやめてほしいな。
高校へ行く前の坂道には桜並木が立っている。
風に桜の花びらがひらひらと舞っている。
「雪路くん髪の毛に桜が付いているよ。」
春南が僕の髪の毛から桜の花びらを取る。
「で、燈くんは何ガンを飛ばしてるの。」
「いや…さっきから、周りの人間がすっげえ見てきてるからなんか血が騒いでな。」
「はあ…中学の悪評を消す努力はしてよね。私いやよ。中学の時、三人でいる時、一人はヤンキー一人は委員長って言われるの??」
「実際委員長だっただろ??生徒会長もできたんじゃねえの??」
「いやよ。委員長でも仕事が大変で、雪路くんのお世話できなかったんだもん。しかも肝心の燈くんは喧嘩を買いまくりだし。」
「だから、今は真面目だろ??大丈夫だって、俺が叩きのめすのは雪路に害をなすにんげだけだからさ…」
僕は桜に目を奪われて、後ろで話している二人の声をあまり聞いていなかった。
「どうか…、あいつらが死んでくれますように。」
え??
「どうか…〇〇と〇〇が死んでくれますように…」
やっぱり聞き間違えではない!!
「きゃあああああああ」
悲鳴が聞こえた。その子はその声でハッと目を覚ましたような顔になって悲鳴の方に駆け出した。
僕もその声の方へ駆け出した。
「おい…雪路どうした!!お前、走るとこけるんだから走るな!」
そんなことを大声で言わないでよ!恥ずかしいなあ
ぼくだってちゃんと走れ…痛い。
こけた。でも、痛がってる暇はない早くその悲鳴の方へ行かないと!!
ぼくは、後ろから追いついた、燈重に起こされ、燈重と春南と一緒にその悲鳴の方に行った、人がたくさん集まってる。何が起きているんだ??
ぼくは燈重の制服の裾を引っ張る。
「あ?ああ、えっとそのな…」
「雪路くん、人が死んでるの。二人」
「おま…。人が言うのをためらってるのを何でさらりと言ってるんだよ!」
「燈くんのその優しさは今は必要ないよ。雪路くんが知りたいものを教えるのは私たちの役割でしょ??」
燈重は頭をガシガシしながらわかったよと言ってから状況を教えてくれた。
二人の女子高生が車にひかれて死んだらしい…
「嘘??え??何で??私??私なの??そんな…」
僕の隣にいた女の子は倒れた、僕は慌てて支えようとしたけどうまく支えきれなく、
女の子は春南が支えて、燈重は僕を片手で持ち上げる。
僕はメモを出して、保健室に連れて行くようにと書いて見せた。
二人はうなづいてから女の子を保健室へ連れて行った。
「あらー、ようこそ保健室へ♡」
扇情的なミニスカートにルブタンのピンヒールを履いている足を組んで女性としてはやや低い声をあげて僕たちを見てこれまた妖艶な笑みを浮かべる。
僕たちはその姿を見て危うく運んできた女性を落としそうになる。
「ど…ど…どうして兄貴がいるんだ??」
燈重は大声をあげそうになった
「いやあねえ…お姉さんでしょ??燈くん…注射をぶっさすぞ!」
あ!注射をぶっさすぞが一気に男声になった。
「は…はい。お姉さま。」
「よろしい、で、あんたたち三人なんでここにいるの??入学式始まってるわよ?」
僕は、メモを出して書いてから見せる。
「あらあら…まあまあ。そういうことなの、なら、彼女が目覚めたら教えるから、入学式へ行ってきなさい。」
「ああ…わかった。兄貴のことも後で聞くからな!!」
燈重は自分のおにいさんを睨みつける。
本家の人になんか言われてきたのだろうと睨んでいるのかな??
「燈くんそんな顔で睨んでも何も変わらないよ。ですが…一つだけ聞いていいですか?
本家の人間は今更ながら、雪路くんに何の用があるのですか?」
「もう…二人とも怖いかおしないでちょうだい!ここは本家は全く関係ないわよ。
本家は関係ないけど、雪多さまがね…とても心配しているのよ。そういえばわかってくれるかしら?」
父様が??何で心配してるんだろう?僕は父様に嫌われているのに…。
「雪多さまが…ですか。わかりました。そのことを頭の片隅に置いておきます。
行こう燈くん、雪路くん。」
僕たちは、入学式へ急いだ。
「やれやれ…言ってくれたわね。」
燈美は三人が入学式へいったのを確認してからふと窓に映る空を見る。
「あれから…8年か。安心して頂戴。ミヤあなたの大事な人間は雪多さまが不器用すぎるけど、守ってるわよ。あなたがあの子に見せたがっていた美しい世界。
あの子を庇護するという役割で自分を縛り付けるあの子たちにも願わくば美しい世界を見せられるように、私も頑張るわ。大丈夫よ。本家の人間には邪魔はさせないから。」
そう言って、スマホを取り出して、ラインを入れた。
計画着手
すぐ返事が返ってきた。
了解
あの子らを頼む。
「ったくそんなに心配なら顔に出せばいいものを。」
任して頂戴!!♡
後ろのハートマーク気持ち悪い。
「女性に対して失礼な言い草よね。だから朴念仁なのよ」
燈美はそう言ってスマホをポケットに入れた。
シリアスは無理かなあコメディ色が強くなるかなあ…
よろしくお願いしますです。