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進展⑫ -能力の出力-

 総矢の言葉に三人が耳を疑った。全員が驚き表情が強張っていた中、清正が言葉を搾り出す。

「本当、なのか? ……あそこは政府の管理施設だぞ?」

「奴らと政府が絡んでいるかどうかはともかく、場所は間違いありません」

 総矢の言葉に再び沈黙になる。

「……とにかく、私達の次の目的地は多目的実験場(そこ)ね。徹底的に壊してやるわ」

「バカか、最終的に関係者全員を始末しなきゃならねーから調べ上げるのが先だ」

「やるべきことを話すのは後だ。ここから先はおそらく能力者同士の潰し合いになるはず」

 清正の言葉に全員が頷く。

「そういう訳だ。下手に分かれて乗り込むのは危険だ。この前のように罠に対処することも考えて襲撃は俺の退院に合わせる、異論は無いな」

「そうだな。それで退院はいつだ?」

 煉の疑問に答えたのは扉を開けて現れた矢口だった。

「退院ですか? 水谷さんの退院でしたら明日の再検査の結果次第です。おそらく明後日には退院できると思いますよ」

「「「「そんなに早く?」」」」

 驚き、全員が声を合わせて尋ねる。

「ええ、細胞の再生は完了しています。義手との接合部に関しても今のところ問題ありません。あ、退院とは言いましたが、暫くは通院してもらいますよ」

「そ、そうですか」

 清正が自分の左腕に視線を移し、回復の早さに驚いていた。その後、矢口は簡単な明日の検査についての説明を行い、病室から出ていった。

「予想より早い退院で良かったわ」

「ああ、これなら明後日の夜には行けそうだ」

 煉とみことが嬉々としていた。清正が全員に予定を告げる。

「よし、出発は明後日、9月10日の午後9時にいつもの場所に集合だ」

 清正の提案に全員が頷く。頷いた直後、煉が返す。

「実験場に向かう事に関してはいいが、明後日まで奴らが動いてこないって可能性は0じゃねーぞ」

「俺の心配か? お前に心配されるほど弱ってないぞ。なんなら今戦り合ってみるか?」

 新たな右義手で煉を軽く挑発する。清正が嬉しそうに指を動かす様子を見て、煉が溜息を吐きながら頭を掻く。

「はぁ、分かった分かった。それなら俺はこいつ等の訓練に専念させてもらうからな」

「自分の身位自分で守れる。心配すんな。お前達も気をつけろ。それじゃ集合には遅れるなよ」

「ああ、2人とも行くぞ」

 煉に促され、3人は病院を後にした。


 病院を出た後、人気の無い場所にある廃屋に連れられ、総矢とみことは能力の訓練をひたすら続けた。煉の指導の成果は朝に体感した事からも分かっていたが、物凄いものだった。その日の内にみことは目で見て分かるほどの成長を遂げていた。

「……できた」

 両手の中に青い炎球を灯しながら、みことが呟く。

「もう出来たか。よし、その炎でこれを燃やしてみな」

 煉がみことの足元に巨大な瓦礫を置いた。頷き、炎を置かれた瓦礫に向かって放つ。放たれた青い炎球は瓦礫を瞬時に溶かし、蒸発させる。それだけでは収まらず、置いた地面に円い穴を空け、地面を溶かして進み続けている。数秒程で音が鳴り止み、炎が消滅したことを確認する。

「嘘……こんなに威力が上がったの?」

「そう。能力なんて使い方次第でいくらでも強くなる。圧縮をすればするほど高温になるが、その分コントロールは難しくなる。お前は今まで圧縮が不完全だったからここまでの威力が出せずにいただけだ。ちょっと見てろ」

 そう言うと煉は右手に巨大な炎を灯す。それを徐々に圧縮し、ビー玉ほどの大きさまで縮めた。その球は炎と言うより、

「……太陽だ」

 思わず総矢が口にした。自慢げに笑う煉の顔からは凄まじい疲労が窺えた。口元だけ笑い、煉は地面に向かってその球を放つ。音も立てずに球体は地面を掘り進む。穴からは光が漏れ、存在を主張し続けている。総矢達は呆然とその様子を見ているしかなかった。数十秒後、穴から漏れていた光が消えた。

「今の結構本気だぞ……体力の消費が半端じゃないから使い所を間違えるとどうしようもなくなるから気をつけろ。一撃必殺なんて使い勝手が悪いからな」

 煉はその場に腰を降ろして話を続ける。肩で息をしている。

「……ハァ……だから2人とも自分で能力と体力のバランスを考えて使えよ」

「ええ、分かったわ」

「重々承知してますから、前みたいに無理矢理使わせるような事しないで下さいね」

 総矢の反論に煉は苦笑いしていた。

「ま、まぁあの時はフォロー出来ると思ったからそうしたんだ。後の事を考えるのも重要だが臨機応変に対応する事も……と、とにかく今日は終わりだ」

 三人は仮宿のアパートへと向かう。小声で煉が疑問を口にする。

「総矢、お前の能力って『人の思考を読み取る』でいいんだよな?」

「今更何ですか? 相手の動きが分かるのは予知とかではなく次の行動が読めるからです」

「そう、だよな……」

 その問答の後、煉は一切口を開く事は無かった。

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