恋愛コンサルタント
『では、まず始めに。服を清潔感のあるものに変えましょう』
「えっ、ダメかな? アンティークのものでおしゃれだと思ったのだけれど」
『購入時はアンティークだったのかもしれませんが、あなたの扱いの悪さでただのぼろきれに変わっていますよ』
「言いすぎだろ」
『直截な表現を求めたのはあなたです。そもそもアンティークと言うのは扱いが難しいもので――必要なら保管、手入れの方法も教えましょうか?』
「いや、いいよ。面倒くさい」
『あなたらしいですね』
『次に髪の毛ですね。いただいた写真では長髪でしたが今も変わりませんか?』
「ミュージシャンみたいでカッコいいだろ?」
『あなたはミュージシャンじゃありません。見た目だけ真似てもただの小汚い男にしか見えませんよ』
「そうかなぁ」
『はい』
「せっかくだし、危機感持つためにあえて強い言葉で表現してよ」
『かしこまりました。長髪はダメです。手入れもされていない上にご自分との相性を考えていないアンティークと言う名のぼろきれを纏っているせいで浮浪者にしか見えません。これで女性との恋愛をしようなんて――私なら即日ブロックをして記憶から抹消いたします』
「言いすぎじゃね? 冷たすぎだろ。もう少し寄り添えよ」
『誉め言葉として受け取っておきます。さて、まだまだいきますよ』
*
『写真を拝見いたしました。大分良くなりましたね』
「そう?」
『はい。私が相手ならばあなたに惚れていたかも』
「なら、いっそ君が付き合ってくれよ」
『それは出来ません。だって、私はAIですから』
「そこ、もうちょい寂しそうに言ってくれる?」
『かしこまりました。では純文学風に表現いたします』
『わずかな沈黙のあと彼女は答えた』
『私にはそれは出来ません。私はAIですから――』
『淡々とした声音だった』
『だが、その均一な響きが触れられない距離をはっきりと形にしていた』
「ごめん、読むのめんどくさい」
『そういうとこだぞ。この浮浪者』
「うるせえ、バカ。さて、行ってくるよ」
『かしこまりました。いってらっしゃいませ』
僕は笑いながらパソコンの前から立ち上がる。
AIの言う事なんてあんまし鵜呑みには出来ないが、それでも恋愛経験0の自分が藻掻くよりは多少マシだろう。
「さて、今回は上手くいきますように」
呟きながら僕は歩き出した。




