Ⅰ 【偽りの平穏】
ステータスが読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。
気がつくと、俺は真っ暗な部屋にいた。
目の前には、一つのアイコンが浮かんでいる。
アイコンを、タッチすると、炎が出てきた。
「うわぁ!?」
そして、炎は徐々に文字を作っていく。
それは英語でこう書かれていた。
《welcome to the 【Cross World Online】》
「凝ってんなー」
そんなことを言っていると、いきなり声が、聞こえてきた。
『キャラクターメイクを、行ってください』
すると、前にウィンドが出てきた。
《バーチャル ギア》買ったときに、現実の容姿が元になると言われて、いろいろ測られた筈なんだが………?
しかし、ただ髪の色などの細かい事を決めるだけだったのだが。
俺は髪は、ダークレッド、瞳は紅に設定した。「―――よし!これでオッケー」
そして、YESのボタンをタッチする。
『では、次に種族を決めてください』
そして、いくつかの選択肢が出てくる。上から順に、
〈人間〉〈獣人〉〈エルフ〉
があり、下に注意書きとして、こう書いてあった。
〈以上3つの種族を選ぶと、ランダムで下位種族、中位種族、上位種族、最上位種族に分けられます。後、因子が付けられる可能性があります〉
〈――因子と言うのは、ハーフのような物です。例えば、人間に獣人の因子が付いていれば、人間のステータスを維持しながら、獣人のステータスを付加する事が出来ます〉
―――どれにしようかな………?……うーん、これでいいか。
俺は悩んだ末に〈人間〉を選んだ。
その途端、ルーレットが回りだす。
「こい!上位より上のやつ!!」
俺はstopのボタンをタッチした。
すると、
〈人間〉【因子:龍族・魔族】
「な、なん…………だと!?」
終わった……。種族が人間のままだと!?これはもう一回アカウント取り直すしか……!
『次に、スキル設定です』
うるせぇ!今死ぬか生きるかの、瀬戸際なんだ。少し黙ってろ!!
『あなたは因子に龍族と魔族がありますので、種族スキルが設定できます』
うーん、でも面倒くさいしなぁ……………て、なんか変な言葉が聞こえてきたような……?因子がどうのこうのって。
俺はそ~と、種族をもう一回見る。
そこには、【因子:龍族・魔族】と書いてあった。
「――――よっしゃぁ!!!」
来たぁぁぁ!!因子付いてた!!
―――1分後……
落ち着け、俺。冷静になれ。
そう思い、深呼吸をする。
冷静に考えろ。まず、因子が二つ付くなんて有り得るのか?
少なくとも俺は聞いたことはない。
―――1分後……
俺はスキルの設定をしていた。
だってわかんねえしよぉ。後で妹――瑠璃に聞けばいいだろ。
さて、俺のスキル欄は、因子スキルで3つ埋まっていた。
後、一つなんだけど………。
候補は〈片手直剣〉〈刀〉の二つ。うーん、どっちにしようかな。
俺は悩んだ末に〈刀〉にした。『最後に職業を選んでください』
いくつかの選択肢が出てくる。
上から順に、
〈剣士〉〈侍〉〈戦士〉〈闘士〉〈魔術士〉〈騎士〉〈鍛冶士〉〈裁縫士〉〈料理士〉〈建築士〉〈錬金術士〉があり、また注意書きがあった。
〈職業にも、下位職業、中位職業、上位職業、最上位職業があります〉
俺は迷わず、〈侍〉を選んでタッチした。
『設定は終わりました。それでは仮想世界を存分にお楽しみください』
そして視界がブラックアウトした。
―◆―◆―◆―◆―◆―
[―――お前は、力が欲しいか………?]
何か聞こえる……。
[―――力が欲しいか……?自分の怒りの為に、すべてを壊す覚悟はあるか………?]
――っ!?こいつ、俺の事を知ってやがる!
「お、お前は誰だ!?何故あの事を知っている?」
[あの事……?]
「そうだ!!あの事を知っているのは……」
[我は貴様の事など知らん。それより、力が欲しいかと、聞いている!]
「………どういう意味だ?」
[言った通りだ。怒りの為に世界を壊す覚悟はあるか?]
……訳がわからない。
もう設定は終わった筈だろ……。
まあ、とにかく
「力をくれるなら、いいぜ。くれよ」
[よかろう、貴様は契約するに………値する……!!]
すると、俺の体に激痛がはしった。
「があぁぁぁぁぁぁ!!?」そのまま、俺は意識を失った。
―◆―◆―◆―◆―◆―
フリード:LV1
HP:1000
MP:1000
ATK:1200
DEF:1000
MAG:1500
STR:150
VIT:120
AGI:180
DEX:180
INT:150
MND:100
スキル:〈刀〉1/1000 〈龍気功〉1/1000 〈龍族魔法〉1/1000 〈魔族魔法〉1/1000
称号:大罪【憤怒】
特性:なし
職業:侍
種族:人間【因子:龍族・魔族】
装備:木刀、布の服、布のズボン、皮のチェストガード
―◆―◆―◆―◆―◆―
気づけば、俺は広場にいた。周りには、かなりの人がいる。
「さっきのは一体………?」
そんな事を考えていると、急に横から声が、かけれた。
「なあ、お前侍か?」
そいつは、白の髪をしていて、腰に一本の刀を差していた。
「そうだけど……?」
「そっか、もし良かったら俺とコンビ組まねえか?」
「……なんで俺なんだ?」
俺以外にも侍はいっぱいいる筈だが。
「うーん、なんていうか、お前なんか強そうだったからかな」
「………まあ、いいけど。ちょっと寄るところがあるんだが、いいか?」
「いいけど………、どこだ?」
「あの噴水」
そう言って、俺は噴水を目指して歩く。
その噴水には、金髪をサイドテールにしてレイピアを腰に吊した女の子がいた。
「オーイ!」
「あぁ!!お兄ちゃん!!」
そう、こいつは俺の妹の瑠璃だ。
「おそーーい!!」
「ごふっ!!」
いきなり瑠璃からラリアットを頂戴した。
――何故に……?
「遅いよ!お兄ちゃん!!何してたの?」
「設定が長引いたんだよ!」
「フーン、まあいいけど。それでお兄ちゃん。あたしと狩り行くんでしょ?」
……そう、俺と瑠璃はリアルで約束していたのだ。一緒に狩りしようと……。
「それなんだがな、別の奴と約束しちゃてな」
その途端、瑠璃の体から黒いオーラが発せられた。
そう、瑠璃は怒るとガチで怖い。
「今…なんて………?」
やべーやべーやべーやべーやべーやべ
「お兄ちゃん……?」
「ひゃい!」
思わず、声が裏がえってしまう。
「………まあ、いつもの事だからいいけどさ」
良かったー!死なずにすんだ。
「でも、後でパフェ奢ってね、お兄ちゃん」
「あぁ、いいぜ。…………パフェですむなら」
後半部分はボソッと言う。
「じゃあな、瑠璃」
「うん!また後でね。お兄ちゃん!!」
そして妹(悪魔)はさっていった。
俺は後ろを振り向き
「それじゃあ、いくか」
「お前……いっつもあんなのと一緒に暮らしてんのか?」
そう言って俺の肩にポンッと、手置いてくる。
「わかってくれるか?」
「あぁ。お前いろいろと、苦労してんだなぁ」
「そんな事より、自己紹介だ。俺はフリード、よろしく」
「俺は、椿だ」
―◆―◆―◆―◆―◆―
さて、この世界の事を簡単に説明しておこう。
さっきまで、俺がいたのは、【央都 アルメニア】という。
今、俺達はそこから少し北進んだ【北の草原】に来ていたのだが―――
「らあぁぁぁ!!」
椿が叫びながら、刀を振り抜く。
「ごがあぁぁぁ!!」
オークは腹を切られ、HPを全損させて消える。
俺も、その後ろでリザードと、戦っていた。
リザードが爪で、俺の肩を狙ってくる。
俺は爪を避けて、気功で強化した拳を顔面狙って叩き込む。
のけぞったリザードに追撃として、居合いを放ち、HPを0にする。
――この居合いはさっき習得した特性で、刀を鞘に収めていた時間に比例して、速度と威力が上がる。
「よし、楽勝だな!」
「あぁ、そうだな。椿」
俺と椿は、拳を突き合わせる。
「でもさ……」
かれこれ、二時間以上狩りをしている訳だが……
「モブが雑魚いんだよなぁ」
そう言ってうなだれる椿。
「もうレベルがな」
そう言って、俺は頬を掻く。
「かと言っても、これ以上さきにも、進めねぇしな」
そうなのだ。これ以上先へ行こうとすると、システムに塞がれるのだ。
「まあ、いいじゃねえか。俺もスキルの使い方わかってきたし」
まず、〈竜気功〉は大雑把にいえば、肉体、武器強化。
〈龍族魔法〉は威力は強いが、MPを多く消費する。
〈魔族魔法〉は、闇魔法によく似ているが、それの強化版のようだった。
後、俺達のレベルがアップしたので、スキル欄が一つ増えた。
俺は〈投剣〉スキルを、椿は〈索敵〉スキルをセットした。
〈投剣〉は、読んで字のごとく、剣を投げるスキルだ。投げる物は剣でなくとも、ナイフやピック等でもいいらしい。
〈索敵〉は、索敵範囲内に、モブやプレイヤーの位置情報を教えてくれる。
「なあ、フリード」
突然、椿が話しかけてくる。
「今日って、7時に広場でイベントがあったんじゃ………」
俺は、時計を見た。
時刻は6時55分。
俺と椿は顔を見合わせる。
『……………』
二人の間に沈黙が流れる。
「やべえ!!さっさといくぞ!」
「つーか、知ってたんならもっと早く言えよ!?」
俺達はそう、言い合いながら、走り出した。
―◆―◆―◆―◆―◆―
フリード LV11
HP:2800
MP:2000
ATK:3240
DEF:2480
MAG:3150
STR:250
VIT:240
AGI:320
DEX:310
INT:290
MND:300
スキル:〈刀〉78/1000 〈竜気功〉70/1000
〈龍族魔法〉65/1000
〈魔族魔法〉70/1000
〈投剣〉50/1000
称号:大罪【憤怒】特性:居合い、気功[部分強化]、気功[武器強化]、魔族魔法[下位]、龍族魔法[下位]、三連投げ
職業:侍
種族:人間【因子:龍族・魔族】
装備:刀[アイアン]、黒のレザーコート、鉄の籠手 、ショートブーツ
所持金:28000G
椿 LV11
HP:3200
MP:1400
ATK:3400
DEF:2100
MAG:1800
STR:200
VIT:120
AGI:340
DEX:350
INT:170
MND:260
スキル:〈刀〉95/1000
〈索敵〉84/1000
〈称号:大罪【嫉妬】
特性:居合い、索敵範囲拡大、
職業:侍
種族:上位鳥人【因子:光精霊】
装備:小太刀[アイアン]、布のマフラー、オークの布の着流し、草履
所持金:24000G