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「万魔殿、別館」とは、精霊と、神々と、人が集うサロン

はるなの家は、いろんな時代、いろんな国から来た精霊たちのたまりばとなり、もはや「万魔殿、別館」とかしている.神様たちは皆、「別館」と呼ぶ.ルシフェルがドクトルと打ち合わせがあって、約束する時、「今日の夜、別館でな」とか、海丸君とキューピーが「ねえねえ、今日学校終わったら、別館で、北斗の拳の続き見る?」とか、街であった大学生とコンパの後(今コンパていうのかね?)「ちょっと知り合いのうちでいいとこあるから、二次会はそこで」とアテナは知り合ったばかりの子達にいう.「じゃあんたたち、あたしこの子達とつまみとか買ってくからあんたたち別館に先行ってて」と四天王に命じて、はるなの家を勝手に二次会の会場にする.もちろん、その家の主に断りを入れる、はずもない.神々の彼らが、何に恐れ、憚る必要があろう.ましてや、「遠慮」などと言う概念は、彼らにはない.かくして「別館」は多くの神々で今日も盛況である.    

 戦に敗れ、地獄に落とされて、さらに地獄をも追放されて、落ちぶれ、彷徨い、ここに辿り着いた神々も多い.ルシフェルのかつての仲間たちが来ることもある.内裏の政争に敗れ、都を追われ、太宰府に左遷された、天神様、かつての菅原道真公も、来たことがある.なんと、ルシフェルとは旧知の仲らしい.ローマの皇帝だと、オクタビアヌスも亡くなった後には神様になったからもちろんルシフェルとは友達である.しかしこの神様は、霊力としてはかなり弱い.まあ優れた政治家だったとしても霊的能力はそこそこであったから.同様の理由で、豊国大明神もあまり大した霊力はないし、日本の最近の帝が亡くなられて神になられてもあまり、神々の中では目立つ存在とはならない.東照大権現は、そこそこの霊力があるから、久能山、日光の東照宮はそこそこの参拝者を獲得している.アテナの四天王の多聞天玄武は、元はと言えばインドの偉い神様の家系で、上杉謙信にも崇拝されていた、「毘沙門天」であるから、神々が集まる席では、皆が挨拶をしてくる.神々の世界ではそこそこのセレブなのだ.仲間に合わせて荒くれの真似はするが育ちは隠せない.油断すると行儀良くなってしまうのが彼の欠点、かもしれない.でも他のメンバーがそんなことで彼を仲間外れにしてないのはもちろんである.お互いの足りないものを補い、お互いを高め合って、より高みを目指すのが神々なのである.戦争はしてもいじめはしない.迫害はされても迫害をしないのが神々なのだ.オリンポスの神様でしょっちゅうくるのは、キューピーとアフロディーテの愛染親子(会社のオフィスにはるなの家の一室を借りている.そこそこ事業が軌道に乗り始めても、家賃は払ってないらしい)と、アテナの一統、デメテルおばさんとペルセポネである.庭で花の世話をしたり、農作物の研究をここでするのだ.しょっちゅうくる、言ってもペルセポネは冬の4ヶ月は来れない、というか冥界にほぼ缶詰状態だから出られない.ヘルメスなんかはしょっちゅうくる.ほぼ、数日に一回くらいのペースである. フットワークが軽いから、同じ理由でアキレスなんかもそうである.冥界の王のハーデスは流石にこないでしょうと思いきや、結構くるのだ.ペルセポネの送り迎えと、冬の4ヶ月以外でも何かと理由をつけて愛妻の様子を見にくるのだ.人の姿の時には神様も見えるのだ.だから別館界隈では、「魔道の旦那」とか、「冥界の親分」として結構知られている.何しろ目立つから.ポセイドンは、遠くの海に漁に出るとなかなか帰れないのだが、近くの港に寄った時には来れる.しばらく滞在することも多いのだ.アポロとアルテミスの兄弟は、ルシフェルの親父がいる時は鬱陶しがってこないし、ヘパイストスは意外とあまりこない.鍛治場の仕事でオリンポスにいることが圧倒的に多いから.四人の弟子は結構アテナについて遊び歩いているのだが.竈門の火の番をしないとダメで、オリンポスに残った神々の食事の世話もあるからヘスティアおばさんもあまり来れない.ヘラはきたことがないのではないか?ああ、きてるきてる、愛ちゃんが来る時には大体いるな.愛ちゃんいるときはトレードマークの怖い顔してないからわからないか.あんなルシフェルでも、この怖い奥さん、旦那一筋なのだが、ルシフェルが遊び歩いているから、彼女はオリンポスの家をちゃんと守らないとダメだと思うと、自然と顔がこわくなるということなのだろう.ディオニソスは意外とこういうところ好きそうに見えて、ルシフェルが酒を仲間やら子分たち、兄弟子供にあまり勧めていない手前あまり、ほとんどきたことがない.アレスはご飯を食べたい時はヘスティアおばさんのところに行くことが、圧倒的に多い.知らない人と交わることは、あまり、得意ではない、みんなでワイワイガヤガヤ騒いで、じゃこれで仲直り、今日から友達だ、これからも喧嘩はやめて仲良くしようというのは苦手である.だから戦争の神なのかもしれない.外交みたい面倒なことはしないで、即、開戦、という考えの人だから.  

 これだけ多くの神々が集まって、近所迷惑でしょう?怪しまれるのでは?苦情が来るでしょう?いろんな理由でそれはない. まず、はるなの家はそもそもめちゃくちゃ広い.家というよりもやしきなのだ.つまり、いわゆるお金持ちなのだ.外の門を入ってから玄関に到着するまで、歩いて10分くらいかかる.つまり、人がゆっくり1分歩いて進める距離が、約70mとして、10分歩くと700m?門から玄関まで?普通多少騒いでも外には聞こえないだろう.そんな豪邸のお嬢様だったのか、はるなは.掃除とか大変そうねと心配するかもしれない.確かにそうだがそういう形而下のことをとやかく言わない約束である.部屋の数は数えたことがない.何LDK?はるなに聞いてもおそらく「知らない」というだろう.お家賃はおいくら?「さあ・・・」売りに出したらいくらになるでしょうね?「だから知らないと言ってるでしょう!」めんどくさいお金の勘定は嫌いだし、苦手だ.門から出てきたはるなこの家のお嬢様ではなくて、お手伝いさんだと近所の人には思われている.  

 理由の二つ目.神様が人間の姿の時には見えるのだが、そもそも人間で神々の声が聞こえる人は、少ない.元々少ないのでなくて、長い歴史の中でその数をどんどん減らしてしまった、らしい.今では神々の声が聞こえる人はごく少数になっている.ジュリアン・ジェイスがその著書「神々の沈黙」で述べているとおりである.詳しい内容までは覚えてないから興味があったら自分で読んだら良いんじゃない.でも本は貸さないよ.大事な本、貸すと大体なくなるからね.とにかく神々が話をしても人には、風が吹いているか、遠くで、木が揺れているか、波の音か、あれ雷なった?とルシフェルが怒鳴っても、そうとしか聞こえないのである.だからこの近所で神々の大騒ぎを聞くことができるのは、今確認されているのは、はるな、とドクトルの二人とほかか、数名程度なのだ.彼らには屋敷の中でお、今日はアテナが来てるな、とか、おやあの野太い声はポセイドンさんが相撲取ってるな、というのはわかる.普通の人には、あれ、また雷?地鳴りがした?というくらいのことなのである.それに家の中は遠いから、多少の物音は聞こえないというのは先ほど話したとおりである.流石にこの前、ルシフェルが空から落ちてきた時は、大音響で、近所が大騒ぎにはなったが、小隕石の落下で片付けられた.今の人々の感受性には、雷でもない、地震が起こったわけでもなさそうだ、じゃ、「神の怒り?」とは捉えない.なーんだ隕石の落下かと捉えることが自然なのだ、というかそうなってしまったのである.  

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