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調査⑤ -資材-

 翌朝の九月四日、総矢は清正からの電話で目を覚ました。目を擦り、現在時刻が午前七時丁度であることを確認してから電話に出る。

「……はい? ……何れすか?」

『おはよう。まだ寝ていたところだったか。悪いが至急俺の部屋に来てくれ』

 清正はそれだけ告げ、一方的に通話を終了させていた。

(なんだ……?)

五分後、総矢は清正の部屋に到着していた。

「起こしてすまない。悪いが今すぐ準備に取り掛かってもらう」

「準備……って何のですか?」

「昨日言った潜入調査だ。明日だと思ったんだがな……俺の読みが外れた。開始は今日の正午だ」

 困惑している総矢に清正が順を追って説明し直した。

「昨日説明した工場地帯に調査隊が今日入るって情報をついさっき手に入れた。もちろん極秘事項にしてはいるようだが。総矢、君にはそれに合わせて潜入してもらう」

「随分と急ですね」

「だから読みが外れたと言っているだろう? 調査隊は外部との共同研究を装った形で潜入するつもりだ。総矢には資材の搬入という形で潜入してもらう。手配の方は大体済んでいる」

 調査の日程だけでなく、調査形式までも知り、更にプランを立てている目の前の清正に驚かざるを得なかった。

「で、でもどうしてわざわざ調査隊が入るのに合わせるんです?」

「まず中で自由に動くために一騒動起こしてもらう。その矛先が我々に向かわないようにするためだ。……これを見てくれ」

 総矢はディスプレイ上の二人と地図に目を向ける。

「誰です?」

「今回、彼ら2人の共同研究を行う場所……このどちらかでこれを使ってくれ」

 手渡されたのは手のひらに収まる程度の大きさの機器で、簡単な操作キーと小さいディスプレイのついたものだった。

「何ですかコレ?」

「簡単に言うと爆弾だ」

 総矢は思わずギョッとして手にした機器を体から遠ざける。

「そう怖がるな。爆弾といっても電子機器類にしか影響がないから大したことは無いぞ。有効範囲は半径約30m、持続時間は15秒程。時間は短く感じられるかもしれないが機器のシステムの破壊には十分すぎるから取り扱いには注意してくれ。それと、タイマー付だ」

「彼らのどちらかがセットしたのが不自然でないタイミングで発動させろ、と?」

 清正は黙って頷いた。

「潜入方法についてはこんなところだ。それと、脱出に関してだが……」

「退社する人に紛れればいいんじゃないんですか?」

 清正は目を伏せ、首を横に振った。

「それは無理だ。潜入時に君はその工場内用IDを持っていないんだぞ。堂々と出ようとしてもセキュリティでチェック受けたら1発でアウトだ。脱出のプランは、人が少なくなった夜間にもうそれと同じ爆弾をもう1つ使用、センサー障害を起こして脱出、だ」

(……口ではそう言っているが、実際はそんな簡単じゃない、か……)

 総矢は清正の計画を聞きながら脱出が難しい、と言われた事を思い出していた。

「アレ? 工場内IDが無いってどういう事です? 資材搬入に扮して入るんじゃ……」

「だから、資材として入るんだ。彼らの調査内容、あるいは何かしらの情報が分かったら連絡をくれ。脱出か、継続かはその都度判断しよう」

 総矢は口を開けたまま固まった。気が付くと、部屋の奥には小型の冷蔵庫程度の大きさの金属箱が置いてある。

「さ、入ってくれ。中に必要な道具は詰めてある。搬入後は君の『能力』で周囲を警戒してからここから出てくれ、開けるときのスイッチはココだ」

「……本気ですか?」

「当然だ。資材搬入のトラックに紛れ込ませないといけないから早く入ってくれ」

「朝飯がまだ……」

「そういうと思ってコレを用意してきた」

 総矢はコロッケパンと牛乳を手渡され、金属箱の中に強引に入れられた。

「ちょっ……痛ぇ! 狭いですよコレ! 待った待ったまだ閉め……」

 抵抗も虚しく、箱が閉じられて総矢の声はかき消された。

人間って狭いところのほうが安心するって言いますよね?

まぁ限度はありますが・・・


※バンバンES〆が来て、最近では一週回って笑っちゃってます。


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