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初仕事終了

 総矢が目を覚ましたのは事件から二日後の八月十三日の昼だった。

「……アレ?ここは……」

 左右を見る。見覚えのない風景だが、部屋の内装や独特のにおいから病院であることは分かる。上半身を起こし、総矢は自身の体に巻かれた包帯を見た。

「……現実、なんだな。コレも……」

 包帯に手を当てながら呟く。まるで起きるのを待っていたかのようなタイミングで見覚えのある人物が総矢の病室に入ってきた。

「ん、目が覚めましたか?総矢君」

「矢口……先生?じゃあここは中央病院、ですか?」

「いいえ、ここは私の知り合いの個人病院です。中央病院では安心してゆっくり休めないかと思いましてね。連絡を受けて、こちらに搬送していただくようお願いしました」

「あ~……ありがとうございます。それにしても、またお世話になっちゃいましたね」

 中央病院でのことを思い出し、苦笑しながら総矢は話した。

「全くですよ。私が紹介していきなりそんな大きい事件に巻き込まれることになるとは……」

 矢口はここへ総矢を連れてきた女性に大まかな内容を聞いていた。矢口の元へ運ばれた総矢はかなりの重症だった。男性に殴られて肋骨は折れ、内臓までも損傷していたため、運ばれてすぐに手術が行われた程であった。

「この巻き込まれ具合はもう……もう俺に何か憑いてますかね」

「そうかもしれません。ですが君は生き残りました。単に悪いものが憑いているだけならとっくに命を落としているかもしれませんよ」

 矢口が笑いながら告げる。総矢は再び苦笑する。

「しばらくは安静にしていてくださいよ。ここからレイルの店まではすぐですから話をするならここに来てもらったほうが良いでしょう。彼の店、どうせ暇でしょうから」

(いい笑顔で結構アレな事言うんだな……)

「ま、まぁ……とりあえず目が覚めたと連絡だけでも入れておきます」

 総矢を見て、元気が十分あることに安心した矢口は立ち上がった。

「さてと、そろそろ私は中央病院に戻ります。では、お大事に。くれぐれも無理はしないようにしてくださいよ」

「あ、はい。ありがとうございました」

 矢口が部屋を出た後、総矢は自分の荷物から携帯を取り出す。

「もしもし、総矢です」

 レイルは総矢の連絡に明るく応えていたが、総矢が事件について尋ねようとすると、簡単に『話はまた後で』と一言だけ告げるだけであった。電話を切り、総矢はベッドに再び横になる。再び眠りにつく。


『……鍵矢、お前は兄貴なんだからちゃんと理紗を守ってやれよ』

『……どうしたの?急にそんなこと言い出して』

『何となく、だ。あんまり深く考えるな。……でも今のお前じゃ……ちょっと理紗も、いやいや、自分自身すら守れないだろうな』

 にやけながら話を進める。

『馬鹿にするな。俺だって強いんだから』

『いてっ!……なんてな。ま、そんなもんだな。それにこうすりゃどうだ?』

『ずるい。届くわけないじゃん』

 大人にまっすぐ伸ばした手で頭を抑えられると、子供のパンチが当たらないのは当然だ。

『ハハハ、やっぱりお前にはまだ理紗を守ることは出来そうにないな』

『できる!守る!』

 半泣きになりながら叫ぶ。それを見た父親は少し嬉しそうに笑い、頭を撫でる。

『お前がもう少し大きくなるまではお前達を守るのも父さんの仕事、でもいつかは……』


 総矢は目を覚ました。久しぶりに安心してゆっくり眠れたためか起きても夢の内容は鮮明に覚えている。懐かしさが嬉しくなり、総矢は一人嬉しそうに笑う。

(『でもいつかは、お前がちゃんと守るんだぞ』だったっけ、父さん。ここまではっきり覚えているのになんで顔は分からないんだろうな……)

 総矢は軽くため息をつく。窓の外はまさに夏をイメージさせる快晴だった。蝉の鳴き声が幾重にも重なり、総矢の病室に響いている。

「よっ。見舞いに来たぜ!」

 総矢の病室の窓にレイルが姿を現す。

初仕事……初のクセに丼だけ無駄に長いんだよって思われた方もいたかと思います。すいません。うまくまとめられませんでした。


次話で初仕事関係の話は終了となります。

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