第6話
穏やかな日常。
気がつくと、紫外線が強く、そして汗ばみ始める5月を駆け抜け、6月になっていた。
明里の住む土地も、他の日本と同じく、梅雨入りが始まっていた。
今日も昨日と同じく雨だった。
サーーーーーという音で明里は目が覚めた。ベッドから降りて身支度を整える。
(今日もレインコートかぁ…。)
雨はキライではなかったが、雨の中、レインコートを着て通学するのは、嫌だった。なぜなら、学校に着いて、ソレを脱いだ途端、制服の下が汗でべっとりしているのに気がつくからだ。
初めてそれを経験した時は1日憂鬱だった。それを学校終わりにサキやジュンに言うと、2人は「コレいいよ!」と汗拭きシートを貸してくれた。それは、一瞬で明里の身体のベタつきを一掃し、サラサラにしてくれた。
流行りに疎い明里は、おそらくクラスの皆が知っていて、当たり前に使っているそれを知らなかった事が、とても恥ずかしかった。
だが、友人達は特にそれについて指摘する事なく、明里に使い方を丁寧に教えてくれた。そんな彼女達の優しさに、明里は、心の底から、文系クラスにして良かったと思った。
それ以降は、雨の日は、明里もドラッグストアで買った皆と同じシートを、鞄に忍ばせる様になった。
シートは残り2〜3枚になっていた。
(今日使い切っちゃうだろうから、帰りに買ってこよう。)
そう思って、家を出た。
シトシトシト
雨はずっと降り続ける。
いつもの道。
いつもの公園。
いつもの交差点。
あの人は今日も、拾っていた。
薄い、透明のレインコートを着ていた。




