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第二十一話〜徳川家の台頭〜

色々あって更新が半年以上遅れたことを深くお詫びします。

清則一行は長篠へと向かう道中、思わぬ人物と出会した。曳馬城、改め浜松城へと居城を移そうとしていた松平元康の行列であった。


隠密も同然の清則達は行列の邪魔にならぬように道の端に伏して領民達と同じように平伏していた。


「あれが徳川家康公・・・」


官兵衛がちらりと目の前を通る輿を見て呟いた。元康は今川家から完全に独立しその旧領を完全に平定、今や東海一の大名に成り上がっていたのだ。と同時に松平元康は徳川家康と改名し東海の覇者として名乗りを上げていたのである。


丁度一行の前を輿が通り過ぎた時、突然1人の騎馬武者が一行の前で足を止めた。


「む?貴殿・・・もしや、須藤清則殿では?」


懐かしい声に思わず清則は顔を上げた。威風堂々とした斑模様の馬に跨った男。


脇に抱えた大槍、そして幾度も戦場で見た鹿角脇立兜・・・誰であろう本多忠勝その人であった。


「本多・・・忠勝殿?」


清則が思わず呟くと同時に忠勝は馬から降りて清則に歩み寄った。徳川家において須藤清則とは今川家を滅ぼすのを協力してくれた恩師同然だったのである。


「如何した、平八郎?」


そこにもう1人見知った顔が現れた、松平元康改め徳川家康である。目深に笠を被っていたが彼自身から放つ戦国大名としての威風が隠し切れていなかった。


もちろん、一同はこれに驚いた。先ほど輿が目の前を通り過ぎたばかりだったのに、輿に乗っていたはずの家康が目の前に現れたのである。


「と、殿!!何のための影武者ですか!!」


忠勝が馬上の家康を守るように立ちはだかって諫言した。忠勝の言から察するに先ほど輿に乗っていたのは家康の影武者と言うことである。


家康は祖父である松平清康を始めに父・広忠をも暗殺で失っているので、刺客対策として影武者を用いていたのである。


無論、これは徳川家だけで無く各地の諸大名も影武者を立てることが多かった。


余談ではあるが、桶狭間の前に敦盛を舞った信長公は実は影武者との説がある。


これも余談だが『徳川に徒なす刀』と知られる村正は清康・広忠が暗殺されるのに用いられたとされ、更には嫡男・信康を介錯したと伝えられるからである。しかし、本多忠勝の愛槍である蜻蛉切もまた村正の作でもある。


「おぉ。貴公は須藤清則ではないか!!」


家康が馬から降り、忠勝を押し退けるようにして清則の手を取った。途端にあちこちからざわめきが起きたのも無理はなかった。


「家康様も相変わらずお元気そうで何よりです。」


清則が家康に深々と頭を下げた。家康はそんな堅苦しい挨拶は要らぬと言って清則を立たせた。


「おや。貴公は確か木下殿の・・・」


家康が清則の側に控えていた小一郎に気がついて声をかけた。この時点で家康はある事に気がついていた。


事実上織田家の重臣とも言える須藤清則。


そして織田家家老の木下籐吉郎の弟・木下小一郎。


籐吉郎の軍師である竹中重治の娘・竹中千里。


前田利家の義理の甥である前田慶次。


小寺家家老で織田家への使者としてやってきた・黒田官兵衛。


この5人が美濃から三河へやってくると言うことは何か重大な仕事を請け負っているに違いないと確信していた。


「殿、如何致しました?」


徳川家康の股肱の家臣の1人であり、家康を知の部分で支えた本多正信が家康に歩み寄って伺いを立てた。


家康は現在浜松への移転の途上にあり、ここで時間を無駄に浪費すべき場合ではなかったのだ。


「弥八郎(正信の別名)と平八郎、この者達の用件を聞いておけ。」


家康は正信と忠勝にそう命じると颯爽と馬に乗り、行列へと戻って行った。


「ははぁっ!!」


二人が頭を下げると五人を連れて近くにある庄屋の屋敷へと向かった・・・。





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