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幽霊側室は今日は臨時営業

皇宮はてんやわんやだったけど。

後宮は、いつも通り静かだった。

変化なしってどういう事?


「そうでもありませんわ、昨夜後宮に侵入者がありましたわ。」

シノンさんが冷静に言った。

「ええ?なのにどうしてこんなに静かなの?」

後宮に侵入者だよ。

「私が見つけましたの。」

シノンさんが?無事で良かったよ。

「魔法で鳥をけしかけて大騒ぎにして管理者と後宮護衛官を呼びましたのに...逃げられましたのよ、ジェスさんがいれば捕まえられたのに。」

後宮護衛官にフェデルーダの女護衛戦士入れてもらった方がいいのかな?

「セラシナ妃のところは動きはあったかな?」

シノンさんに聞いたらわからないとの事だった。

「侵入者がこれ落としましたわ。」

なに?手紙?

○しかかいてないけど。

「わかんないや、オーヨの人たち落としてくるね。」

女ハーレム出来たら怒られるけど仕方ないよね。

ディー兄ちゃんよろしくね。

「...また、ハナミズキつれていってくださる?」

シノンさんがなぐさめるように言ってくれた。

「うん、おかみさんも旦那さんも腕をふるってくれるよ。」

いつかみたいに絶対いこうね。


「アェリシャ乳母殿、お久しぶりです。」

私はセラシナ妃の乳母に故郷にいる時みたいに微笑んだ。

服も故郷いるときのズボンの正装したけど大丈夫かな?

「ジェスレイア妃様。」

何か頬染められた。

「セラシナ妃もご健勝ですか?」

最近会ったけどね。

「ああ、素敵...あら、私ったら、少し落ち込み気味ですの。」

アェリシャ乳母殿は言った。

私は彼女の手を両手を握った。

「それは心配ですね。」

微笑んで耳元で囁くように言った。

「え、ええ、心配ですわ。」

何かいたいけな初老のおばさんをこましてるよ、私、ああ、心が痛む。

でも、ハナミズキのために。

おかみさんと旦那さんのために。

...なにより自分のために頑張るよ。

「ジェスレイア妃様、よろしければセラシナ妃様の部屋をご訪問ください、セラシナ妃様の心も晴れますわ。」

乳母殿は潤んだ瞳で言った。

わー、やり過ぎた?

「うかがわせていただきます。」

平静を保つんだ、私!


「ジェスレイア妃様よ、格好いいわ~。」

「乳母様、ありがとうございます、ああ、ジェスレイア妃様。」

セラシナ妃の部屋に行くと部屋つきの侍女が呟いてるのを聞いてちゃったよー。

わー、ビー兄ちゃんにお仕置きされるよー。


「あなた達、油売ってないで、お茶の準備をなさい。」

乳母殿が蹴散らした。

あー、嬉しいけどあの潤んだ瞳がなぁ。

「こちらにおかけくださいませ。」

そういって乳母殿は私を応接室に導いた。

おお、寵愛されてる人は随分広い部屋なんだな。

私の物置と大違いだよ。


「セラシナ妃様、ジェスレイア妃様がおみえですわ。」

乳母殿が寝室に声をかけた。

こもってるんかい。


「.....行きますわ。」

細い声がしばらくして返ってきて

セラシナ妃が出てきた。

わー、何か暗いなぁ。

綺麗だけど疲れてるっぽい。

統一皇帝でも昨夜来てたのかな?


「ジェスレイア妃。」

セラシナ妃ははかなげに微笑んだ。

わー、男なら守ってあげたいよね。

私とえらい違いだ。

「セラシナ妃、大丈夫ですか?」

私は言った。

「.....ハセフィヤ女官が帰って来ないのです。」

ハセフィヤ女官?

セラシナ妃の女官かな?

私は、セラシナ妃の隣に座って手をとった。

「私が力になれる事があったら言ってください。」

微笑んで囁くように言った。

「....素敵、王子様みたい、セラシナ様とお似合いよ。」

乳母殿が呟いてるのが聞こえたよー。

なんだよ、それ。

「アェリシャ、静かにしてちょうだい。」

セラシナ妃が言った。

私と違ってお姫様みたいだよ。

一応、私も元お姫様なのにさ。

「はい。」

乳母殿は黙ったけど。

目は口ほどにものを言うって本当だね。

うっとりと指組んでみられてるよ~。


「ハセフィヤ女官は私の為に外のオーヨの民と連絡をとっていたのです。」

セラシナ妃はそう言ったけど。

それ、セラシナ妃のためなのかな?

「いつもは日帰りなのに昨夜は帰って来なかったのです。」

ふーん...セラシナ妃付なのによく外に出られたね。

私はザルだけど、元オーヨの人は警戒されてるよね。

「都合が悪くてどこかで休んでるだけかも知れません。」

たぶん、下町かな?

「そうかしら?」

セラシナ妃が不安そうに言った。

「....ハセフィヤ女官は黒い癖毛の女性ですか?」

確認しよっと。

「ええ、黒い癖毛と黄色の目の女性ですわ。」

セラシナ妃が言った。

「無駄に色気がある女ですの、メレニス様のお情けをいただいていただいた事が自慢の!」

アェリシャ乳母殿が口を挟んだ。

仲が悪いのかな?

メレニス様って先先代の国王陛下だよね、オーヨの。

「アェリシャ、口を慎みなさい。」

セラシナ妃が一喝した。

「申し訳ございません。」

乳母殿は綺麗なオーヨの礼をした。

きっといい家の女性だったんだよね。

「探して見ます、いつもはどのあたりかご存じですか?」

安心させるようにさらにしっかり手を握って聞いた。

「ニーフェルシト神殿のそばだと聞いたことがあります。」

ああ、下町の守り神ニーフェルシト商売神の神殿ね。

「では、いきますね。」

もう一度しっかり手を握って立ち上がった。

「よろしくお願いいたします。」

セラシナ妃がオーヨの礼を優美にした。


「ああ、素敵、物語みたい。」

アェリシャ乳母殿が呟いた。


あのさ、変な妄想やめてよ。

私の中身違うのに~。

ま、いいや、そのお陰で情報手にいれたし。

自分のアルバイトため、ハナミズキのために頑張るよ。

ニーフェルシト商売神殿のあたりまでレッツゴー!

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