忠臣警護官は今日は誘われる。
ハセフィヤ女官と言う女性に是非お話したい事があると言われた。
さて、陛下の為になる事ならよいが。
待ち合わせの下町の店は落ち着いてよい感じ
小料理屋だった。
「ドーリュム様こちらです。」
皇宮で会った時と雰囲気が違う...布で頭と顔を隠しぎみだから気がつかなかった。
「お待たせしただろうか?」
時間はあっていると思うのだが。
「いいえ、私が少し早く来すぎただけですわ。」
ハセフィヤ女官は微笑んで言った。
「して、お話とは?」
早く済まして、陛下と律の元にもどらんとな。
「まあ、落ち着いて。」
何になさいます?と聞かれた。
「お茶を。」
甘いといいが...。
「御酒は召し上がりませんの?」
色っぽい声でハセフィヤ女官は言った。
「酒は飲みません。」
グーレラーシャの傭兵なら判断力の鈍る酒は飲まない、知らないのか?
「そうでしたわね、メレニス様と同じお顔の方が呑まれないと違和感を感じますわ。」
メレニス?誰だ?
「お茶を2つ、お菓子は甘めのものを。」
ハセフィヤ女官が頼んだ。
「はい。」
黒い髪の少女が運んできた。
律より幼いのに仕事してるな。
「グーレラーシャ風焼き菓子とお茶です。」
グーレラーシャのものより小ぶりだが美味しそうだな。
「ありがとう...。」
ハセフィヤ女官が少女の顔をみて首をかしげた。
「あなた、フェデルーダ人?」
フェデルーダ護衛国人か小国ながら手練れがいると聞いている。
もう、ないのだったな。
「そうですよ、あはは。」
何か後ろ暗い事でもあるのか?
少女は何故か逃げ腰だな。
「...国が亡くなって出稼ぎ?可愛そうに。」
そう考えると逃げ腰もわかるな。
国のなくなる恐怖感もあるのだろう。
「え~と、かわいそうじゃないですよ、自由に行き来できるようになったから王都に来ただけで、統一皇帝様さまですねー。」
明るいな、いいのかそれで。
「フェデルーダ護衛国人は呑気だわ。」
あきれたようにハセフィヤ女官が言ったが
考え方は人それぞれだろう。
明るくてよいぞ少女よ。
「メレニス様とは?」
私と似ていると言うが。
「...サルティーアス様のお祖父様ですわ。」
...私の祖父上は、ドーリュムの先代当主の祖母上の伴侶のみと思っていたが。
父上の方か?
「ライエス様のお父様です。」
そうか父上はヌツオヨ大陸出身で孤児になってさ迷っているところを先先代国王陛下のベルティウス様に拾われたと言ってたな。
「そうですか、だからなんです。」
私には関係無い話だ。
「ライエス様はそのあかつきの瞳はお持ちではありませんでしたわ。」
あかつきの瞳?私のオレンジ色の瞳のことか?
「甘くないな。」
お茶を飲むと甘みがまったくなかった。
「砂糖をいただける?」
ハセフィヤ女官が頼むと黒髪の少女が砂糖瓶を持ってきた。
「どうぞ。」
瓶を置くと少女はそそくさと去って行った。
「このくらいかしら?」
ハセフィヤ女官がいれてくれたがもう少しほしいな。
「もう少しいれてください。」
この辺はお茶に砂糖は入れないようだな。
「あかつきの瞳をお持ちのサルティーアス様に是非お願い申し上げますわ。」
何をだ?たかだかオレンジ色の瞳を持つぐらいで大袈裟な。
「是非、セラシナ様をめとられてオーヨを再建していただきたいのですわ。」
この女何をいっている。
「お断り申し上げる!私は、グーレラーシャの一警護官ですので。」
テーブルをたち会計に行った。
「いくらだ。」
おかみの言った代金を払い外に出た。
何が、オーヨ再建だ。
父上を迎えには来なかったくせに!
幼い父上がどんな苦労を....おかしい
クラクラする......意識が
「サルティーアス様、参りましょう。」
あの女の声が聞こえる......。
ウェティウス国王陛下、サルティーアス・ドーリュム
不覚で.........。




