幽霊側室は今日は困惑する。
なんで?
なんでディー兄ちゃんが護衛官の格好してハナミズキにいるのさ。
この沢山の護衛官はなに?
「ディー兄ちゃん、何事?」
小料理屋ハナミズキは沢山の護衛官に立ち入り調査されてた。
「ジェス、大変な事になった。」
ディー兄ちゃんが眉をひそめて小声で言った。
いったい何があったのさー。
「大変な事ってなに?」
私が聞くとディー兄ちゃんは言った。
「グーレラーシャの要人が行方不明になった。」
ええ?そうなの?
「昨日、この店に寄って、そのあとの足取りがつかめない。」
....もしかして、ハナミズキが疑われてる?
「なにもしてないよ。」
私は言った。
「ああ、分かってるが、ここしか手がかりが無い。」
そんなぁー、不用意にここで行方不明にならないでよ。
ハナミズキが潰れたらどうするのさ。
「その要人ってどんな人?」
記憶力の底を探ってる思い出すよ。
「サルティーアス・ドーリュム様、グーレラーシャ傭兵国の名門ドーリュム家の長男で律王妃の義兄だ、オレンジ色の目と茶色の長い髪をしている...猛剣と言った方が通じるか?」
猛剣!?なんでそんな有名人がハナミズキになんて来てるのさ。
魔法も跳ね返す剣技の持ち主だって聞いたよ。
「....ねー、グーレラーシャ傭兵国の人だよね。」
何かみたような...砂糖瓶運んだ覚えが...。
「なにか心当たりがあるか?」
うん、多分あのテーブルの人達だと思う。
「砂糖をお茶に多量に入れた男性がきた。」
あの人の顔はよくみてないや。
私の事フェデルーダ人って言った人がおつれの...。
「ストールで顔隠しぎみの黒髪...癖が強いかな....の女性となにか話してた。」
えーと、あとなんだっけ?
「あとは、何か覚えてるか!?」
ディー兄ちゃんが大きめの声で言ったので他の護衛官も注目した。
「...多分、女性は上品なしゃべり方してた、内容はわからないけど、最終的に決裂して男性がお金払って先に出たよ。」
おこってたよ。
「他になにをみましたか?」
護衛官のこのグループの責任者らしい人が聞いた。
「....ああ、あかつきとか、オーヨとかいってましたよ。」
...オーヨか...。
ハナミズキなくなると嫌だから、
後宮のセラシナ妃も探ってみようかな?
「ありがとう、娘さん。」
穏やかそうでいい人だな。
「ディー兄ちゃん、私、後宮を探ってみるからあとは、よろしくね。」
ディー兄ちゃんに小声で言った。
「わかった、たらしこんででも聞き出してくれ、ビー兄貴にはオレからも謝罪する。」
うん、ディー兄ちゃんがそういってくれると助かるよ。
「おかみさん、旦那さん、少し出掛けてきます。」
私はこそこそ二人に言った。
「え?どこへいくんだい?」
おかみさんが言った。
「ちょっと実家へ、スミマセン、ハナミズキが大変な時に。」
でも、ハナミズキ存続のために必要なんだよ。
「わかったよ、ジェイアちゃん、実家も巻き込まれたんだね、ディーンアスさんが来てるし。」
おかみさんと旦那さんはディー兄ちゃんが私の兄って知っています。
「そうなんです、あとは、ディー兄ちゃんに任せておいてください。」
なんとかしてくれよな。
「いっておいで、ここは気にしなくてもいいからね。」
旦那さんが穏やかに言った。
「行ってきます。」
おかみさん、旦那さん、絶対に小料理屋ハナミズキ存続させるために頑張るからね。
絶対に諦めないでね。
よーし、いっちょやるかねー。




