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進展⑦ -相打ち-

 縦横無尽に右手を振り回す。今度は清正が分厚い水壁を作り出す。水壁が裂けるのを目視し、清正は素早く移動し、安全な立ち位置に落ち着く。みことと煉も同様に安全な位置を見極める。

「『かまいたち』みたいなものか。ってことは」

「『風』が自在に操れる……ってことね」

 冷静に分析する清正達に男は興奮している。

「最っ高だよお前ら! 弱ぇやつらをいくら嬲っても面白くねぇからな! そこそこやれねぇと退屈しちまうからな、今日の昼間見てぇのはもう勘弁なんだよ!」

 自信の体を僅かに浮かせ、清正に向かって突進する。

「お前がやったのかっ!」

 鬼の形相で清正が叫ぶ。水壁の一部が圧縮されて弾丸の如く射出される。

「仕事だからな。だが奴らは所詮クズな弱者共だろうがっ!」

 水弾を避けると同時に風で軌道を僅かに変えつつ、尚も男は接近する。

「ふざけやがって! ぶっ潰す!」

「許さない! あんた達は生きてちゃいけない!」

 煉とみことの炎が男を包み込む。

「このまま蒸し焼きよ!」

 圧縮し、更に高温にした炎をみことが放つ。

「あ~あ~、駄目だなこの程度じゃ。まだまだ未発達なのか、あるいは限界が低いのか」

 男の涼しい声が炎の中から聞こえる。

「届かねぇよ。こんなんじゃ足りねぇってんだよ!」

 男の叫びに同調し、炎が散った。瞬時に炎が消され、無傷で宙に浮く男が二人を見下すように言い放つ。

「炎なんざ俺には効かねーよ。この程度簡単に振り払えるレベルじゃねーか。期待はずれだな」

 だが、直後に気がついた。自分の目の前に『二人』しかいない。

「能力に頼りすぎたクズが! 人の仲間見下してるんじゃねぇよ!」

炎で視界を遮っている間に背後に回り込んだ清正が口を開く。清正は自らが噴出した水の勢いで男の背後まで飛び上がっていた。指先から高圧縮した水を吹き出しながら男の左腕に向かって左手を振り降ろす。肘から先が男の体を離れ宙に舞う。痛みに顔を歪ませながらも残った右腕で反撃を繰り出す。

「てぇなっ! このっ!」

水平に振るった男の腕の先から、目に見えない風の刃が清正の左前腕部を切断した。

「クソッ!」

 男は切り離された自身の腕を空中で掴み、すぐさま清正から距離を取る。

(迂闊だった……まさか片腕取られるとはな、左……手? しまった!)

 男が慌てて振り向くと、総矢は地面に向かって落下していくところだった。落下地点に先回りした清正が水のクッションで総矢を受け止める。

「煉。頼む」

 慌てて駆け寄る煉が総矢を抱える。

「チッ! これじゃあの女と同じで失敗じゃねぇか。覚えておけよこの野郎!」

 捨て台詞を吐き、男は飛び去って行った。

「この、待ちなさい!」

「よせ! 今追うのは危険だ。仲間がいる風な話し方だ。今の状態ではまともに戦えない」

「いいから余裕ぶってる場合じゃねぇだろ、病院だ、病院!」

 出血に耐えられず、清正は膝を着く。清正の左腕からの大量の出血に目を奪われ、みことは硬直していた。

「大塚! 今なら正面の通りに出れば救急隊がいるはずだ! 呼んで来い!」

 煉の叫び声が響き渡った。駆けつけた救急隊員による応急処置が施され、清正はすぐに中央病院へと搬送された。怪我の原因については、煉が咄嗟に爆風から逃げて窓から飛び降りようとしたが、飛び降りる直前に飛んできた金属片か何かによって切断された。という少々苦しい言い訳をしていた。

太った気がします。ダイエット検討中ナウ


※肘から腕って上腕って言うんですね。いざ文章表記となると結構難しいです。もともと肩から肘を『一の腕』、肘から手首にかけてを『二の腕』って呼んでいたらしいです。余計にややこしい事になりそうなのでこれからも日常生活では『ココ』と言うようにします。

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