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失踪

 みことに殺されかけてから三日目の朝。鍵矢は目を覚まし、テレビを見ていた。

『8月10日。今日最もいい運勢なのは……』

「そうか。もう8月に入っていたんだな……」

 左腕に巻かれた包帯を見て鍵矢はため息をつく。

(テロ事件からもう一月か……。そう言えば志井鍵矢は死んでいるんだっけ?それに理紗はいないとか何とかも言われたな。早く色々と調べないと……)

考えながら外を眺めていると、眼鏡をかけた見慣れない看護師が焦った様子で鍵矢の病室の戸を勢いよく開ける。

「ハァ、ハァ……大塚さんを知りませんか?」

「え?いえ、知りませんけど」

 鍵矢の返事を聞き、今度は隣の老婆の方を見る。

「それは、どんな方ですか?」

 簡単な特徴を述べた看護師に老婆は大きく頷く。

「あぁ、その方でしたら昨日の夜この部屋に来ていましたよ」

 その言葉を聞いた鍵矢は背筋が凍る思いだった。老婆によると、鍵矢が用を足しに部屋を出た直後、みことが部屋に来たらしい。さらに、

「いない……まさかここに来ることが読まれた?仕方ない。脱出がするしか……」

 そう呟いて、そのまま窓から出て行ったそうだ。

(脱出が優先、ということはまた俺を狙ってくる可能性も……)

「聞いての通りです。大塚みことさんが失踪しました。それも含めて少しお話があります」

いつの間にか部屋にいた矢口が鍵矢に告げる。

「内容が重そうですね」

「はい。ここでは少し……。場所を移してからお話しましょう」

 言われるがまま鍵矢は院長室へ連れられた。矢口が院長ということに驚きはしたが、矢口の深刻な顔に何も言うことはできなかった。

「君はこの病院では志井鍵矢とは別の人間として扱っていた。少なくともデータ上では」

「それは、志井鍵矢という人間が死亡しているから。ですね?」

「はい。話は変わりますが、先程の話から君が大塚さんに狙われていることも分かりました。おそらくその理由は……」

「『力』を直に見た、でしょう」

「はい、君は本当に頭の回転が速いですね。」

 矢口は先を言われたことに苦笑しながらも言葉を続けた。

「……どうやら彼女は本当に『力』を持っているようですね」

「はい?」

 突然の言葉に鍵矢は目を丸くする。

「彼女が君だけを狙い、その他の人間に手を出すことなく姿を消した。それは我々を消す必要がないと判断したのでしょう。おそらく仮に君が我々に話したとしても我々がそのような話を信じることは無いと思った、ってところでしょう」

 矢口の話を聞き、鍵矢は理解して付け加えた。

「そのために他の人間に見られないよう夜中に俺を殺しに来た。だが、結果的に俺を殺すことは出来なかった。だから計画を変更し、目が覚めたことに気付かれないうちに病院を抜け出して『力』について隠そうとした、ですね?」

「はい。ですが君を狙っていたところを目撃されてしまった。それを聞いて彼女が『力』を持ち、同時に隠そうとしていると確信しました。君はこれから先も彼女に狙われると思います。ですが、対抗しようにもいい案が思いつきません」

 鍵矢が黙り、考えた。思いつくのはたった一つ。

「……抵抗が無理なら俺が見つからないよう隠れて生活する……」

 矢口は驚かず、複雑な顔をする。

「抵抗でないとするなら私にも1つ案があります。君の案と少し似てはいますが…君が別の人間に生まれ変わる、というものです」

「別の……人間?」

「私は医師であり、同時にここの院長でもあります。その2つの権限があるので私には多少の顔が利きますし、データ管理も僅かながらしています。おそらく私が案の方が隠れた生活を送るより確実と思います」

「詳しく聞かせてもらえませんか……?」

「もちろんです。そのためにこの部屋に移動したのですから」

ストーリーが無理やり感丸出しで申し訳ないです。

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