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調査⑲ -尋問-

「ふぅっ。終わった~!」

 総矢は安心し、その場に大の字になって寝転んだ。

「総矢、お前うまくやるじゃねぇか」

「能力を使っただけですよ」

「機械相手でも使えるのか? 随分便利だな。でも最後のアレはそれじゃ説明が……」

 煉の疑問に答えたのは玲子だった。

「いいえ。総矢が読んだのは私の考え、だよね?」

「そうです。火口さんをサポートしているときの柏木さんの動きを見て気付きました」

「へぇ……いや、その前になんでアンタはアレの動きが分かったんだ?」

 疑いの眼差しを向けられた玲子に代わり総矢が事情をある程度説明した。無論、能力について話した事も説明していた。状況を把握した煉は、複雑な顔をしながら頷いた。

「ふぅ、そうか。あ、そうだ。ちょっとここで待ってろ」

 そう言い残し、煉はどこかへと走り去っていった。

「よし、それじゃ……」

 玲子が何かを取り出し、スイッチを押す。辺りが激しく揺れる。振動しながら所々地面が歪む。地下空間の中心は建物の真下ではなく、丁度総矢達がいた建物のすぐ外だった。

「やばっ……ここちょっと危ない」

「いきなりやらないで下さい! 心の準備が、うわっ!」

 振動が落ち着くと、二人は立ち上がる。玲子が唐突に総矢に話しかけた。

「もう一仕事手伝ってもらえるかな?」

「……さっきの人達ですね?」

 玲子が黙って頷く。二人の会話を黙って聞いていた煉が口を開く。

「状況はイマイチ分かんねぇけど、とにかくこの2人を連れてくればよかったんだよな?」

 煉が二人の襟を後ろから持ち上げた状態のまま戻ってきていた。煉の行動の速さに二人は言葉が出ない。

「この短時間に何があった? さっきの地響きとこの地面関係あるだろ?」

「えと、ここの地下にある研究施設を爆破しました」

 総矢の簡潔な答えに煉は驚きもせず、軽く頷いていた。青くなっていたのは二人の研究員だ。

「ちょ、ちょっと待ってください! それじゃ地下の俺達の同僚は?」

「あんたを眠らせた間に私達地下に言ったけど全員殺されていたよ。さっきのも真っ先にあんた達を狙ってたって事からも分かると思うけど研究員が標的だったみたいだね」

 女性はエレベーターから出てきたロボットが真っ先に自分に銃を向けてきた事を思い出し、再び体を震わせる。地下で同僚が殺された事もそこから容易に想像できた。

「待てよ! まだ試運転すらできない状況だったんだぞ? それがあんな暴走したのは、お前達が妙なプログラム入れた事が原因じゃないのか!? 第一……」

 男は納得出来ない様子で反論を続けようとしたが、玲子が手で男の口を塞ぎ、強引に話を断ち切る。

「総矢! 今のこいつの言葉は本当?」

「『試運転すらできない』ってのですね? 確かに嘘ではないです」

 総矢は能力で確認した内容を玲子に伝えた。口封じをする必要がなくなったことに総矢は一安心した。

「そう、それと他にココの事を知ってる人間に心当たりは? それから……」

 玲子は男の口を塞いだまま二人にいくつか問いかけた。総矢は全ての答えを読み取って玲子に話した。

「今の質問に該当する部分は大丈夫です。核心部分についての情報も無いのは残念ですが、少なくとも知っている情報から何をどうするかとか出来るレベルではないです」

 それを聞いた玲子は安心したような顔つきになり、大きく深呼吸した。

「次は俺からの質問だ。情報収集のために乗り込んできた連中に何をしたかを教えろ」

 煉の質問を聞いた二人の研究員は恐怖で体を震わせている。質問したときの煉は総矢でさえ恐ろしく感じる気迫があった。男の襟元を掴み、顔を近づけて睨みつける。

「……答えろ!」

「お、おお俺は、っ詳しいことは知らない、ただ警備室へ連れてかれてそこから社外のどこかへ連れて行かれるって噂しかっ……」

「てめぇは知らねぇのか?」

「ど、どこか外部に連れて行かれるとしか……」

 疑わしい返答に苛立ちながら煉は叫ぶ。

「総矢!」

「本当です。噂程度の情報しかありません」

「そうか。2人共もういい。総矢、警備室行くぞ!」

「え? あ、ハイ」

 腰が抜けて立てなくなった研究員の二人を残して三人は走り出した。

3連投稿 その①

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