表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

第二話 訓練場

 眼で見ただけでスキルをコピーできるスキル!?

 こんなスキル聞いたことがない。

 というよりも、存在するはずがない。


 大昔、<倒した相手のスキルの一部をコピーできる>と言うスキルで英雄になった男が居た。

 しかし、最終的にその男は国によって捕らえられてしまった。

 王が男のスキルを恐れたのだ。


 眼で見ただけでスキルをコピーできるスキルなんて、もしばれたら……

 俺の背筋がゾクリと冷えた。

 明らかにヤバい、超絶的にヤバい。

 俺の恐怖は瞬く間に頂上に達する。


「おい、どこ行ってたんだ」


 俺が頭を抱えていると、兄ちゃんがやってきた。

 オーガは無事に倒したらしく、討伐の証となる角を手に持っている。


「いや、怖くてつい」


「あれぐらいでビビってるんじゃねーよ。ったく、お前のせいで帰りが遅くなっちまった」


 兄さんに連れられて森を出た俺は、すぐさまギルドへ向かうと改めてスキルを確認した。

 しかし内容は同じ。

 確かに俺は<眼で見たあらゆるスキルをコピーし、俺のものとする>という非常識なスキルを身に着けていた。


 これは、死ぬまで黙っていないとな。

 国に捕まって牢屋の中で一生を過ごすとか勘弁してほしい。

 俺は平和な人生を全うしたいだけなのだから。


 そう思った俺は、急いで家に帰ろうとした。

 だがここで、ふと思う。

 黙っていればばれないんだし、使ってもいいんじゃないかと。

 大昔の男だって、途中までは英雄だったんだから。


「ちょっと、試してみるか」


 好奇心と誘惑に負けた俺は、ギルド裏の訓練場へ向かった。

 するとたまたま、Aランクの冒険者が剣術の訓練をしていた。

 名前は確か、ノーランドとか言ったか。

 人気があるらしく、女の子がきゃあきゃあ騒いでいる。


「おう、まずはあいつからだな」


 俺はノーランドの動きをじっくりと観察した。

 その剣さばきたるや凄まじく、ブンブンと音が鳴っている。

 しかし、俺の眼はその動きを正確にとらえていた。

 <万物模写>の影響か、視力も大幅に上昇しているらしい。


 しばらく観察していると、眼が疲れてきた。

 これぐらいで良いだろうか。

 そう思った俺は、ギルドカードを確認する。

 すると、<万物模写>の下に<上級剣術>のスキルが増えていた。


「おおおッ!!」


 剣を借りると、さっそく剣を振るってみる。

 

 ビュンビュンビュン!!!!

 

 昨日までまともな剣術なんて使えなかった俺だったのに、いとも容易く剣を扱うことができた。

 これは、これはいける!

 <万物模写>は予想以上に使えるスキルのようだ。

 これを使わないのは、さすがにもったいなさすぎる。


「よし、ばれないように使おう。それで兄ちゃんや父さんを……」


 いままで、兄ちゃんや父さんには散々バカにされてきた。

 だがこのスキルを使えば、二人を見返すことができる。

 早く兄ちゃんを超えるAランク冒険者、いやSランク冒険者になって今度は俺が兄ちゃんを馬鹿にしてやろう。


 俺はそう、密かに決心したのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ