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進展⑨ -聞き込み-

 矢口が入れ替わりに入ってきた。

「お目覚めのようですね。気分はいかがですか?」

「落ち着いてはいます。これは少しショックですが」

 矢口は薄く笑った後、簡単な問診が行われた。問診が終わり、矢口が総矢に話を振る。

「そういえば少し会わないうちに、少し変わったみたいですが水口さんのおかげですか?」

「かもしれないですね」

「ああ、いい方向に変わったかどうかは分からないが」

 矢口は目を丸くして答える。

「そうですか? 以前に比べ、目に活力がありますよ。体の回復も明らかに早いですし」

「『頼れる仲間』ができて、精神的に楽になったからかもしれませんね」

 総矢の言葉に今度は清正が目を丸くする。

「お前……よくもまぁ恥ずかしげもなくそんなことが言えるな」

「そこは触れないでもらえますか」

「何にせよ心に余裕があることはいい事です。さて、水谷さんは明日に再度検査を行います。話は以上です。それでは」

 立ち上がり、矢口は部屋から出て行った。直後に清正は総矢に尋ねる。

「以前からの知り合いか?」

「ええ。何度かお世話になってて」

「ま、いいや。ちょっと考えたいことがあるから1人にしてくれ」

 総矢は清正に追い出された。既に自分の病室を持たない総矢はそのまま病院を出た。


「で、追い出されて来たのがここか。俺の貴重な睡眠時間を削りやがって」

 レイルは不満そうな顔を向ける。

「閉店してるからって鍵も掛けずにそのまま店で寝るのは流石にまずいですって」

「うるせー黙れ、この食い逃げ犯」

「あれは緊急で仕方なく」

「犯人は皆そう言う」

 次々に繰り出されるレイルの言葉に総矢は反論できずに苦笑いするしかない。

「で、何だ? 話があるからわざわざ閉店後になってまで来たんだろ?」

「助かります」

 事の経緯をレイルに話す。

「……って訳なんです。その男を捜したいんですが……」

「なるほど。風を自在に操る『能力』か……『能力』については心当たりが無い訳じゃない」

「本当ですか?」

「ああ、俺自身が目にした訳ではないんだが、ここの『名簿』の人間から超能力者相手に戦ったって話を聞いたことがある。そいつが戦った相手は風じゃなくて炎を自在に操っていたらしいが」

「炎ですか……それで? その超能力者はどうなったんです?」

「知らね。戦った本人も炎で足止めされてその間に逃げられちまったらしいからな」

「大体3年前の話だ。詳しくは聞いてないがこの近くでの話らしい。俺が知ってるのはそれだけだ」

「3年前ですか……そんなに前だと」

「ま、今ではあてにならないよな。誰から聞いたかもうろ覚えだしな」

 総矢はうな垂れた。

「仕方ないってことはわかってますけど、やっぱりテンション下がりますね」

「文句言うな。さて、今度こそ俺は寝る。帰れ」

 レイルに店から追い出された。やむ終えず外に出た総矢は、襲撃を受けた『情報屋』のアジトに向かう。

(呼び出された時は中まで見ている余裕が無かったからな。確認しておいて損は無いはず)

 総矢は入り口に辿り着いた。入り口のガラス戸は無残に砕かれ、金属製のフレームも完全に折れ曲がっていた。

(酷いな……この壊し方、人間が生身で武器使っただけじゃ無理そうだな。車で突っ込んだレベルだな。車もタダでは済まないだろうが)

 次いで一階を見て回る。至る所の壁が抉られ、血液が付着している箇所もかなり目に付く。上階も同様であった。犯人の目的は、人であろうが物であろうがとにかく『破壊』であることは明白だ。

「無茶苦茶だ……ここまでやる必要があったのか……?」

 総矢がいたフロアに階段を歩く音が響き渡る。音に反応し、総矢は身構えた。

急に秋になった気がします。

台風の前後で一気に気温が変化した気がします。

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