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レイルの店

退院した総矢(鍵矢)は医師の矢口に言われた住所へと向かう。


※この先、基本的には主人公の名前を『総矢』と書いていきます。

「ここか」

 矢口に言われたとおりの住所へたどり着く。入り口の戸には『open』と書かれた看板がかかっているだけのごく普通の喫茶店である。そっと窓から中を覗く。客はいない。カウンター内で新聞を広げている者がいる。無人ではないことを確認し、総矢は店内へと入る。

「ん、いらっしゃい」

 店内に入ると同時に、新聞で隠されていた顔が見える。清潔な感じの三十代半ば位の男性だ。

「中央病院の矢口先生に……」

「あぁ、君がアイツの紹介者か。俺はレイル。本名ではないがこれで十分だろ?」

 矢口という名にすばやく反応した男に総矢は言葉を遮られた。

「俺は志……崎見総矢です。あの、『アイツ』って矢口先生のことですよね?」

「おう、そだ。そうは見えないかもしれないが俺達は同い年だぞ」

 総矢には矢口が四十代半ば程度に見えていたために信じられなかった

「その顔は信じてねぇな。俺もアイツも43だ、ホントだからな」

「は、はぁ。そうなんですか。レイルさんが若く見えたので……」

 意外なレイルの年齢に対して本気で言った言葉だったがレイルにはお世辞に聞こえたのか、苦笑している。

「ありがとよ。それでえーと、お前は何がほしいんだ?」

 総矢は慌ててカウンターの席に座り、メニューを見て答える。

「今日は暑いし……それじゃレモンティーお願いします」

「違うだろ」

 総矢は理解が追いつかず、首をかしげる。

「あんた新人だろ?武器だよ、武器。なけりゃ仕事なんかできないだろ?」

「新人?仕事?……いや、それより武器って何ですか?」

 レイルはその返答を聞いて目を丸くし、言葉を失った。

「おまえ、何も聞いてないのか?」

「詳しいことはココで聞けと言われたんですが」

 目をそらし、舌打ちをしたレイルは大きくため息をついた。

「分かった。今お前に文句を言っても仕方がないから、説明してやる。少し待ってな」

「はぁ……」

 レイルは店の入り口の戸にかけられた看板を『close』に裏返し、鍵をかける。

「一雨きそうだな」

 空を見てそう呟き、店のカーテンを閉めていく。いつの間にか雲が空を覆い始めていた。

「お店、閉めちゃっていいんですか?」

「大丈夫だ。俺の気分がのらねぇからな」

 簡単に言い切るレイルを見て総矢は唖然とする。

「よっし、そんじゃついてきな」

 レイルに言われ、店のカウンターの中に総矢は入る。案内された部屋はこの店の休憩室のようだ。ソファとテーブル、机と椅子がそれぞれ一つずつ置かれただけの部屋だ。

「狭くて悪いな、座ってくれ」

 総矢はソファに、レイルは奥の机に備え付けられた椅子に腰掛ける。

「この店は、表向きは見たとおりただの喫茶店。だが裏の顔も持っていてだな、その裏の顔ってのが『秘密任務紹介店』ってとこかな」

「……映画の見すぎですか?」

 疑いの眼差しを向ける総矢を無視してレイルは話を進める。

「ここには様々な依頼が来ている。依頼内容も依頼者も様々だ。一般人から政府や相当な権力者まで依頼者は幅広くいる」

 つい先程まで疑っていたが、思いがけず耳に入ったキーワードに反応する。

「政府の人間の、依頼……そうか。その報酬が」

「そ、もう気付いているみたいだが、そういう方の依頼を成功させることで『IDレベル』を上げるために必要なポイントが手に入る。ま、依頼者がそうでない場合の報酬は大体『金』だな。」

「ポイント?」

「ああ、『P(ポイント)』を溜めることで自分のIDレベルを上げられるんだ」

「なるほど、ならその政府の方の依頼を紹介してください!」

 身を乗り出してレイルに頼む総矢。だがレイルはそんな総矢を見て薄く笑い静かに告げる。

「断る」


色々設定増やしていくので『分かりにくい』や『読みづらい』等何かあれば訂正いたします。何かあれば感想やメッセージで教えていただけるとありがたいです。


※諸事情により投稿ペースが遅くなります。週一程度になります。

 数少ない読者の皆様、ご了承下さい。すみません。

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