「アフターケア」もお任せ!
立体重合型DNAモデルロボット、「螺龍」を引っ提げて、海丸くんは、別館に帰ってきた.なんと1週間にわたって不在にしていた.
愛ちゃんと、健ちゃん、ママとおとなしく絵本を読んだり、テレビを見たりして過ごす.ここ数日、ヘルメスも来ないし、どっしんのオトシャンも来ない.ルシフェルとドクトルと、静香はもちろん海丸くんも一緒に出かけていない.アテナと四天王も、オリンポスに行ったまま帰ってこない.
こんなことはこれまでになかったことである. こんな時に気にかけてくれるのは、デメテル(最後の方だけちょこっとヘルメスに付き添われてオリンポスに行ったらしい)とペルセポネの親子と、なんとハーデスの魔導さんも様子を伺いにきてくれる.冬の間だと、なかなかペルセポネが、冥界を出られないのだが、オリンポスの兄弟たちが、忙しそうにしているのをわかって、気を配ってくれる、ハーデス魔導さんは、やはり只者ではない.
ヘラ様も、オリンポスが忙しいのだが、合間を縫ってきて愛ちゃん家族と話をする.彼女もいつの間にか、別館の常連になっている.この場所の求心力?溜まり場としての、場の力?
海丸くん一行は、意気揚々と帰ってきた. 皆、誇らしげである.そして、嬉々とした明るい表情である.
「海丸くん!おかえり」健ちゃんの出迎えを受ける.
「みなさんお帰りなさい、いいものできたみたいね・・・」健ちゃん・愛ちゃんのママである.オリンポス出張組が何をしに行ったかはなんとなくわかるらしい.
「うみたん、ドクトル、おしょすぎー」と待ちくたびれた愛ちゃんはなんかご機嫌が悪い.しかし海丸くんの顔を見たら、急にニコニコして、皆のところに駆け寄ってきた.
海丸くんがリュックを下ろして、中からタブレットを引っ張り出して、皆に説明した.
「これが、DNAロボットを動かすタブレットです」と、子供たちに、「螺龍」の操作タブレットを見せびらかした.
「見せて、見せて」愛ちゃんと、健ちゃんがぴょんぴょん飛び跳ねながら、タブレットを覗こうとする、画面を触りたがる.
「ちょっと、待って待って、じゃ外に行って、みんなで動かしてみたいと思いまーす」
皆で、別館の庭に出て、DNAモデルの竜を飛ばしてみることにした.
オリンポスの競技場で、アテナとヘパの社長に教えてもらったことを、そこで、復習を兼ねてやってみた.
「電源ON !」
「螺龍、起動!」
’Helic dragon ,will be soon here,sir!'
「螺龍はすぐに参ります、ご主人様!」
おお!毎回タブレットのいうことが違うらしい.
・・・・・・・・
ヌクレオチド小型ロボット、プライマー小型龍、螺旋がた、DNA大型螺旋ロボットが飛来した.
「今日は、3回複写して、竜を8匹にしてみるぞ・・・」
8体の竜が出来上がって空を待っているところを見て、 愛ちゃんと、海丸くん、ママがいう・・
「くわっこいい!」
それからが大変である.健ちゃんと、あいちゃんが、タブレットの取り合いである 「僕にもやらせて・・・・」けんちゃんがタブレットを覗き込んでボタンを押したがる、
「あいちゃんが先!」愛ちゃんもお兄ちゃんに負けてないで、なんとかタブレットをお兄ちゃんから奪い取り、アイコンで操作をしたがる.
二人が取り合いをするうちに、タブレットが、宙を舞い、庭にあった、大きな石に画面を下にして、落下してしまった.
「パリン?」とガラスの割れた、はっきりした音ではない.
ブラウン管のようなガラスの画面ではないから、「ブシュ!」というような、鈍い音がした.
愛ちゃんと健ちゃんは、互いに顔を見合わせて「え!」である.
空を舞っていた、8匹の龍は、細かく分裂して、あちこちに飛び散って、消滅した.
「え!」海丸くんも慌てて、タブレットを拾い上げて画面をみた.
中心から放射状にいく筋かのヒビが入って、起動画面は消えて、なかの電気回路がむき出しになっている.
「げーー!」二人の子供の顔が少し青ざめて見えたのは気のせいか・・・
それからが兄妹が互いに責任のなすりつけ合い、というか、珍しく喧嘩が始まった
「あいちゃんが、落とした!」
「お兄ちゃんが悪い、あいちゃんに貸してくれないから!」
「いや、どうしよう、僕が悪いのかな、子供に見せちゃったから・・・」
庭が子供達の悲鳴にも似た声で大騒ぎのところに、「螺龍」のアフターケアにきた、オリンポス工業の、アテナとヘパイストス社長が、わけを聞く .
’What’s the matter,kids? May I help you?' 外資系巨大企業の営業担当の女性?
「あ、なんだ、アテナか、よかった、ちょうどいいところに来てくれて.あのね、ロボットのタブレット、落としちゃって・・・」と海丸くんが、画面を見せた.
「なーんだ、そんなことか、タブレットまた新しいのあげるよ、そんでな、この前説明し忘れたけど、操作タブレット、うちの会社のホームページから、ダウンロードできるんだ.携帯スマホでもいいし、うちにあるパソコンも、ネット繋がるんだったらできるよ、やり方教えよう・・・」
皆で、携帯の中を覗き込む. まずね、うちの会社のホームページ、製品紹介と、
次にね、教育教材・・・・・
「螺龍 バージョン1、っと・・」 次々に画面が変わる、
「そこでだ、お客様ページってのがあるだろ、ここにお客様IDとパスワードと、入れればいいんだ.」アテナの説明は続く.
「海丸は、
ID;umimaru
PW:bekkann/go で、どうだ、」
言われた通りの操作で、「螺龍」の操作パネルが再び起動した.
「愛ちゃんと、健ちゃんの、IDとパスワードも作っとくか・・・・」アテナがどんどん作業を進める.
「え、愛ちゃんと、健ちゃんも・・・・」海丸くんはちょっと呆気にとられて、アテナのすることを見ているだけだった.
「よーし、これからはみんなで喧嘩なしで、操作しな!ただし、出てきた、龍を喧嘩させたり、人にぶつけたり、物を壊したりしないこと!わかりましたかー!」
「はーい!」と健ちゃんと愛ちゃんは元気に右手をあげてお約束した.
海丸くんは疑問の質問をした. 「あの、アテナ、これ、子供も使っていいの?」 「もちろんでございます、誓約書にも書いてございますように(書いてないけど・・・)弊社の製品は、年齢による使用の制限はございません!」
本日は営業担当のアテナの説明であった.




