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進展③ -罠-

 煉が指差した建物は駅からそれ程離れてもいないところにあった七階建てのオフィスビルだった。暗くなった空に反して、いくつかのフロアからは電灯の明かりが漏れている。総矢は見失うことなく三人を追い続けてビルの中へと駆け込んでいった。既に勤務時間が終わっている事もあり、中にいる人間は完全にはゼロではない状況ではあったもののかなり少ない。エレベーターの前で全員が立ち止まる。

「下から順に行く。総矢は入り口で出てくる人間を片っ端から調べろ」

 清正の指示にすぐさまみことが付け加える。

「見つけたらすぐに連絡ね。私たちが殺るから手は出さないでよ」

「煉と大塚さんは偶数階を、俺は奇数階を調べる、いいな?」

 煉の体力を考え、分散は即座に決められる。異論は無く、すぐに三人は調査を開始した。その間に、総矢は能力をONにしていた。

(俺にできるのは状況把握くらいだな。能力対象をこの三人に限定すれば、この建物を調べるまでくらいは何とかなる……よな?)

『ヤツはどこ? ぶっ殺してやるわ』

『絶対許さねぇ』

『ココで必ず仕留める』

(よし、いけるな。にしても全員殺意しかないな。電話があってからココをすぐに離れた可能性だってあるはずなのに、それすら考えられていない)

 総矢の想像通りに三人が順にフロアを調べながら上を目指すが、当然それらしき人物は発見されない。同時にビルそのものから出てくる人間もいない。調べていくうちに清正の頭に疑問が浮かぶ。

『妙だな。電灯がついている部屋もあったはずなのに誰もいない?』

(そう言えば、出てくる人間もだな。……まさか罠か! 誘い込まれた!)

 総矢はすぐさま携帯を取り出し、清正へ連絡する。建物から出る人間もいなければ建物内部にいる人間の気配すらない。その状況を認識した清正は即座に総矢と同じ結論にたどり着き、エレベーターに向かって走り出す。

『煉達にすぐにココから出るよう連絡してくれ! それからお前は建物から離れて路地にでも潜んでろ!』

 通話が終了すると同時に即座に煉に連絡した。

「罠の可能性が高いです! すぐに外へ出てください」

『罠だと? そうか、誰もいないのは……分かった。大塚には俺から伝える。切るぞ』

 総矢はビルの向かい側の通りにある細い路地に入り、遠目から様子を伺う。その間も変わらず建物から出てくる人間は一人もいなかった。

(一度外に出るのは分かるが、俺に隠れるよう指示したのはどういう意図だ?)

 総矢の疑問にはすぐに答えが出た。突如ビルの警報装置が作動した。大きく鳴り響くアラームがビルの入口周辺にすぐさま人の山を作り上げた。あと一分離れるのが遅ければ、総矢も巻き込まれていた。

『これじゃ迂闊に出られないな。これだけの騒ぎだ。警備員、いや下手すると警察に取調べを受けかねない。流石にそれは避けたいな』

 清正の苦々しい表情が目に浮かぶ。と、マナーモードに切り替えた携帯が振動する。

『総矢、聞かなくても分かると思うが俺達はもう少しココに潜む。外で何かあったら俺達に連絡をくれ。いいな』

「分かりました。あ、今警察が正面に来ました。サイレンの音から消防もすぐ来ます」

『本当か? 何でこういう都合の良くないときばかり手際がいいんだ、クソッ! 一旦切るぞ。何も無くても1時間後に連絡をくれ。じゃあな』

 一方的に通話を終了させられる。

(合流したみたいだな。三人はまとまって行動する。それなら能力使用は1人でいい。長くなりそうだから制限しないとな、もう四階まで上がったのか)

 煉とみことを対象から外し、清正にのみ絞る。その直後、轟音と共に四階の窓ガラスが割れ、炎が噴出した。野次馬の上にガラスの破片が降り注ぎ、悲鳴が聞こえる。

タイトルで丸分かりっすね...

来週は確実に投稿できません。投稿可能となるのは早くとも来週の火曜日以降です。申し訳ありません、ご了承下さい。

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