プロローグ
あの時、あんなことを言わなければよかった。
言霊って存在するってわかった瞬間がある。
それはたった一瞬、でも絶対に取り戻すことができないこと。
悔悛。いくら、あの時のこと振り返ってみても、どうしようもできない。
守りたかっただけ。守るために、僕はその言葉を言ってしまったんだ。
「君なんて、いなくなればいい……。」
本当にいなくなるなんて思わなかったんだ。本当だよ。
でも、文字通り君は目の前から文字通りに消えた。
その時わかったんだ。言霊って存在する。
僕は…しゃべるのをやめた。
口から言葉を出すのをやめたんだ。
「ねえ…、雪路悲しまないで、私がいなくなっても悔いを残さないで、私。ダメなの。
ここにいると、ダメになるの。だから…消えたいの。私がいなくなったら、燈重も春南も守れるわ。大丈夫よ。燈重も春南もあなたを守ってくれるから……」
ダメだ!!行かないで、頼むから行かないで!!僕、頑張るから、守るから!!だから…だから…!!
「雪路。あなたはとてもいい子。だから…あなたがこの能力を私で試して…そして、『言葉宿り』の力をちゃんと守って、あなたらしい力を使いなさい。そうしたら、あなたのことをわかってくれる人間たちが出てくるわ。燈重と春南、あなた三人で完結している世界…。その世界はきっと美しいはずだわ。」
いやだ。いやだ。いやだ。そんなことを言わないで!!僕、いい子にするから、いなくなるならいらなかった。
そんな力入らなかった。
でも…僕はその力を使ってしまったんだね。ミヤ……。