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捜索⑭ -最後の質問-

ファイナルアンサー?

 清正の質問後に沈黙が生まれる。

「……ホントに今更、ね」

「そういやそうだな。大して気にしてなかったが理由を聞いてなかったな」

 みことと煉がそろって総矢に注目する。

「答えてくれるな? これまで君が話してくれた事は全て事実のようだからな、今なら大概の事なら信じられるぞ」

 清正の再度の問いかけに拒否する理由も思い付かなかった。

「……事件に巻き込まれて目を覚ました病院で俺が最初に医者にされた質問が『あなたは誰ですか?』でした。気を失っている間にDNA鑑定を行ったそうですが、該当する人物は存在しない。それに志井鍵矢という人間の死亡はDNAで確認されていました」

 総矢はそこまで言うと、苦笑しながら最後に一言加えた。

「……つまり、俺にもよく分からないんです。ただ、俺は志井鍵矢である事は事実です」

 煉とみことは呆れた顔をしていた。

「そうか。分かった……」

 清正が短く返事をした後、静かに目を伏せた。

(調べる必要がありそうだな……)

「ん? 待てよ、『志井鍵矢』という人物の死亡が確認されているならお前は今も死者を名乗ってるってのか?」

 煉にしては的確な質問だ。と言わんばかりの視線が一斉に集まる。

「いえ、俺はその……今は『崎見総矢(さきみそうや)』って名乗ってます、まぁ色々あって」

 総矢はみことに一瞬視線を移してからそう言った。

(さすがにあなたに命を狙われていたので別人名乗ってましたって言うのは、なぁ……)

「なら私達はアンタの事『総矢』って呼んだ方が良さそうね」

「そうしてもらえると助かります。『総矢』って名乗ってから関わるようになった人達も結構いますから」

「よし、総矢! それじゃ朝食だ。上へ行こう」

 エレベーターへ向かって歩き出した清正に続き、全員が地下を後にした。


 地下から出た総矢は、清正の部屋にいた。

「俺1人に用事って何ですか?」

「そんなに警戒するな。ただの事務手続きみたいなものだ。ID貸してくれ、登録する」

 清正は総矢のIDを受け取ると自分のPCに接続した。

「……登録完了っと。ほら、返すぞ。これでそのIDがあれば君はこの建物に入れる」

「……いいんですか? ここの人間じゃなく、ただの協力者の俺なんかに……」

「協力者なんだろ? 君が俺達に危害を加えるメリットがあるとは思えないんだが」

「簡単に人を信用しすぎじゃないですか?」

「君が言える台詞じゃないだろう」

 清正は余裕の笑みを浮かべている。

「仮に、俺の仲間に何かやらかすヤツがいたとしたらその前に俺がそいつを潰す」

 その時の清正の表情は、酷く冷たいと同時にどこか寂しそうだった。

「とにかく、丸1日引き止めて悪かったな。家まで送ろ……ん? 家は焼け落ちたんだったか?」

「は、はい……そうです……」

「……」

 苦笑しながら答えた総矢。何かを考えながら清正は総矢を見ていたが、不意にニヤリと笑った。

「一仕事協力してくれるなら、住居を提供しよう」

 総矢が驚いて清正を凝視した。清正は表情を変えずに続ける。

「……やってくれるかい?」

「内容を聞かせてもらってから決めたいんですが」

「ただの潜入調査だ。ある工場に潜入して情報を収集してきて欲しい」

(……工場? なんでそんなところを……?)

「判断材料として言えるのはここまでだ。当然やってくれるなら内容は全て話す」

「やります。内容の詳しい説明をお願いします」

 総矢はすぐに結論を出した。

(『住む場所』は必要だ。それと、何か気になるんだよな……)

Yes, of course.


という訳で『捜索編』これにて終了です。

中途半端に次が始まってる感じで申し訳ないです。

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