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調査⑨ -目的地-

斉藤は調査報告のために『部署』の調査を中断したため、その内容の全てが明らかという訳ではない。彼はその『部署』の連中が作業を行う施設への『入口』と『入り方』を知っていた。

(施設は地下……入り口は工場エリアで最も奥の研究棟か。研究棟に入るには例の部署の社員用IDが、地下に入るにはIDだけでなく指紋によるチェックも必要、か)

 総矢は頭を抱えた。情報の入手という面では幸先良いが、潜入方法については全くもっていい案が思い浮かばない。

(IDはうまい具合に彼から拝借できたが、指紋は……。その『部署』の人間の指を切り取って使う? いやいや、無理だ! 騒ぎになるなんてレベルじゃ済まないし、そもそもそんなことが出来るかっての!)

 頭を掻きながら総矢は時計を見た。時刻は十一時五十五分。間も無く調査隊の人間が潜入を開始する。工場内監視が確かな場合、トラブル発生時に調査隊の人間に目を向けるため用意されていた電子爆弾はもはや意味が無い。そのため、総矢は電子爆弾をセットすることなく建物を出て、目的の奥の研究棟へ向かって歩く。その時、携帯が振動し、着信を知らせる。

(ん? 誰からだ?)

 画面に表示されたのは清正の名前だ。総矢は電話に出ることなくすぐに電話を切った。

(手遅れかもしれないが、念のためだ……)

 携帯をポケットに押し込み、総矢は再び目的地へと歩を進める。最深の研究棟に到着すると、奪ったIDで建物内へと入る。

(入り口は奥の部屋の中にあるんだったな……さて、どうするか)

 問題が解決しないまま来てしまったため、総矢は途方に暮れていた。だが、

「あら、あの時の……」

 思いもよらない人物に声を掛けられた。

「え? あなたは……?」

 聞き覚えがある声に顔を向ける。そこにいたのはレイルから捜索を頼まれていた柏木玲子だ。言葉を失い、一時的に止まったがすぐに言葉を続ける。

「ここで一体何」

 続けようとする総矢の口と、自分の口に両手の人差し指を当てて黙るよう促すと、総矢の耳元に顔を寄せ小声で話した。

「声が大きい、場所を変えるよ」

 玲子に連れられ一度研究棟の外に出た。警戒した様子で腕組みしながら総矢に尋ねる。

「それで? なんであなたはここにいるの?」

「調べ物、いえ、調べ事ですね。柏木さんは?」

 隠す素振りもなく答えた総矢に対し、警戒心を緩める。

「それってレイルのところでの依頼?」

「レイルのところで頼まれたのはあなたの捜索ですよ。それで、柏木さんの目的は?」

「あ~、やっぱりもうある程度情報出ちゃってるか……」

 驚きながら聞き返してくる。総矢は自分の質問が玲子の耳に届いていないのか疑問に思い、再度同じ質問をした。

「内容は聞いていませんけど、その反応からして俺の調査っていうのは柏木さんの目的と関係あるみたいですね」

「まぁ、おそらくね。もう1つ先に聞かせて。調査っていうのは、あなたにはレイルの店以外での人間と繋がりがあるってこと?」

「まぁそういうことです。その人達との付き合い始めたのはつい最近ですが」

 総矢の返答に玲子は腕組みしながら興味深そうに聞いていた。

「ふ~ん、まぁ深くは聞かないよ。あぁ、工場(ココ)に私が来た目的だっけ。ちょっと作ろうと思った物があったの。でもそれが予想以上に大変そうだったから先に私のサポートロボット作ったんだけど、それが盗まれたの。私の目的はその奪還」

「それが工場(ココ)にあるんですか?」

 玲子は不満そうに口を尖らせる。

「そのハズで色々と探し回ったんだけど、見つからなくて……盗品ってこともあるからセキュリティが厳重な所にあると思うんだけど、大体回ったのに見つからなくてね」

「この研究棟は全部見て回ったんですか?」

「回ったよ。1階から5階まで全フロア、全部屋見て他に行こうと思ってたところ」

 総矢は玲子の話を聞いて、自分の調査内容と玲子の盗難事件が無関係であると確信していた。

「あるとするならこの研究棟の地下……おそらく俺の目的地と同じです。」

 総矢は建物に視線を向けて、そう口にした。

更新遅くなりました。申し訳ないです。

久しぶりの投稿になってしまいました。


話の繋がりがおかしくなっているので修正を施しているので

結構投稿が遅れると思います。

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