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第二十話〜旅立ちと仲間〜

すんごく疲れましたw

評価待ってますw

稲葉山陥落の三日後、清則は尾張と三河の国境に立っていた。


清則を見送る為に木下藤吉郎・竹中半兵衛・前田利家・浅野長吉(改名して浅野長政)の四人とその他が見送りに来ていた。


「殿、今までお世話になりもうした・・・」

清則が深々と頭を下げて礼を述べた、せめてもの餞別として結構の額の路銀を渡されていた。


「うむ・・・お主も元気でな」

藤吉郎が涙を堪えるように瞬きをしながら呟いた。


「お主と肩を並べて戦えた事・・・俺は終生忘れないぞ!」

利家が清則の肩をがっしりと掴んで揺さぶりながら叫んだ。


「清則殿、お元気で・・・これは三河に着いた時に読みなされ」

半兵衛が清則の手を握り、その手に文を握らせた。


「皆様・・・達者で・・・」

清則が槍を片手にもう一度頭を下げて振り返らずに三河へと入っていった。


「これで・・・よろしいのですか?」

長政がぼそりと呟いた、藤吉郎の心中を察して口を開いて言った。


「奴はワシの配下で終わらせるには勿体無さ過ぎる・・・これでいいのだよ」

藤吉郎が涙を堪えながら段々遠ざかる清則の背を見送りながら呟いた。


しばし歩き続け、日が傾き始めた頃に清則は三河は岡崎に入った。


そこで思い出したかのように半兵衛から手渡された文を開き始めた。


『清則殿へ、貴殿がこれを見る頃は三河に入っているはず・・・岡崎のはずれにある荒寺に貴方を待っている者達がおります』


とだけ記されていた。


「ワシを待っている者・・・はて?」

清則が文を懐に入れて首を傾げながら人づてに聞いた荒寺の方角へと足を向けた。


その荒寺に着いた時には既に日が沈みあたりが闇に包まれた頃であった。


如何にも盗賊が住んでそうな古ぼけた荒寺はひっそりと静まり返り、物の怪が出てきそうな不気味さであった。


清則は「よし・・・」と呟くと荒寺のお堂の戸を勢いよく開けた。


「お、お主らは・・・」

清則は中に入って思わず驚きのあまり槍を落としてしまった。


「元織田家家臣・木下小一郎!!清則殿に着いて行き申す!!」

藤吉郎の弟にして織田家家臣の木下小一郎が柱にもたれ掛かって叫んだ。


「同じく元織田家家臣・前田慶次郎利益!!俺も連れて行ってくれ!!」

前田利家の兄・前田利久の子(一説には滝川益氏の子とも)にして史実では秀吉・家康に恐れられた古今無双の猛将・前田慶次であった、ちなみにこの時まだ12歳である。


「元小寺家家臣・黒田官兵衛孝高!!師・竹中半兵衛殿の薦めによってご同行いたします!!」

史実では小寺家家臣にして豊臣家臣、そして秀吉に「ワシ以外に天下を取れる男」と恐れられた謀将・黒田官兵衛である。


「お主等・・・このうつけどもめ・・・よく来てくれた!」

清則が苦笑いを浮かべた後、満面の笑みを浮かべて三人の肩を抱いた。


「俺たちだけではござりませんぞ?」

慶次がニヤニヤと笑いながら柱の陰を指差した。


そこには旅装束に身を固めた女性が頬を微かに赤く染めながらモジモジしながら立っていた。


「千里殿・・・」

清則が呆けに取られたような顔をして千里を見た、初めて会ったときあれだけ拒絶されたのでその驚きは計り知れなかった。


「あ、あの・・・父から文を預かっております」

千里が慌てた手つきで半兵衛からの書状を清則に手渡した。


そこには『千里は貴殿を慕っておる様子、どうかお頼み申します』とだけ記されていた。


「おやおやおや〜?清則殿?顔が赤いですぞ?」

慶次がまだニヤニヤした笑みのまま清則の背中を肘で突付いた。


「あ、あの!!ふつつか者ですが・・・」

とゴニョゴニョと語尾を濁しながら千里が呟いた。


「え?あの・・・えっと・・・こちらこそ」

清則が困ったといわんばかりに鼻の頭を掻きながら挙動不審者のように目を泳がせながら呟いた。


「もそっと寄れ寄れぃ!!恥ずかしがらずにもそっと・・・あ痛っ!!」

慶次が冷やかすように二人をくっつけようとした所に小一郎のゲンコツが慶次の脳天を打った。


「この石頭め・・・慶次、そう冷やかすなよ・・・清則殿も困っておられるではないか」

小一郎が痛みでしびれる手をヒラヒラと揺らしながら慶次を叱りつけた。


「小一兄ぃは冗談が分かってないな・・・官兵衛殿も何か言ってやってくれよぉ」

慶次が頭を押さえて官兵衛に意見を求めた。


「それで、清則殿・・・これからいずこに向かわれるのです?」

官兵衛があっさり無視して清則に問いかけた、とりあえず三河に入ったからには何処へ向かわなければならなかったのだ。


「無視?酷くない?」

慶次がブーブーと不満を言いながら、その場に座り始めた。


「いや、特に決めてはいないが・・・」

清則が暖炉に枝をくべながら呟いた。正直これからどうしようかなんてまったく考えていなかったのである。


「なれば甲斐へと向かいましょう・・・長篠から北へと向かったところです」

小一郎が懐から地図を取り出して清則に説明を始めた、甲斐と三河はちょうど隣国に当たるのだ。


「甲斐といえば・・・かの武田信玄公の領国ですな?いいですね、私も信玄公の軍略を見てみたいですな」

官兵衛がフムと頷いて小一郎の意見に同調した、甲斐の武田信玄と言えば知らぬもののいない戦国きっての名将で、その用兵は戦国一と呼ばれるほどであった。


「ふむ、では明日にでも甲斐に向かうとしようか・・・」

清則が地図を見ながら呟いた。清則も一度武田信玄を見てみたいと思っていたのだ。


「では、今日はもう休むとしますか?」

小一郎が茣蓙ござを敷きながら聞いた。


「そうだな・・・」

清則も暖炉の傍で横になって静かに目を閉じた・・・。


(甲斐・・・か)

と清則は眠りに落ちる寸前に静かに呟いた。


織田家を放逐された清則、だがその人徳を慕って4人の仲間を得た。


そして甲斐の武田信玄との出会いで清則は何を学ぶのか、それはまた後の話である・・・。

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