8/18
敵の味方の味方は俺たち?
飛んできた方向を辿れば、少し向こうの家屋の影に辿り着く。
「…誰だ!」
思わず叫んでしまった。敵であることは間違いないのに。
「…なかなかの反応ね、ルーナ最強の小隊さん」
そう言って姿を見せたのは、女の軍人だった。
ルーナ軍の軍服で、腰を絞るのは濃緑のベルト。
「…第4大隊……!」
「御名答。第4大隊1連隊長、イツカ」
舐めるような不快な視線で俺たちを見回したあと、自らの立場を明確にする発言をする。
「コッチに来ない?」
「コッチってのは些か抽象的過ぎないか?」
真意は掴んでいる。だが、具体的な確証として言葉を得たい。
「またまたぁ、わかってるくせに」
冷徹を切って貼ったような顔をして、似合わない口調で話す。鳥肌が立つ。
「その口ぶった斬るぞ。真面目に答えろ」
偽物の笑顔が剥がれ落ちて、元の顔に似合った冷酷で嗜虐的な笑みが浮かぶ。
「物騒ね。言わせたいんでしょ。なら言ってあげるわ」
一呼吸タメをおいて、
「ルーナを助けるためにガロウに協力しない?」