第五話〜鳴海の合戦・上編〜
初めての合戦話ですが・・・もう何と言うか素人丸出(以下略
間違った所があればどんどんご指摘ください
あと・・・評価もして貰えれば嬉しいです
− 織田軍 最前線 −
籐吉郎の無謀とも言える特攻作戦には皆が一斉に反対したが、籐吉郎の強引なまでの言葉に全員は渋々従わざるを得なかった。
無論、清右衛門達足軽にとっては迷惑この上無い話であった、だが清右衛門はあの下弦の月に誓った言葉を覆す訳にはいかなかった。
「なぁ・・・清右衛門・・・ワシ等死ぬんか?」
清右衛門の隣でガタガタと震えていた足軽がボソボソと呟き始めた、この中には初めて合戦に臨む者も少なくなく殆どは実戦経験など皆無であった。
清右衛門は農家の三男坊であったが十三の時に織田家の志願兵募集の高札を見て志願、その後丹羽長秀の麾下に入り織田信勝謀反鎮圧に従軍して足軽頭に昇進したのである。
「解らん・・・戦場で生き残るには相当な強運が必要だからなぁ・・・」
清右衛門がボソリと呟いた、事実清右衛門自身も幾度も戦場に赴いたが一度も怪我をした事が無かったのだ。
その時戦場に織田軍の陣太鼓が鳴り響いた、と同時に先駆け隊として前田利家率いる騎馬隊二百あまりが怒濤の勢いで敵陣に突っ込んでいった。
「掛かれぃ!!」
籐吉郎が自ら馬に跨り勇ましく叫んだ、浅野隊・前田隊・小一郎隊・太田隊も同時に敵陣目がけて勢いよく突っ込んで行った、清右衛門は得物である長槍を地面と垂直に持ち上げて掛けだして行った。
本来槍は突く為の物では無く相手を叩き殺す為の鈍器であった、一斉に足軽達が槍を振り下ろして敵の兜目がけて振り下ろすのである。
ちなみに甲陽軍艦におもしろい記述がある、騎馬武者と言えば馬上で勇ましく槍を振り回す姿を想像するが、実際馬上で槍を振るには二つの問題がある。
一、馬上での重心の問題である激しく揺れる馬上で槍を振り回せばバランスを崩して落馬する。
二、片手で馬を御すのは不可能でただでさえ敵味方入り乱れている中では益々馬を御すのは至難の技である。
以上の事から馬上で槍を振り回す騎馬武者は存在しなく、実際は馬で敵を踏みつぶした後に馬から下りて戦っていたのである、これはかの戦国最強と言われた武田騎馬隊も例外では無かった。
「弓隊!!前へ!!各個自由射撃!!」
敵方の総大将・松平元康が麾下の榊原隊に命令を下した、榊原康政と言えば今川家でも本多忠勝と一、二を争う猛将で統率力に優れていた、また多少なりとも策を用いていた、史実では小牧長久手の合戦の折りには豊臣方に向かって秀吉の悪口を叫ばせて秀吉に十万石の賞金を掛けられた程であった。
弓につがえられた矢は勢いよく清右衛門達の陣に向かって飛んで行った、目の前の足軽が顎を割られ倒れざまに胸を射抜かれて倒れた、それでも清右衛門達は前の味方を押して前進し続けた、やがて矢の射程圏外に入った時には既に半数近くが負傷していた。
「うぉぉぉ!!退けぃ!!」
利家が馬で榊原隊に突入して行った、不意を突かれた上に本陣第一部隊の猛攻を直に食らった榊原隊は後詰めの本多隊と素早く入れ替わった。
「がはっ!!」
利家の隣で馬に乗っていた騎馬武者が突然突き出された槍を胸に食らって勢いよく飛んで行った、そこには戦国でも類を見ないほどの豪勇を誇り戦国最強の称号を持つ武神・本多平八郎忠勝が馬上の人となっていた。
「おぉ!!本多様じゃ!!」
忠勝の姿を見た今川軍の者達が口々に叫んだ、利家はその忠勝の威風堂々かつ剛胆を名体した様な姿に身震いした、戦国最強・本多忠勝に槍を付けられるなんて千載一遇の出来事であったのだ。
「本多忠勝殿とお見受け致す!!俺は織田家侍大将・前田又左右衛門利家!!いざ尋常に勝負!!」
利家が名乗りを上げて忠勝目がけて馬を走らせた、槍を脇に構えて忠勝の胸目がけて槍を突き出した、だが忠勝は素早く槍を捨てると腰の太刀を抜いて槍の穂先を叩き斬った、そうこれが本来の馬上での戦い方であった。
「ぬん!!」
忠勝がそのまま太刀の切っ先を返して横に薙いだ、利家の馬は首を刎ね飛ばされて膝を屈する形で転げた、その衝撃で利家は勢いよく宙に放り出されて腰から地面に叩き付けられた、腰を強打し情けなくも腰が抜けてしまったのである、目の前には太刀を振り上げた忠勝の姿があった。
『も・・・もはやこれまでか・・・』
利家が死を覚悟した瞬間、突然雷光の如き早さで長槍が飛んできて忠勝の馬の頭を貫いた、忠勝は軽く舌打ちすると空中で一回転して見事に着地した、そして槍が飛んできた方を見るとそこには意外な人物の姿があった。
「き、清右衛門!?」
利家が腰を押さえて叫んだ、そこには槍を投げた格好のまま呆然と立ちつくしている足軽頭・清右衛門の姿があった、忠勝は戦いに文字通り横槍を入れられた事に激怒して利家に目もくれずに清右衛門目がけて駆けだした。
「に、逃げぃ!!清右衛門!!お前の勝てる相手じゃない!!」
籐吉郎が忠勝と対峙する清右衛門の姿を見て忠告した、その声にハッと我に返った瞬間清右衛門は目の前の光景に改めて度肝を抜かれた、鬼の形相でこちらに向かってくる武将に清右衛門は失神しそうになった。
頭で考えるよりも先に体が勝手に反応した、腰を抜かす様な形で尻餅を突いて横薙ぎの斬撃を避けるとそのまま横に転がって振り下ろしの斬撃をも回避したのである。
「木っ端兵の分際で俺の斬撃を避わすとは・・・お前、名は?」
忠勝は地面にめり込んだ太刀を引き抜いて清右衛門をジロリと睨み付けて聞いた、その冷静な言葉とは裏腹に内心驚いていた、雑魚と踏んだ相手に二度も全力の斬撃を避わされたのである。
「お、俺の名は・・・小牧村の清右衛門じゃ!!」
清右衛門が度盛りながらも名乗りを上げた、くしくもこれが戦国乱世にその名を轟かせる漢の最初の名乗りであった・・・。
作者のどうでもいい日記
最近、Battlefiled2にはまってる作者です。
アカウント名はeco−wood(JPN)です(これ言って良いのかな?え、駄目?・・・駄目っぽい?)。
よく日本サーバーで遊んでますんで見かけたら「あぁ・・・あいつ満足に小説も書けないくせに遊んでばっかいやがって・・・」って思ってください