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調査⑰ -目標-

『モクヒョウホソク。ショブン開始』

 現れたのは玲子が作ったオリジナルのロボットだ。玲子もつい先程目にしたものを見間違えるほど抜けてはいない。『目標捕捉』の音声と同時に、総矢の目の前の女性に銃口を向けた。

「危ないっ!」

 女性の肩を抱き、咄嗟に机の陰に隠れる。二発の銃声が響く。ロボットが二人を狙っている間に、玲子はロボットの背後を取るために傷ついた足を引きずりながらも回り込む。だが、

「っ! ガハッ、ゴホッゴホ!!」

 うっかり床で眠っていた男性の腹部を思い切り踏んでしまった。異常な苦しみ方をしながら男性は目覚めた。

「な、なんだ?」

 起き上がると玲子が人を殺せるんじゃないかというくらい冷たい目で一言告げた。

「邪・魔!」

 男性は完全に固まって玲子の駆けていく先へと視線だけをただただ移す。だが、玲子が走る先にいたロボットを見て驚愕した。銃撃を繰り返すロボットが目に入る。女性を抱えながらも総矢は銃撃を紙一重で避け、物陰に隠れ、を繰り返し、耐え忍んでいた。

「ちょっとは、落ち着きなさい!」

 左腕部の銃に向かって、床に転がっていた金属片を投げつける。衝撃を感知したロボットはその方向へと向き直る。互いに銃を構えて発砲する。

「柏木さん!」

「大丈夫!」

 玲子に銃弾は当たらず、逆に玲子の銃弾はロボットの構えた銃に当たっていた。ロボットの体勢が僅かに崩れる。だが、すぐに再度銃を玲子に向けなおす。

「くそっ! 外した!」

 玲子はすぐに陰に隠れた。

(何を狙ったんだ?)

 総矢は疑問に思いながら陰に隠れ、女性を抱えている。女性を庇い続ける総矢を見て、玲子は振り返って叫ぶ。

「総矢! 私がコイツを引き付けておくからその間にそこの男にその女預けて!」

女性を庇い続ける総矢は戦闘の役には立てていない。機能を停止させるためには機動力の欠けた玲子だけでは力不足であることは総矢にもすぐ分かった。

「おい、そこの! 今のうちにこっちに!」

 総矢は女性を抱えながら入り口に向かって走る。男性は慌てておぼつかない足取りで総矢の向かう先へと駆けていく。

「ひ、ひぃぃ。これは一体?」

「説明は後です。この人連れて外に出て!」

 驚きと恐怖で足のすくんで動けなくなった女性を託し、総矢はロボットに向かう。総矢は棒を構えて正面から突っ込もうとした。だが、ロボットは狙いを玲子でも総矢でもなく、外へ逃げようとする二人へと定める。

「まずいっ! おいっ!」

 総矢の叫び声に反応した男が振り返る。男が振り返ると同時に銃声が響く。避けられない事を総矢は分かっていた。分かっていたからこそ目を閉じ、その瞬間を見る事を自然と避けた。

「へぶっ……」

男の鈍い悲鳴にもならない声と、倒れる音が総矢達の耳に届く。当然目は向けられない。

「痛っ~。って何ですか、あなたは……」

 銃弾が当たり、絶命したはずの男の声が聞こえる。

「おい、俺から逃げられると思ってんのか? いいからさっさと吐け。てめぇらの……」

 倒れている男の胸倉を掴み、睨み付ける煉。先程の男の悲鳴は惨いものではなく、煉が入り口から飛び出してきた男に驚き、反射的に蹴りを入れた際のものであった。

「火口さん!」

 総矢の声に反応し、振り向いた際には既に男と煉にそれぞれ銃弾が放たれていた。

「チッ!」

 煉は掌を前に突き出し、炎の壁を創り出す。銃弾は炎に飲み込まれ、一瞬で消滅した。煉の後頭部によって倒れていた二人には何が起きていたか分からなかった。熱気を感じた時には既に煉の炎は消えていた。遠目で見ていた玲子は驚き、動きが固まった。

(え? 今の何? あの人、何をしたの?)

「おい、話は後で聞くからな」

 煉はそう言って二人を追い出し、扉を閉じる。その間、総矢は注意を引くために、攻撃していた。玲子に気付いた煉は、動揺することなく叫ぶ。

「話は後だ! アレを止めるんだろ?」

「あ、うん……分かってる」

 慌てて玲子は銃を構えた。煉は掌に炎を灯しながら駆け出す。

もう夏ですね。暑い

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