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進展① -呼び出し-

「いらっしゃいま……あっ、総矢さん! こんにちは」

「お、来たか」

 見慣れた二人が総矢を出迎えた。他に客は一人もいなかった。真っ直ぐにカウンター席に向かう。

「相変わらず人が少ないみたいですね」

「うるせーよ、お前も容赦なく言うようになってきやがって」

「じゃあその分総矢さんが沢山注文して下さいね」

「沢山、は無理だな。取りあえずコーヒー、ホットので」

 総矢の注文に不満そうな顔を向ける優衣。気圧された総矢は顔を引きつらせる。

「……じゃ、じゃあサンドイッチも……」

「分かりました! 少々お待ちください!」

 待っていた言葉を聞いた途端、優衣は嬉しそうに返事をする。

「優衣ちゃん、練習だ。サンドイッチだけじゃなくコーヒーもやってみな」

 レイルに言われた言葉に驚いてはいたが、それよりもすぐに嬉しそうな顔に変わり、「はい」と元気よく返事をしてから作業を開始した。

「あの、客に練習って……」

 苦笑いしながら文句を口にしようとしたが、レイルは総矢に手を差し出す。

「ID貸しな。今回の件でアイツからの礼だそうだ。さっき連絡もらってな」

「礼、ですか?」

 促されるままIDを差し出す。

「どうせ自分で話してないだろうから説明するが、アイツは相当なお偉いさんと繋がりのある人間なんだよ。アイツの父親は国そのものを動かせるような地位にいた存在だった。それによる繋がりもあるが、それだけじゃなくアイツ自身に周りが認めるものを持っているってのもあるが」

「回りくどいですよ、もっとハッキリ言って下さい」

 総矢はレイルの話を遮り、簡潔な答えを要求する。

「半永久式発電装置、自立可動ロボット、それと世には出回ってないもので言うとお前も持ってる転送装置。他にもあるが、現在必要不可欠とされる物の多くはアイツの祖父が原案を、父親とアイツ自身が形にした。用は作り出したって事だ」

「それだけにこの国にとっても相当な重要人物ってことですね?」

 レイルは視線だけ総矢に向け、頷いた。

「よし、これでお前のIDレベルは『2』だ。いや、正確には「2.5」と言うべきか。ポイントとしては十分すぎる程だな」

「ありがたいです。というかそう言えばココの店って何でそんな事が出来るんです?」

 その問いかけに、レイルは呆れた表情を向ける。

「い、今更聞くなよ。そりゃお前……」

「お待たせしました」

 答える前に優衣が皿とカップを手に、二人に近付く。

「ありがと、それじゃいただきます」

「ほぉ、手際いいじゃねぇか」

 優衣のいるところで真剣な話をしないことはいつの間にか暗黙の了解となっていた。総矢が食べる様子を嬉しそうに眺めている。

「えと、うん。うまいよ」

 視線に気付いた総矢がそう言うと優衣は更に笑顔を輝かせる。突然、総矢の携帯が鳴った。着信は煉からのものだった。

「どうしたんですか?」

『今すぐ戻って来い! 詳しい事はこっちに来てから話す!』

 強い口調と焦った様子から、不安が掻き立てられる。総矢は残ったサンドイッチを強引に口に押し込み、「すみません、今日はこれで」と一言告げて店から駆け出していった。店内に残されたレイルと優衣はその様子に驚いていた。

「……あ、総矢さんお金払ってないです」

「次来たとき3倍払ってもらうしかねーな」

先週休んでしまい、申し訳ありません。

来週、再来週は投稿できるかどうか分からないので間が開くやもしれません。

ご容赦下さい。

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