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第十六話〜四面楚歌の危機・前編〜

本当に更新遅れてすんませんでした。


執筆活動を再開させていただきます。


− 山小屋 −


藤吉郎一行は青年の厚いもてなしを心から堪能し既にほろ酔い気分となっていた。


「ほぉ・・・貴殿は斎藤家にお仕えなされていた堀尾泰晴氏の御嫡男・堀尾茂助殿でしたか・・・」

半兵衛が頬を微妙に朱に染めて杯を傾けた、堀尾泰晴かつては斎藤家でも1、2を争う剣術の腕前の人物であった。


堀尾泰晴、彼は斎藤道三・斎藤義龍・斎藤龍興三代に仕えた剣術師範であったがある日刺客の襲撃を受けて死亡、父と違って剣術の才能も無くかと言って知略もお世辞にも無い茂助は城から追放されたのである。


「父上の名をご存じでしたか・・・」

茂助が鍋の中の野菜を器に運んで懐かしそうにポツリと言った、茂助が仕留めた猪の味は格別で陣中食よりうまかった。


一行は茂助が侍として召し抱えられたいと思っていた事を知り藤吉郎が率先して仕官するよう進めたが「やれねばならない事がある」と言って首を縦に振らなかった。


茂助の好意により一晩だけ宿を借りることになった。


彼曰く「外は斉藤家の歩哨だらけです、明日の朝私が抜け道まで案内しますので、今日はお泊りください」とのことであった。


そしてすっかり夜も更け皆が床についた時、複数の殺気を感じた須藤は太刀を片手に飛び起きた。


「藤吉郎様・・・囲まれております」

須藤が隣で大いびきを掻いていた藤吉郎を揺すって無理矢理起こした、小六も殺気に気がついたのか太刀を持って小窓の隙間から外を覗いていた。


「人数は・・・ざっと二十数名って所か・・・」

小六が太刀を抜いて小窓をピタリと閉じた、藤吉郎も須藤に起こされてようやく事態を察知した、半兵衛も護衛用の小太刀を抜いて息を潜めていた。


「事は荒立てなくないが・・・小六・清則・・・頼むぞ」

藤吉郎が太刀を握りしめて少しふるえて言った、藤吉郎は頭脳は一級品だが剣術の腕前は家中でも下から数えた方が早かった。


「はっ・・・小六、お主は裏から・・・俺は表から行く」

須藤がスラリと太刀を抜いて小六と意思疎通を図った、小六はコクンと頷くと足音を立てずに裏口へと回った。


「堀尾殿は?」

半兵衛がこの小屋の主がいなくなった布団をひっぺ返して須藤に聞いた。


「清則、気ぃ付けろ・・・堀尾殿の種子島がなくなってる」

藤吉郎が壁に立てかけてあった茂助の火縄銃がなくなっている事に気がついて清則に注意を促した。


「いるのは分かっておる!!出てまいれ!!」

外から斉藤家の足軽達の叫び声が聞こえてきた、清則はこの時茂助が斉藤家と内通し自分たちを暗殺しようと目論んでいたと思い込んでいた。


清則は戸口に耳をそばだてて敵の息遣いと足音で正確な人数を把握しようとしていた。


だが外は風が強く足音も息遣いも聞き取れなかった、だが把握しているだけでざっと二十数名と言ったところであった。


(小六の読み通りだ・・・さて、どうするかな・・・足軽はともかく火縄銃で狙われたら最後・・・か)

清則が刃を鏡にして外の足軽達の持つ得物を確認して考え込んだ、太刀・槍は確認できたが火縄銃がどこにあり、どこから狙っているか確認できなかった。


「三つ数える!!それまでに出てこなければ踏み込むぞ!!」

足軽の頭と思わしき男の怒鳴り声が闇夜に響き渡った。


(えぇい!!考えても始まらぬ!!ままよ!!)

清則は考えることを辞めて勢い良く戸口を蹴り倒して外に飛び出した。


「な、なんだ貴様は!!」

足軽頭が驚いた顔で小屋から飛び出して来た清則をにらみつけた。


「我こそは織田家足軽大将・須藤清右衛門清則なり!!」

清則が太刀を構えて声を張り上げた、その瞬間風が止み雲の間から月光が差し込んだ・・・。





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